勝利
「いやー今回もすごかったねー!!わったしもだいこーふんだったよ!」
そこには、本当にとても興奮しているためか、とても楽しそうに身振り手振りで自分の感情を伝える女がいた。
すると隣にいた女がそれを制止しようとする。
「静かにしてっ!朱音ちゃん!ほら、周りの人に見られてるよ…」
朱音は周りを見ると、それは確かに、と顔を赤らめながらいったん興奮を静めた。
それもそのはず。今はファミレスに来ているため、多少の話なら別にいいが、あまり大きな声をだすと他の人の迷惑になるからだ。
すると、朱音の正面にいた男が、まぁまぁとなだめながら、朱音の話の続きをした。
「まぁ、そんなに怒るなって香。今回はみんな頑張ったんだし、その気持ちもわかるだろ?それに比べて俺はさー、せっかく準備してたのにさー、あんま出番なかったしさー、ポイント稼げなかったしさー。」
その言葉に対して、隣に座っている男がフォローを入れつつ、なんとなくいい感じに話をまとめる。
「まぁ、珠希も落ち着けって。今回のオーノル王国の精鋭部隊を倒せたのも、地上の陽動部隊がしっかり働いてくれたおかげだし、それを支えてやったのもお前だろ?みんなが頑張って、今回も俺らが所属するローリェ権国が勝ったんだ。報酬もうまいしそれでいいじゃないか。」
それに対して、コップに入っているメロンソーダを一気に飲み干して、かなり不満そうに珠希は返答する。
「でも冬樹、俺結局防御魔法使わなかったし、意味なかったくね?だってこっちの部隊が転移した瞬間に、敵が気付いて攻撃してくることを想定してたのによ、結局魔力切れになるまで敵攻撃してこなかったし、切れた後はスグ転移したから結局みんな無傷だったし…。」
そのころの情景を思い浮かべているのだろうか。珠希ははぁ、と深いため息をつき、若干うなだれている。
「でも、珠希くんとアイさんが防御に専念するって言うから、私と冬樹くん含めた上空部隊は、地上部隊に陽動を任せれたんだよ?いくら最新兵器を使ってるからって、テレポーテーションできるのは30人しかできなかったんだし、かなり不安だったんだから…。」
香も当時の状況を振り返りながら、言葉の援護射撃を行った。
もとから彼はポジティブ思考なので、おそらく自分が活躍しなかったことを冗談交じりで話していたのであろう。
あっさりと、まぁ、そっか!結局勝ったんだし、まぁいいっか!と開き直った。
そして、私の存在も忘れてもらっちゃ困るといわんばかりに、朱音も話に乗っかる。
「でもでも!その最新武器は私が開発したのよんっ!構想はアイちゃん原産だけど、私のスキルがなかったらここまでうまく作れなかったっしょ!」
わざわざ持っていたフォークを皿に置いて、そこそこある胸をさらに張りながら、えっへんとややオーバーリアクション気味かつ自慢気にそう話した。
それに対して、突っ込もうか突っ込ままいか、微妙な顔をしながら香が返す。
「ま、まぁそうね!朱音ちゃんすごい!…それにしてもこのVRゲーム"The Load"ってほんとすごいわよね。通常の陸海空魔の技術ツリー以外にも、構想がしっかりしていれば自分でオリジナルの兵器を作ることができるんだから…。前々回の国家大規模イベントからオリジナル兵器の開発競争はあったけど、今回はそれを身にしみて感じたわ。それに、今回はうちのギルドメンバーが全員死ななくてよかったね!」
そう、彼らが話している内容は、VRMMOである"The Load"で先日行われた、国家総力戦大規模イベントという1年に1回ある大規模イベントの出来事である。
このゲームは科学と魔法が舞台の世界で、7つの国に分かれたプレイヤーがイベントやミッションを通して、自国の発展と繁栄を目指していくというコンセプトのゲームである。
そして数多くのVRMMOが世に出回っている時代で、このゲームはとりわけガチ~中堅ゲーマーの人口が高く、その層にとても人気があった。
その理由の1つとして、現実の1時間が通常のゲーム内では4時間になる加速時間システム、モンスターや宝箱があるダンジョンシステム、1から自由に兵器や魔法を作ることができるフリーメイキングシステム、多彩な職業兵科スキル魔法生活兵器etc...など様々な理由が挙げられる。
これだけ聞くと、なんだ他にも似たようなものがあるではないかと考える人もいるかもしれない。しかし、それらのゲームシステムが本筋ではない。
