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寧々子ターン:私の人生は前世から楽じゃない

一話たくさんみてくれてありがとうございます。


勉強しながら書いてますので、生温かい目で見守ってくれると嬉しいです。


















 流行りの異世界転生、いや、時代が昔に戻っているのだから逆行転生になるだろう。

 改めまして、戦国時代に逆行転生してしまった私、寧々子。











 今、私は生まれた家を出て、私を養子にした浅野長勝という織田家に仕えている武将の城にいる。

 浅野長勝と私の転生先・ねねの家族関係は、浅野長勝の妻・ふくとねねの母・こひが姉妹関係にあるので、叔父と姪という関係だ。


 この浅野長勝には子供ができなかったので、子供がそれなりに多くいた妻の妹の家から私を含めて二人養女とし、婿養子を迎えることによって家を存続させる考えでいると直接伝えられた。


 遅すぎず早すぎずの年の頃に迎えたいということで、私が六歳になった今、それが決行されたようだ。

 当初は私のみを連れていくつもりだったようなのだが、妹が「一緒に行く!」といって離さなかったために二人行くことになったそうだ。


 戦国時代ではありがちな話なので特になにも疑うことなく受け入れた。


 転生者である私がそれをすんなりと受け入れてるのはどうなのだろうとも思うが、どちらにせよ、ねねのフリをしなければならないので、そこは戦国時代に詳しくてよかったなと我ながら自画自賛しているところだ。






 ではここで状況を整理しよう。



 一、私はまず現世で集団通り魔に殺された。

 二、目が覚めたら、戦国時代に逆行転生。

 三、転生先は予想通りならば豊臣秀吉の妻となる、ねね。

 四、今現在、養子に出されたばかりの状況なのでおそらくまだ秀吉となる人に面識はない。



 よし。

 状況把握はこんなものか。







 そうだ!

 転生において大事な確認を忘れていた!!



 特別な力確認!!



 なんてことだ。オタクにあるまじきこと。

 転生者の大半はすごい魔法や武器、能力、なんかナビみたいなやつがついてたりとかしている!

 私にもそんな可能性が今、あるということ!




「この城に来るまで、こっそり籠から外を眺めていたこともあったけど、正直魔法要素は見当たらなかったから魔法は存在しなさそうだけど、アイテムならあるかもしれない。でもまずはロマンを求めて魔法を試そう!」




 いいぞ。

 探求の血が騒いできた。

 とりあえず来たばかりの家を壊すのもあれだし、部屋の中で実践できそうなことを試そう。




「なにがいいかな……。風の魔法とか? ちょっと風起こすぐらいとかできたら暑い時期とかじみに役立ちそうだし!」




 こういうのはイメージで起こすんだっけ?

 考えながら私は立ち上がって両手を前に出して魔法を出す構えを取る。


 そよ風が吹くイメージ。そよ風が吹くイメージ。




 一定時間経過。

 何も起きない。




「詠唱付きでどうだ。風の精霊よ、ここにそよ風を起こしたまえ!」




 一定時間経過。

 何も起きない。

 実は部屋の窓は空いているのだが、外から風が吹くことさえなかった。

 風にも呆れられているのだろうか。悲しい。




「ううん、ならばなにかアイテムとか……。魔法ダメなら、能力も怪しいよね。実家から運ばれた荷物とか、部屋にあるものとかどうだ」




 実家からの荷物。

 服や小物、生活に必要そうなものくらいでそもそも剣とか刃として機能しそうなものがない。しいて言うなら簪はいざというときに護身用として使えるかも? くらいだ。


 部屋にあるものも布団や新しい服に小物、文字を書くのに必要なものとか、少なくとも特別的なものは見当たらない。




「ああいったアイテムや能力授かるときって神様に会ったりとかしてるもんね。そういうのもなく目が覚めただけだからやっぱりないかぁ。うっ、さよなら夢のチート転生ライフ」




 チートな生活はもはや無理と諦めて、今後のことを真剣に考えよう。


 多分死んでるから現代に帰ることはおそらくできない。

 神様的なものが出現することがあれば可能性はあるかもしれないが、現状ではそれを期待するだけ時間がもったいない。

 となると、この時代でねねとして生きていくしかないことになる。




「私を転生させた人、何を目的にこの時代に逆行転生させたんだろう。いや、そもそも人なのか分からないけど」




 目的も分からなければ、私がねねとしてやりたいことがあるかと言われればないかな、って感じだ。


 私がねねという人に抱いていた印象は、最初はあまりよくない。今では違うけども。



 初めて歴史漫画読んだのは小学生で、手にとったのは、ねねではなく、淀君という秀吉の側室で秀吉の跡継ぎとして豊臣を継いだ豊臣秀頼を産んだ母の話だ。

 無論秀吉の側室の話なのでねねは登場するが、印象はあまりよくなかったため最初の印象はあまりよくない人と子供心ながらに思ったものだ。

 でも自分の年齢を重ね、いろんな歴史や人物、解釈を知っていくと一方からでは見えなかったり分からなかったことに気付き、実はすごい人であることを学んだ。

 そもそも夫が浮気性なのに離婚しなかったし、なんなら連れてきたたくさんの側室の面倒を見たとかどんな肝の据わった女性だったんだ。




「会ってみたいわーとは考えたことあるけど、自分が成り代わってたら意味がないじゃない」




 というかよくよく考えたらなかなかハードな人生をこれから要求されてるな。

 やっていけるか不安になってきた。











 結局自分がやるべきこともわからず、やりたいことも分からず先行き不安のまま、私はねねをやっていた。

 前世……といっていいのか分からないけど紛らわしくなるので前世の記憶と言おう。

 前世の記憶を得る前にねねが持っていた記憶は幸いにして存在しており、体も覚えているので私はねねを完璧に演じた。

 性格、言葉遣い、所作、趣味。

 義理の親は無論のこと騙せたが、正直共にきた妹のややにはいつかバレるのではとヒヤヒヤしていた。

 しかしその心配も杞憂だったようで、特に何も言われていない。




 二年後の八歳を迎えた年、ねねになる生活にも慣れて、前世の自分とねねとの境目がよくわからなくなってきた頃、夢を見た。






 それは私が死んだ日の光景で、私はもうすでに倒れて死んでいた。




(なんで今更こんな胸糞悪い夢を見なきゃいけないのよ。忘れようとしていたのに)




