寧々子ターン:邂逅!竹中半兵衛
いつも読んでくださりありがとうございます。
竹中半兵衛登場回です!
私が一番好きな竹中半兵衛は、〇国〇双の竹中半兵衛です(笑)
でもここで書いた半兵衛像は別で考えています!
それは時さかのぼって三吉が秀吉に仕官する前のこと。
桶狭間の戦いに勝利し、秀吉とも婚姻が無事結ばれた私・寧々子は着々と出世街道を歩む夫を陰から支えていた。
夫となった秀吉がこの長浜城主になるまで約十四年。
秀吉が参加する戦いにこっそり参戦し、変装技術や武術をひそかに鍛えた。
これまで参加した主要合戦は、
現代でも有名な秀吉が初めて一夜城を成した稲葉山城攻め。
信長様が足利義昭の上洛を手助けした道中にあった箕作城の戦い。
朝倉征伐戦中、信長様の妹・お市様の嫁ぎ先である浅井家が反旗を翻し挟み撃ちにされたときの決死の撤退戦・金ヶ崎撤退戦。
朝倉・浅井家滅亡への決定打となった小谷城の戦い。
またその過程で秀吉が雇用した武将とも親しくしてのちに打てる手を一つでも多くできるように準備をしていた。
戦に参戦するようになってからは世の情勢により敏感となり、その情報収集も妹のややと協力して集めていた。
ややといえば、彼女にも私が結婚してからそう経たないうちに婚姻の話題が上がった。
いやむしろ、私が秀吉と結婚したことにより義父が焦ったのかもしれない。
浅野家の名を残すにはもはや、ややが婚姻するより他ないのだ。
義父・長勝から妹の政略結婚の話題が上がった日、私はややに謝罪した。
しかしややは、
「いいのです。私の存在が姉上の一助となったのであれば一番の幸福です。それにたとえ結婚しても私は、ねね姉上の側から離れませぬ!」
などと言い、夫となる安井重継の子・長吉と本気で交渉して私の側に未だにいる。
秀吉も「かまわん!」と言って夫婦セットで居住を受け入れている。
なので、せっかく結婚したというのに二人は未だ跡継ぎを成していない。
二人が結婚して十年は経過しているわけだし多分義父・長勝はヒヤヒヤしている。
ちなみに二人の仲が悪くはなく、むしろ良好故に妻のわがままを受け入れているのだ。
これじゃ、子は成せないでしょうね!
しかしややは私よりも情報収集能力に長けており、その他にも私が城を抜け出す際の取り計らいなどをしてくれているので手放せないのも事実。
これはいずれ二人に二人だけの時間を設けたいところ。
これがこの約十四年ほどの間に起きた主要な出来事。
自室で一人、過去の出来事へと思いをはせながら記録を漁っていると、
「おねね様、失礼しても?」
「この声は……どうぞ!」
呼び掛けてきた人に入るよう促すと、外から顔を見せたのは竹中重治。
つまりかの有名な両兵衛と呼ばれた二人の武将の片割れ・竹中半兵衛である。
声の主が半兵衛であると確信すると私のテンションはハイになった。
「半兵衛!! 今日も美しいね!!」
「おねね様、開口一番にそれ言うと、秀吉様に怒られるよ」
「今はいないから大丈夫!!」
なぜ私のテンションがこんなに高いのかと言うと、何を隠そう私が最も推す戦国武将であるからに他ならない。
信長様に会ってお話できて仲良くしてもらって友達になれただけでも身に余る光栄だ。
しかし実はこの竹中半兵衛とも、とある秘密を共有する友人となっている。
なぜそうなっているか分からないと思う。
なので半兵衛と出会ったときのことを話そう。
それは秀吉が竹中半兵衛を口説いて連れ帰ってきた日。
半兵衛の新しい住まいが決まるまで半兵衛一家は一時我が家で生活をすることになった。
挨拶させるために半兵衛だけを、秀吉が私の部屋に連れてきたときが初対面となった。
「えっ、この方が竹中重治様!?」
「そうだとも! ねねも半兵衛のことは知っていたか」
ええ、前世から知っています。
思わず某「なんとかの名は。」映画の主題歌が頭を流れたくらいには知っています。
