3 撤退戦開始! 送り出された戦場は……
昨日更新する予定でしたのに遅くなり、申し訳ございません。
待っていただいた方、ありがとうございます。
さらに内容でもお待たせしてます、金ヶ崎撤退戦開始です!
越前領へ侵攻した織田・徳川連合軍は入ったその日のうちに朝倉家が持つ城一つにそのまま攻め入り、翌日に朝倉家家臣の一人を下した。
それを受け、朝倉軍は連合軍が攻め入った敦賀群を放棄。軍を防衛に向いた峠まで下げ、体制を立て直す。
このまま戦は織田方に有利に事が運ぶと思われた。
――浅井長政の裏切りがなければ。
「報告! 浅井長政裏切り! 後方より、浅井軍が攻め寄せております!」
「バカな。長政は余の義弟ぞ! 裏切るはずがない」
「し、しかし……」
報告にきた兵士が信長様の剣幕に押されて怯む。
ただ事実を報告しにきただけなのに少し可哀想。
しかしその兵士と同じ知らせを持って、諜報活動をしていた他の家臣からの伝令が次々と入ってくる。
それでも信長様は信じたくないようで、それを受け入れた指示は出さずにいた。
そこに、最後に入ってきた兵士が信長様へあるものを渡した。
「これは?」
「お市の方様より、信長様へ渡せと」
それは現代までも伝わっている小豆袋だ。
両方の口が縛られた小豆袋が意味すること。
ここまで届いてきた伝令からの知らせからも明らかなことだった。
挟撃。
長政の元にいるお市様が送ってきたものならば間違いないだろう。
「…………全軍、撤退だ」
信長様は悔しい表情で皆に指示した。
これより金ヶ崎の撤退戦が開始される。
半兵衛直属の軍の一兵にすぎない私は、半兵衛とは違って作戦会議に参加することはできないので半兵衛がいる位置に近い陣幕の裏から話を聞いていた。
「殿を頼む者だが」
「信長様! 殿はこの私めにお任せください!」
「……サル」
一番に名乗りをあげたのは、寧々子の夫である秀吉。
まだこのときは改名前なので藤吉郎だ。
この戦の後改名していることが、私が知る歴史。
しかし改名するしないの前に、半兵衛が視たという死の運命だ。
この挟撃戦における殿役はそれだけでもう命を捨てているようなものだ。
私が知る史実では奮戦で生き残っている。
これが半兵衛の力による作用であると考えるならば、私はそれを止めるために行動せねばならない。
さて、どうする。
武力が欲しいが、今回秀吉の友人でもある前田利家がメイン火力であると考えられるので、彼を信長様が手放すわけはないし、今の私はただの一兵。
彼に進言したところで主の命令とあらば、突き返されてしまう。
残る主軍である明智光秀と池田勝正を使って運命を交わすしかない。
いやもうそれ結局変わってないな!?
私が誰よりも奮戦するしかない。
などと考えているとふいに肩をポンポンと叩かれる。
半兵衛だった。
「話、聞いていましたよね? 知っている流れと違うところはありました?」
「ないです」
「ということは、やはり僕の出番ということになるのでしょうね」
それはそれでちょっと見てみたいけど、力の代償が寿命つまりは命なのでそんなことを軽々しく言えるものではない。
知っている史実と違う流れ。
違うこと。
あっ。
「異なる部分がここに一つあります」
「それは?」
「私です。私がいるはずがないのです。だから、私がここにいるだけでもすでに意味が違うものになっていると思います」
ポカンと口を開けて固まる半兵衛。
続いてクククと肩を震わせ、声を殺して笑いだす。
「なるほど。確かにそうですね。ならば、あなたを存分に使うことにしましょう」
「何か作戦があるんですか? 半兵衛殿」
「ええ。並みの兵士相手ならばあなたはもう十分一人でも強いのでね?」
そのあと半兵衛に告げられた内容は。
「結局やけくそみたいなもんじゃないかーーーーーーーーー!!」
まじの殿だった。
秀吉や明智光秀、池田勝正の軍が後ろで要所を守りつつ、信長様が退き口へたどり着くまでの間の時間稼ぎをしている最中。
私は半兵衛に与えられたわずかな手勢と共に最前線に出された。
最大の囮役である。
「いたぞ! 織田軍だ!」
「人数が少ない。はぐれかもしれねぇ。やるぞ!」
士気が高い朝倉軍が意気揚々と攻めてくる。
私と共に配置された兵たちは怯み、引き腰だ。
初めて出た桶狭間の戦いでビビっていたあの頃の自分に言ってやりたい。
ビビったまま引き返せ、と(泣)
「ああ、もうやけくそだ!! お前たち! ビビるのは勝手だが、半兵衛の言った時間まではここで踏ん張れよ!?」
「えっ、はい!」
仲間が私の怒気を含んだ口調にビビって同じ立場であるはずなのに、敬語で返事をする。
それを聞いてすぐに私は地を蹴った。
槍を構え、意気揚々と迫る朝倉軍へ一人で突進した。
一人突っ込んでいく私を、攻めに来た朝倉軍はバカかと愚弄するかのように笑う。
私と彼らの道が重なった。
「うああああああああああああっ!」
上がった悲鳴は、朝倉軍兵士。
それに驚いたのか、後続してやってきた兵士が足を止めて構える。
私は槍についた血を払うように薙ぐ。
「ここから先は、行かせない」
いるはずのない姫の、奮戦が始まった。
読了ありがとうございます。
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これのあと、新作を投稿予定です。
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