寧々子ターン:プロポーズは嵐と共に
日間・週間ランキングにまだいられて光栄の至りです。
ぜひpt、ブクマよろしくお願いします。
今回から結婚回が始まります。
桶狭間の戦いが終わってからは世の中の情勢が大きく変化した。
それまで有力大名であった今川義元が討たれたことにより、今川家は力を失っていった。
その過程で人質であったのちの徳川家康である松平元康は今川家より離反し、織田家に講和を持ちかけて現在同盟への交渉中。
また、今川・北条・今川間で結ばれていた三国同盟は破綻への道筋を歩んでいる。
義元の死でこれまで大人しくしていた北条武田に敵対する勢力が続々上杉へと与していき、上杉謙信の力が強まっていったのも一端にある。
私はと言えば、あのあと戦の勝利に沸き上がっている味方軍の騒ぎの最中、こっそり姿を消して家に戻った。
抜け出したときと同じルートを逆戻りで進んで戻ると妹のややが、戻りが思ったより遅かったことに心配して待ち構えていた。
ボロボロになっている私をみて驚きはしたが、無事に戻ってきたことに安堵したのか泣きながら抱きついてきた。
それから約一年近く経った頃のある日。
秀吉が一人、わが家へやってきた。
「ねね殿、お久しぶりです。あの戦の後来た一度きりで、しばらく連絡もこちらへ足を運ぶこともせずすみません」
「いいえ、お忙しくなると分かっていたので」
そう、実は桶狭間の戦いの後、勝利の知らせを義父・長勝よりも先に秀吉は我が家に駆けつけて伝えてくれたのだ。
実際現場にいた身なので結果を私だけは知っているが、それはバレてはいけないことなので「実は知ってます」などと言うことはせず、大層喜ぶフリをした。
それ以降、秀吉は私にそれまで送っていた手紙をあまり送ってくることもなければ会いに来ることもなかった。
しかし最後に会いに来てくれた時に、これから忙しくなるかもしれない、と告げられていたので特に心配もしていなかった。
まぁ実際忙しくなるのを知っていたからでもあるんですがね。
「誠に、いい姫様ですなぁ、ねね殿は」
「そんなこと……」
「今日はお話があって参りました」
「はい」
「――わしと、結婚してください!」
結婚。
その二文字に、私はすっかり忘れていたことを思い出す。
そういえば桶狭間の戦いからそろそろ一年ぐらい経っている。
秀吉とねねが結婚したのは桶狭間の戦いの翌年だ。
つまり、今か!!
なんてこった。
なにも考えていなかった。
いやでも結婚するのが正規の歴史なんだしオッケー出すべきだよね。
一応友達的な関係になってから六年、デートとか手紙とか交わして悪い人ではないこと、むしろ先が楽しみな人であることも分かった。
なによりこの前の桶狭間の戦いで、背中合わせで戦った時の安心感はすごかった。
純粋にこの人の歩む道を支えたいと感じた。
しかしそれは恋情とは別物な気がする。
考え込んでしまった私を見て秀吉はそれまで緊張した面持ちでいたが、だんだん眉を下げて不安そうな表情へと変化していく。
「まだ、早かったでしょうか……!? しかし出会ってからもう六年経ちますし、ねね殿ももう十四になります故、これ以上待つと政略結婚の話がきてしまうかと思って……。それともやはり仕事ばかり優先してしまって怒ってらっしゃる!?」
なるほど、年齢も考慮してのプロポーズ。
タイミングとしては確かにバッチリだ。
一年近く連絡もデートもないことも普通の女子であれば怒り散らし、別れを告げるところではある。
しかし残念ながら私は普通ではないので結婚してからそんなことがあったとしてもきっと問題ない。
などと冷静に分析している場合ではない。
前世で恋愛経験がなかったこともあって正直この気持ちで結婚していいのか悩ましいところだけど、嫌ではないので。
「いえ、怒ってはいません。本当です。少し驚いてしまって。返事はもちろん……」
オッケーの方に答えようとしたとき、部屋の襖がシュッと勢いよく開いた。
それに驚いて秀吉共々、そちらを向くと、
「母上!?」
「えっ、お母様!?」
ねねの実母・こひ、またの呼び名を朝日殿が仁王立ちして厳しい顔で立っていた。
そういえば今日、ここへ私とややに会いに来ると義母・ふくに言われていた。
今来たということか。
「お話、聞かせて頂きました。そして母より、一つ言わせてもらいたい」
「は、はい」
私の代わりに秀吉が緊張混じりの声で返事をする。
これは……まさか。
「二人の結婚に、反対でございます」
キターーーーーー!
どの時代でも十くらい家庭があったとしたら一ぐらいはありそうな、親の結婚反対意見。
私の知る歴史でも秀吉とねねの二人は恋愛結婚であったが、それに実母・朝日殿は反対だったと記憶にある。
初の親子喧嘩イベントが発生した。
よくよく考えたら、娘の結婚に父が反対することは定番だけど、ねねさまの家は逆でしたね。