 そう思っても夢は終わってくれなくて。

 倒れた私の近くには私を刺した奴と弟の三吉を刺そうとしたやつの二人がいた。

 死んだのを見届けたら早く立ち去らないとやばいだろうになぜか同じ方向を向いて何かを待っているようだった。




(まさか、三吉のところに仲間がいってる?)




 嫌な予感を抱えながら続きを見てると、もう一人がそこに現れた。

 同じフードを被っているし間違いない、仲間だ。


“逃がした奴、ヤッたか”

“ああ、ちゃんと殺しといた。ったく、しくじるなつったのに”

“女が意外と攻撃的だったんだよ。よかったよ、保険にお前を伏せておいて”




 通り魔の会話を聞いてしまった私は幽体化したような状態で見ているので彼らに聞こえることはないのに自然と両手で口をふさぎ、声を抑える。




(三吉も殺された……私、守れなかったんだ)




 伏兵がいるなんて気づきもしなかった。

 集団通り魔の話題はあの日だって三吉としていたし、正確な人数を把握していなかった以上こうなる可能性はあったのに、救えたと思って野垂れ死にするなんて……。






 ……悔しい。








 “ そうであろう? ”



(えっ!?)




 急におばあちゃんのような声が響いて、現代の景色はかき消された。

 周りが暗闇に包まれるが、その中心にぽうっと優しく光る光があった。

 恐る恐るそれに触れると、尼さんみたいなおばあちゃんが現れた。




「えっ、誰ですか」

「妾は、今は高台院、かつての北政所。つまりねねじゃ」

「本物のねねさま!?」




 まさかのねねさま、老けて登場!

 転生してから全くこういうイベントなくてすっかり油断していた。




「ねねさま、なんでねねさまがねねさましてないんですか」

「伝わりにくい言い方じゃが、伝わった。妾ができなかったことを、してほしいからじゃ」

「転生して三年くらい経ってから目的言います???時期遅れもいいとこですね」

「そなたたちを呼ぶために力を使ったのじゃ。こうして出るまでに力を回復する必要があった」

「私じゃなくて、本物のねねさまに能力があるんかい! ちなみになんの能力が?」

「魂の召喚的なものじゃ」

「結構すごいですね。でも一個の体に入る魂って何個もいけるんですか?」

「そなた、結構細かい事を気にするんじゃな」




 本物のねねさまがめんどくさそうな顔でこちらを見ている。

 同人とかやってるといろんな雑学が入るからつい無駄な雑学知識が詰まってしまう。




「無論、魂は一個の体に一個じゃ。じゃから片方消える」

「それはつまり、この体には現在私とねねさまがいるのでどっちかが?」

「そうじゃな」

「それっていつ?」

「私の願いが叶うときにどちらかが消える。願いの元にそなたたちを召喚した故。普通に考えればこの体は妾のもの、妾が残ろう」

「なるほど。じゃあ、全部終わったら私は本当に死ぬわけですね」

「そうなるの」




 つまり私は三途の川渡る前にでも強制的に呼び出されたというわけか。

 まだ黄泉平坂下ってる途中に寄り道してるようなものと考えればいいのかな。

 あれ?

 そなたたち?




「ねねさま。たちって? 私だけじゃない?」

「うむ。そなたの弟も召喚しておる」

「ほんとですか!? 誰に!?」

「秘密じゃ」

「え」

「探しておくれ。そして見つけよ。見つけたらその人物が妾の願いじゃ」

「では願いとは」

「それも見つけたときには自ずと分かるだろう。その頃にはそなたが妾のことをきっと理解していよう」




 このおばあちゃん、めんどくさいな。

 願いの主要格にあたる人(弟の魂入り)を探しながら、ねねさまのことも勉強して願いの内容を予測しろと?

 やっぱねねさま嫌いに戻りそう。

 せっかく転生したのに、また楽じゃない人生かよ。

 オタクってだけで身内含め周りから白い目で見られたり罵られたりして生きてきた前世だったのに、転生先でもねねさまというこれから浮気性の夫と夫が拾ってきた女やのちの武将たちの世話しながら家のこと取り仕切ったりする、ある意味やばいくらい尽くす女やるんでしょ。難易度ハードモード以上のインフェルノでは!?




「大丈夫じゃ。そなたならばできる。それにそなたにも能力があるではないか」

「えっ、まじで!? あっ、偉い人相手にまじとか言っちゃった。まぁいいか。なんの力です!?」

「分からんのか。おたく、なる生き物は自分で調べるのだろう?調べよ」

「ええ、そんな!? ねねさま!! もったいぶらず教えてー!!」




 詰め寄ろうとねねさまに触れたら、ねねさまはパッと光の粉になってしまい消えてしまった。

 ここで目が覚めた。

 若干不完全燃焼は否めないが、このまま目的もわからず生きていくよりは幾分かマシ。

 いや、知らない方がよかったかもしれないけど。



 でも、できなかったことをしてほしい、て言っていたからきっと何か失敗かやらずに後悔したから私を呼んだんだよね。

 一肌脱ぎますか!

 




「……まずは人探しからだな」




 転生から約二年。

 ようやくまともに物語が動きそうです。










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