このゲームはとことんリアルにこだわっており、基本のFPSやグラフィックはほかのゲームと比べても比較にならないほどよく、使用されているNPCのAIは定型文が基本的にはなく、まるで本物の人間と会話してるかのような受け答えをし、フリーメイキングシステムでは現実の科学や理論を生かして、実際にも作れそうなものを作ることができる。
このような理由で、やり込めばやり込むほど強くなる世界、現実よりも気軽に現実味が体験できる世界、ファンタジーにも親しみやすい世界などとして多くの人がプレイしている。
また、これらは既存のゲーム社会ではありえないくらいの高性能のゲームなので、一部の学者は、脳に過負荷がかかって寿命が短くなるのではなどと懸念もしている。
さらに特筆すべき特徴として、このゲームが死に重点を置いていることが挙げられる。
他のゲームではいわゆる『死にゲー』など死んで覚えるゲームであったり、死亡しても街に転送されるまで猶予時間があり、その間に蘇生アイテムを使用することで復活できるなどある。
しかしこのゲームでは、いわゆる蘇生アイテムは基本的に存在せず、一度死亡すると直接その場で復活できることはまずない。そして、ゲーム内で死亡すると、ゲームが強制シャットダウンされて、強制的に現実世界に呼び戻されるのである。
一部には、死んで強制シャットダウンする瞬間のドキドキを楽しんでいるマニアックな人間がいるとかいないとか。
おまけに、死亡するとステータスがそのレベル帯に応じてダウンする。もちろんレベル~以上などある程度の条件はあり、初心者には優しい設計(当社比)となっているらしい。が、それでもゲーム初心者には少しきついかもしれない。
ゲームの運営会社への問い合わせで、強制シャットダウンは急に来てびっくりするため心臓に悪いし、まず第一、他のゲームでは死亡に関するデメリットはないので、このゲームでもそれを廃止してほしいというようなことがあったらしい。
これに対し運営は、『このシステムはこのゲームの独自性であり、価値でもあります。そのため、これからも仕様として続けていきます。』とのことだった
未だに、死亡してステータス低下が起こったプレイヤーがwikiなどに文句を書き込んでいたりするが、運営はそのシステムを変更する気はさらさらないらしい。
補足しておくと、生活系のシステムも基本網羅しているが、やはりそこはゲームの宿命。男性プレイヤーの方が基本的には多い。ただ、キャラの性別は基本的に自由に選べるため、女性キャラクターを選んぶ男性もかなりいるとかいないとか。間違ってもオフ会で絶望してはいけない。
その朱音と香の受け答えを見ていた冬樹は、少し笑いながらゲームのことについて話す。そして、どうしても気になっていた、同じギルドメンバーのアイについて触れる。
「まぁ、俺としても割と真面目にゲームをプレイしてるから、ステータスの低下は好ましくないな。それにしても、アイさんってすごいな…よくあんな装置を構想できたもんだ。量子コンピューターの応用だっけ?なんでも、俺たちが仮想世界にいることを利用して俺たちのステータスやら装備を情報データに落とし、それをさらに量子もつれを使って離れた位置に転送する?それで、転送前のデータが残っているとエラーやらバグやら発生してゲームの規約に反するから、そのデータは消すとか…。うーん、ちょっと俺には想像が及ばないなぁ…。」
冬樹は若干、自分1人で考えるような感じになり、独り言みたいになっていた。それでも、自分が現在持っている知識では理解できないことを理解したのか、必死に考えるのをやめた。
そんな冬樹の、自分がわからないことがあると考えこんでしまう癖はさらっと無視して、難しい顔をしながら朱音が同様にアイに触れる。
「んーーー。私もアイちゃんから色々教えられて、兵器や武器の開発はしたんだけど、ぜんっっぜん理解できなかったよ。物理とか量子論とかを習っていたゆきがわからないなら、生物と化学しかできないだった私には到底無理だよぉ…」
少し悲しげな声を上げながら、無理無理と首を横に振る姿は少し可愛らしい。
また、冬樹をゆきと呼ぶあたり、朱音と冬樹の仲がかなりいいことがわかる。
ここには、東条 冬樹、豊田 珠希、琴葉 朱音、椎名 香、の4人がいるが、前者の3人は小さいころからの幼馴染、香は高校の時に知り合った仲だ。
そして、全員同じ大学に行き、物理工学科、動物資源科学科、生命科学科、電気電子工学科とそれぞれの選択をし、今は別々の道へと進んで社会人となっている。