マイナーなのかもしれないけど、私の中では王道です。
それよりも本物の竹中半兵衛が、美しすぎる。
何やら私を見ながら目を細めているが、そんな小さい動きさえも絵になってしまう人だ。
「――初めまして。少しの間ですが、身内共にお世話になります。藤吉郎様の奥方さまですね?」
「ねね、と申します。いつでも鞍替え希望です」
「えっ、ねね!? それはいかんぞ! 半兵衛の顔がいいからと積極的に口説かないでくれ!」
思わず素で出た発言に秀吉は慌てふためき、半兵衛は呆気としたがすぐに大笑いした。
そしてその日の晩、驚いたことに半兵衛が私の部屋に一人で訪れてきた。
「夜分にすみません。今、お一人ですか?」
「あ、はい。夫なら今、湯浴み中です」
「それはよかった。お近くに寄っても?」
「は、はい」
よかった、とは。
なにか秘密の話なのか、それともさっきの発言を本気で受け取ってきたのだろうか。
半分くらい本気だったけど、それでは歴史が変わってしまう。
などと焦りをにじませていると、半兵衛が静かに話を切り出した。
「実は藤吉郎様に、お二人が恋愛結婚であることをお聞きしました。ねねはわしの出世を信じて協力を惜しまず、周囲の反対も蹴って結婚してくれたのだと、申しておりました」
「まぁ! 人づてに聞くと照れます。ふふ、夫が出世することは事実ですので」
「……何をもってそれを確信していますか?」
ワントーン低い声でそれを問われ、これはなにか探られているのかもしれないと思考する。
前世での知識です、なんてことは言えないのでどう切り返すか悩む。
「半兵衛殿が、あの人に見たものときっと同じではないかと」
きっと秀吉が何回も口説きにきた情熱を見込んでの仕官受諾であると私は考えてそう切り返す。
私の返しに、半兵衛の目が見開かれる。
そのまま前を向いて何かを真剣に考えている。
それが、重苦しい空気に感じて冷や汗をかいてしまいそうだ。
「では質問を変えましょう。僕を見た時、何か感じたりしませんでしたか?」
これまた抽象的な質問。
なにか確信に触れにくいことを知りたいのだろうか……。
私は全く見当がつかず、首をひねる。
そのまま一拍。
半兵衛はガクッと肩を落とす。
「すみません。僕の勘違いだったようです。これまでの問いは忘れてください」
「なにか誤解を与えることをしてしまったようで申し訳ございません」
「おねね様が謝ることはありません。僕が深読みしすぎたのです」
「軍師なのですから考えが深くてもなにもおかしいことはありません。ぜひその知力で、夫を天下へ近づけてください」
「……天下をとらせよ、とは言わないのですか?」
「信長様がいますから」
「信長は死にますよ」
急に発せられた確信に満ちた言に思わず半兵衛の方を勢いよく振り向く。
目があった半兵衛は嘘や憎しみといった負の私情を宿す目をしていなかった。
ただただ淡々としている。
まるで未来を知っているかのような、断言。
「あの人の通る道には、死体が多すぎます。歩みを邪魔するものは切り捨てていく。僕はそれが嫌で信長に仕官はしなかった」
「ではなぜ夫には?」
「あの方は、僕を自らの足で何度も説得をしに来ました。思い通りにならないからと斬って捨てたりしなかった。それに心打たれ、天下泰平を築くのにふさわしいと考えました。 ……救いたいと、思いました」
「救う?」
私が知る歴史では秀吉は老衰による病を起こして亡くなったのですぐに死ぬことはない。
私からすればどちらかというと半兵衛に己の心配をしてくれと言いたいところだ。
秀吉よりも先に亡くなるのが半兵衛だし、亡くなる歳も若めだったはずだ。
「藤吉郎様は、信長様が死ぬ前に――死にます」
――は?
私の思考は停止した。
続きは明日!
思ったより長く書いてしまったかもです。
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