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最終話:私達の戦国時代到来

いつも読んでくださりありがとうございます。

ブクマ・pt感謝です。


これが一旦終幕となります。

最後までお付き合いください。












 ついに再会を果たした私こと寧々子と三吉。

 感動はないけど、涙は出た(笑いすぎただけである)。

 目の前にいる三吉はみるみる不満そうな顔つきへと移行していた。




「姉さん、笑うのは終わった?」

「あはっ、あはは。はいはい、もう終わりにするわ。ふふっ」

「姉さんだって “ ねね ” から脱してないじゃないか」

「私は “ 子 ” が外れてるもの」

「屁理屈」




 頬をぷくっと膨らませてより不満の意を全面に押し出してくる。

 そろそろ笑うのは終わりにしてあげよう。




「ところで、逆行転生って言葉を出しただけでよく僕だって分かったね?」

「まぁ、三吉も転生していることは聞いていたからね」

「誰に?」




 そこで私は三吉にこれまでのことを全て説明した。


 私達姉弟は本物のねねさまの願いを叶えるために召喚されたこと。

 願いの内容は、三吉が転生した人を救うこと。

 私がねねとして生を受け、これまで生きてきたこと。


 などなどを簡潔にまとめて話した。


 三吉は途中から理解することを放棄したのではないかと思うくらい無の表情を浮かべていた。

 しかし話を止めることも遮ることも、途中で部屋を抜け出すこともせずに黙って聞いてくれた。

 表情だけで返事をしていた。

 すべてを聞き終える頃には、青い顔と変な生き物にでも会ったかのような複雑な表情を浮かべていた。




「マンガみたいな世界だね。普通の戦国時代にきたと思っていたけど、その能力者? というのがボチボチいるってことはファンタジー戦国みたいな?」

「そうだね。でも能力バトルみたいなのは二十年くらい生きてきたけれどなかった。ちょっと能力が使われることはあったけど」

「へぇ。ちなみに現状分かっている能力者って誰?」

「えっと、本物のねねさまと竹中半兵衛の二人。私たちはねねさまの能力の一環だから能力はないんだって」




 それを聞いて少し残念そうにする三吉を見て、勉強一筋の弟にもそういうものに憧れることがあるんだなと感心する。


 ほんとに姉弟なんだなぁ。




「それで、その話で行くと僕を、つまりは石田三成がねねさまの救いたい人ということになる?」

「そうだねぇ。可愛い子飼い武将の一人だったからなのかな。救いたい理由は教えてくれなかった」

「それをクリアすることが、僕たちがここでやるべきこと、ってことだよね?」

「――やらずにこの時代を謳歌することもできるよ?」




 私の言葉に反射的に顔をあげて「なぜそんなことをいう?」という顔を向けてくる弟。


 前世でも三吉は、親の望むレールを親と親へ歯向かって全てを弟に押し付けた私のために勉強をがんばっていた。

 真面目に頑張って、周りの期待や投げたものを拾って生きていたのに最後は通り魔に殺されて死んだ。

 せっかく生まれなおしたのにまた誰かの意図の上を歩くなんて不憫もいいところだ。


 しかもよりによって石田三成。

 敵を作りやすい言動を多数するが、本当は優しくてそのせいでチャンスを逃して関ヶ原で家康に負けた人。


 なんてまた悲劇な人に転生してしまったのか。




「お前が望むならお前の好き勝手に生きることができるよう今度は私が便宜を図る。かつ、ねねさまの望みも叶える。それができるように私はこの二十余年を生きてきた」

「姉さん……」

「石田三成として生を受けてしまったが同じ歴史をお前も歩む必要はない。というか、そうさせないための転生なんだけど。その流れで、いっそ武将やめるなら私は止めない。むしろそれが一番安全なのかもしれない」




 そこまでいうと三吉は黙り込んだ。

 そして考えるそぶりをとった。











 姉さんに武将以外の道を、石田三成ではない道を歩んでいいと言われて困惑した。

 そして、前にも似たような問いを平馬にもらったことも思い出す。


 みんな、僕に好きに生きていいと言ってくれる。






 ――とてもやさしい世界だ。






 前世での真面目な行いが、ここにきて報われたような気にさえなってしまう。


 でも僕はここに来る前にやることを決めているから。




「姉さん。僕は、ここで友達ができました。さっき一緒に忍び込んでくれた大谷平馬。彼が僕の前世と今、合わせて初めての友達。

 彼には、実は僕が転生者であることを打ち明けています。

 その上で平馬は、平馬だけは僕を佐吉ではなく三吉と呼んで友達でいてくれる。

 僕はそんな彼の力になりたくて、秀吉様に仕官しました。

 だから僕はここにきたこと、武将になったことを後悔してもいないし、全て自分の意志で決めたことです。誰かの敷いたレールではないです」




 僕の言葉に姉はみるみる目を見開いていった。


 前世でこんなに僕が自我をもって姉と対峙したことはきっとない。


 それにも驚いているだろうし、僕が自分ですべて決めてこの場に辿り着いていることにも驚いていることだろう。




「だから、僕は武将を辞めないです。ついで、姉さんの話をきいたらより石田三成を辞められません。僕も姉さんがやろうとしていることを手伝います」

「三吉……お前……」

「でも最優先事項は平馬です。僕はそのためにここに来たから」




 最後の言葉に安心したのか、ふっと目を細めて微笑む姉。


 体がねねさまのものだから、めっちゃ美人に見える。辛い。




「そうか。お前がそれでいいならいいだろう。何かあればいつでも私の元へ来なさい。ややと他の者にも伝えておく」

「ありがとう」

「あと、その友情は加減を間違えると重くなるから要注意な」

「えっ」




 僕のこれ、重いのか……。でも平馬は喜んでくれたんだけどな……。


 いやきっと、平馬基準で図るのはよくない。もっと周りを見よう。










 弟の自立心さえ感じる言葉の数々に、さっきとはまた別の涙が流れそうだった。

 それをグッとこらえて精一杯の笑みで返した。


 死に別れて、別々の家庭に生まれて、違う環境で育って、きっといろんなことを知っていったのだろう。

 その中でいい出会いに恵まれたのだな。




(あまり深く心配しなくてもいいのかも。それでも……)




 私が知る歴史と、今までねねとして生きて歩んできたこの時代の歴史の流れは変わっていない。

 それはつまり、このままでは結局三成が死ぬバッドエンドが変えられないことに他ならない。


 どこが三成を生かす道へ繋がるきっかけになるのか、未だに分からない。


 けれども、人脈も私自身の戦闘力も増えている。

 半兵衛という心強い味方もいるし、思わぬ収穫ではあるが妹のややも力になってくれている。




「これからが私の、私達のほんとうの戦国時代到来、ってとこね」


















 ――寧々子と三吉の再会までの年数、約二十余年ほど。



 ここから実質、三成の命運を分けた天下分け目の大戦・関ヶ原の戦いまで約二十八年。



 友のために、自分のために武将となった三吉。



 周囲の者に触発され、さまざまな想いや願いを背負っている寧々子。




 運命を覆すために二人はいかにしてこの戦乱の世を駆け抜けていくのか。




 二人の本格的な戦国物語はこれからだった。


読了ありがとうございました。


この続きを新タイトルで二週間以内に公開予定です。


また、本編を進めることを優先し、入れずにいた戦を番外編で公開予定です。

特に金ヶ崎撤退戦!!半兵衛が能力使用時ね!!絶対かく!!

そこまで書ききったらイベント用に自費で本にして出したい(願望)

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