それでもこうしてリアルで年に何回か、さらにゲーム内では頻繁に会っているため、そこまで関係が疎くなったわけではない。
「今回私たちの部隊専用で考案してくれたレールガンもすごかったよね!…はっ!そういえば通常ツリーの上位位置に砲兵用の大型レールガンがあるけど、あれって威力上げるためにオイルコンデンサ仕様で、連射性がほぼ皆無で使い勝手が悪いから、私たち魔導士には実践向きじゃないのよね。なんだっけ?私たちのオリジナルレールガンは、電解コンデンサ仕様で、さらにその誘導体の部分をゲーム内で得られた金属に置き換えて、電気容量と誘導率を上げたんだっけ?ふつうは酸化アルミニウムを使うところを、魔法と親和性が高いマリトチウムに置き換えて魔導士が使いやすいようにするとか…。魔法はコンデンサの充電のみに使うから、実質魔導士で魔法を使いながら、高威力の純物理エネルギー攻撃を出せるようになるなんて!言われるまで、全然わからなかったわ!それを一からかんがえて作るなんて…やっぱりアイさんはすごい!!。」
香もアイの話に触れるが、ここでゲーム魂と理学部魂に火が付き、ついつい自分の世界に入ってしまう。
普段の彼女は誰に対しても優しいかつクールであり、多くは語らないため、会社の友達やクラスの知り合いが今の彼女を見るときっと驚くだろう。
本人曰く、その結構奇麗な見た目とその本質のギャップから、周りから疎まれることが小さいころにあったため、それを恐れているらしく、普段は自分で抑えているらしい。
しかし、こうして気の許した友達と話をするときはついつい素が出てしまう。それだけ朱音たちとは仲がいいのだろう。
ちなみに、自分の趣味やゲームに熱中しているときは、ついつい悪口や暴言を吐いてしまうため、表裏が激しい人間と言えるだろう。
そのマシンガン並みのトークに対して、珠希は手をひらひらと振り、はいはいと受け流す。
「さすが、電電本家。だが俺にはさっぱりわからん。とりあえず、アイさんがすごいことだけはわかった。でも、本当にアイさんは何者なんだろうな。…最近、ゲームwikiの雑談掲示板で見たんだけど、実際の軍事関係の科学者がゲームに潜って、兵器の試作をしているらしい。もしかして…!?」
「私もぜんっぜんわかんない!」
珠希は自分が先週見たネットのページを思い出しながら、アイについて思惑する。そして朱音も珠希の言葉に便乗して再び、自分もわからないとその旨を伝えた。
というのも、かなり初期のころからの同じギルドメンバーであるプレイヤー『コントワール・アイ』は、ギルド内で何回か行ったことがあるオフ会に参加したがらないのだ。
それだけではなく、自分の現実での素性もあまり明かそうとしないことに、ここにいる4人は前から疑問は持っていた。
しかし、ゲーム内でリアルの情報を聞いたりすることは基本タブーなので、アイが進んで話したくなさそうなこともあって、誰もあまり深く聞こうとはしなかった。
少し妄想気味な感じで珠希が物思いにふけっていると、何かを閃いたかのように手をたたき、ニヤニヤしながらその妄想の結論を告白した。
「もしかしてさ、アイさんって実は男性の科学者なんじゃね?リアルの姿が髭生やして眼鏡かけたおっさん
だから、会いたくないし話したくないのかも。そりゃぁ、ゲーム内では顔も声も美しいと評判の、誰もが知っている女性プレイヤーが、本当は臭いおっさんでしたってなったら、一か月くらいwikiで荒れるぜ。」
途中から本当にありえそうな予感がしたためか、初めはニヤニヤしてた珠希であったが、だんだんと笑いがクスクス、ハハハハと変わり、最終的にはゲラゲラへと変わっていた。
すると、それに対して香がムッとし、それはありえないと強気で言い返す。
「ちょっとそんな縁起の悪いことを言わないでっ!アイさんは絶対女性だわ!おっさんにあんなきれいな言葉遣いや動きは絶対できないわ!科学者は百歩譲ってあるとしても、おっさんはありえないわ!」
「縁起ってなんだよ。俺はただ自分の考えを言っただけだぞ?本当だとは言ってない。だが本当かもしれない。」
それぞれ香と珠希で、アイの女性説男性説に火花を散らしていたが、まぁまぁと今度は先ほどなだめられた朱音が2人をなだめようとする。
「まぁどっちにしろ、アイさんは俺らギルドの初期メンバーであり、大切な仲間だ。変に本人の嫌なところに深く聞き入ったりして、アイさんが脱退しますとか言い出したら目も当てられないぞ。その時は、珠希、まずお前を疑うからな?覚悟しておけよ。」
