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6 寧々子とねねの入れ替わり

二話連続更新!

つづいては、浅井・朝倉軍合流阻止の一手として使う盗賊を探します~!







 目が覚めた本物のおねね様に、金ヶ崎の戦いでは浅井・朝倉軍以外にも秀吉たちを襲った存在がいることを知らされた寧々子。


 浅井軍の朝倉軍との合流を阻止するため、ねねさまの能力・召喚を借りることを決めた寧々子はさっそく盗賊がいるであろう地、金ヶ崎城のあたりへと向かっていった。


 そして、目的の地に到着。




「ここが金ヶ崎城だよね。信長様のいた清州城や岐阜城に比べれば小さいわね」


“ 砦の役割を果たす場所なのだろう。すぐに味方軍がここへ来よう。はよ、賊を見つけるぞ ”


「はいはい」




 山の上にある城ゆえ、賊はおそらく山賊だろう。


 それに金ヶ崎城にいるときに秀吉が襲われたと言うのならば、潜んでいる可能性よりも何か騒ぎを聞きつけてやってきたと考えるのが妥当だろう。


 なら、今、城周辺を探し回っても意味がない。

 もう少し、山の方に入ってみよう。




“ ん? ”




 金ヶ崎城の横にある山へ向かおうとしたとき、ねねさまが何か感じ取ったのか声を上げる。




「どうしたの? おねねさま」


“ ……竹中半兵衛はこの戦場にいるのか? ”


「あれ、いるのを感じたから起きたわけではないの?」


“ チクチク刺さるような気配があった故、いるのだろうなと思ってはいた。共にいないのか? ”


「能力者センサーってチクチクするんだ…… んーー、一緒ではないかな。命じられたことを私が実行している感じ。まぁ向こうは軍師だしね」


“ それもそうか ”


「半兵衛がどうかした?」


“ ――いや。なんでもない ”




 そこで言葉を切るとねねさまは何も言わなくなった。


 なんだったのだろうか、と疑問は残るが、特にあれこれしろと言わないならきっと大したことではないのだろう。


 寧々子は再び山へ入っていった。








 ――その寧々子たちの背後をつける影が一人。















 日が沈みかけの頃、山へだいぶ入っていた寧々子は戦の疲労や金ヶ崎城まで全力疾走したこともあって疲弊していた。




「ちょっと休憩~」


“ 旦那様の窮地だというのに危機感がないのぅ。半兵衛の未来視も気になるところじゃろうに ”


「いやさすがにきついよ。私、結構半兵衛に無茶ぶりされてたからね……」


“ やれやれ。 ……おや? 人の影があるぞ ”


「ん?」




 ねねさまの言った方向へ寧々子も顔を向けると、確かに人の集団があった。


 鎧はつけていない、頭には汚れた布を巻いている。

 服装は身軽そうなもので、持っている武器はみなさまざま。


 それまで休憩モードだった寧々子はすぐさま体制を立て直して身を低くし、その集団の声に耳をそばだてる。




「おい。少しいった先で織田軍が朝倉とドンパチやってるそうだぞ」

「しかも織田軍側は人数がそんなに多くないらしい」

「織田の大将は逃げてんだろ? つまり負け戦か?」

「だったら、盗みのチャンスだよなぁ? 頭」




 会話の内容を聞いて、寧々子は自然と口元をニヤつかせる。


 見つけた。




「当たりじゃん?」


“ そのようじゃな ”


「どうすればいい?」


“ うむ。お主はしばらく眠っていよ ”


「へ?」




 ねねさまにそう言われると急激に強くて抗えない眠気が襲い掛かってくる。

 戸惑う間もなく、寧々子の意識は途切れていった。


 そのまま寧々子の体が力を失って地面につく直前、突然左手が俊敏に動き出して体を支えだす。

 そのまま体を元の体制へ戻して、閉じていた目をゆっくりと開く。




「久々の肉体は随分軽いこと」




 その口調は先程までの寧々子とはあきらかに異なる気品を携えていた。





 寧々子とねねさまが入れ替わったのである。





 能力の持ち主はねねさま本人であるため、行使するためには寧々子と入れ替わらなくてはならない。

 それを説明する必要があったが、なにぶん旦那の窮地である。

 一刻も早く実行する必要があった。




「私が使っていた時とはえらく違う体の感覚じゃ。使う人間が違うとこうも肉体とは変化するものなのじゃな。さてさて、賊の顔を拝むとしようか」




 一人楽し気に自分の体をサワサワしながら賊たちの顔を見つめるねねさま。


 脳に焼き付けるかのような勢いで視線を鋭くして一瞬で全員の顔を確認する。

 それを終えると身を低くしたまま、静かに後退していく。


 ある程度、賊と距離を離したところで先程の寧々子同様に全力疾走で駆け抜けていく。


 その途中で、ねねさまはチクチク体に刺さるものを感じた。

 能力者センサーである。


 目だけを動かして気配が強い方向へ目を向けると、木陰から偶然顔を出したその人物と目が合った。




「!」




 すると、ねねさまは忍者かと思うほどの脚力を発揮して隠れている人がいるところへ一気に跳んだ。


 木陰に隠れていた人物は驚きながら後退して受け身を取る。




「金ヶ崎城の少し前から、つけていましたね? 竹中半兵衛」

「! 気付いていましたか。おねねさま」




 隠れていた人物は少し前に歩み出る。

 すると全貌が明らかになった。


 ねねさまがねねさまとして会うのは、これが初めてになる。




「僕は前線で奮闘するようお願いしたはずなのですが、こんなところで何をしているのですか?」

「そのようですね。しかし、これもまた旦那様を手助けするために必要な事。裏切りなどではありませぬ故、気に病みますな」

「……なんだか、いつもと雰囲気が違いますね?」




 少し話しただけでそれを感じ取った半兵衛に、ねねさまは「ふふ」と小さく笑う。




「さすがは秀吉様の軍師。今も、前と変わらず、その鋭き観察力を備えているのですね」

「え? ちょっと待ってください。秀吉? 前? なんの話ですか?」

「今は時が惜しい。妾がそなたへ近寄ったのは、お願いを一言」




 何が何だか分からない、と言わんばかりの表情でねねさまを見つめる半兵衛の質問を全て流して用件だけを伝えにきたというねねさま。


 問いに対する答えがないことに不満を露わにするも、時が惜しいという意見には合意を示すかのようにねねさまの次の言葉を待つ半兵衛。




「己の身を大事に。少し不安かもしれぬが、この子を信じて」




 それだけ言うと、すぐさま踵を返して去っていくねねさま。

 その動きは普段の寧々子以上の動きだった。



 残された半兵衛は全く状況を理解できなかった。

 言われた一言も最初の言葉以外は謎でしかないし、その前にねねさまが発した言葉はもっと訳が分からない。




「どうやらあの方には、複雑な事情がおありの様子だなぁ」




 元々が複雑だと、自分が問い詰めてもどこまで本当で、何を隠しているか全てを読むことは難しい。

 はぁ、とため息を吐いて半兵衛もまた来た道を戻っていった。



読了ありがとうございました!

じわじわとブクマ増えまして嬉しい限りです!

続編も併せてブクマ・ptよろしくお願いします!


続きは近日公開予定です!

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