それに加えて、冬樹もなだめるというのか脅しというのか、若干脅し寄りだったが、これ以上激しく討論すると周りに迷惑なので、取り合えずその場を収める。
「いやいや、さすがに俺はそこまで非常識な人間じゃないですよー。妄想の中だけでも男にしときます。妄想の中だけね。」
これまた冬樹の言葉に対して、珠希も適当に流して終わらせる。こういう珠希の適当な態度も、小さいころから何度も見てるので、とくにムッとせず冬樹は話を続ける。
「アイさんの話はもう置いといて…、今回のゲームの報酬は何だと思う?」
そう切り出すと、他の3人はうーん…と悩む。もうこの問答はかれこれ6年半も行われてきた。
というのも、国家大規模イベントは第1回目を除いて、リアル年月で1年に1回行われており、今回でその大規模イベント、通称"世界大戦"は7回行われている。
そして、そのイベントの戦勝国と活躍したプレイヤーには、通常のイベントでは手に入らないような豪華は報酬がもらえるのだが、その報酬が毎回シークレットなのである。
そのためこうして今回もみんなで予想を行っているのだ。ちなみに当てた人には、残りの当てれなかった人がケーキをおごる約束にしている。
前回は朱音がニアピンだったので、みんなでケーキを買ってあげた。
太っちゃうと言いながら嬉しそうにもぐもぐと食べる姿は、まるでハムスターがヒマワリを頬にほおばるかのような可愛らしさがあった。
しばらく黙っていた4人であったが、質問をした冬樹がいの一番に自分の考えを述べた。
「前回の結果は俺の予想の斜め上を行ったが、今回の『権限級』アイテムは単純に考えると破壊・もしくは威力に関係するものだと思う。なんたって、今回のイベントの名前は"破断の賽"であるうえ、劣勢人類の半分を神が抹消するっていう設定だったからな。神器とは別の方法で他プレイヤーを殺すアイテムがもらえると思う。」
彼ははっきりとした口調で、しかし少し自信なさげに話した。なんたって彼は前回胸を張って宣言したが、その予想は外していたがため、少し自信がなかったのだ。
国家大規模イベントの戦勝国やその活躍したプレイヤーの一部には、豪華報酬と『権限級』のアイテムがもらえる。
『権限級』アイテムとは、アイテムの中でも最もレア度が高いものである。しかも国家大規模イベントの勝利報酬でしかもらうことができないため、Sレア中のなかのSレアな存在なのだ。
そのアイテムは、まさにチート級のものと言っても差し支えないだろう。
例を挙げると、ある国家大規模イベントの後でもらえた報酬で、『聖杯』が戦勝国に1つもらえたのだが、その効果が、1つだけなんでも運営に要求することができ、それに対して運営は可能な限りそれに対応する、というものだった。
すぐにその存在は知れ渡り、ゲーム内やwikiでもかなりの注目を集めた。しかし、これは個人に配られたわけではなく、"戦勝国"に配られたため、その国の重役についているプレイヤー全員が会合を開き、どのように使うかを決め会った。
個人に対する報酬ではないので、1人の重役プレイヤーが勝手に使うことがそもそもできないのだ。
結果その国は、適正のないものも含めた現状で存在する全科学兵器技術ツリーの開放、というものを要求した。
それに対し運営は、全技術ツリーの開放は不可能だが、他の国が現状まで開放している科学兵器ツリーはすべて開放する、といった返答をした。
これによって、科学技術ツリーをかなり進めていたタイラー共栄国の優位性が崩れ、その国は一気に科学力のトップに躍り出た。
まぁ、その国が冬樹たちが所属しているローリェ権国なのだが。
とまぁ若干話が逸れたが、それだけ『権限級』アイテムは強力で、毎回注目を浴びているということだ。
それに対し、珠希は若干眉をひそめながら自分の考えを述べる。
「でもそれだったら、戦勝国に対して配布しづらいよなぁ…。俺は今回のイベントでも起きた地殻変動に関するアイテムだと思うぜ。例えばその国の領域内のマップを変えれるようなものとか。」
なるほど、といったような顔をして、朱音は便乗する形で意見を言う。
「んーじゃぁわたしはそれになぞって、ダンジョン生成系のアイテムと予想する!結構いい感じじゃない?うんうん!いいかも!」
朱音は生産系の職業についていることからも、無意識的に新しい素材が欲しいという願望を混ぜたのかもしれない。
朱音がうんうんと納得している間にも、うーんうーんと一生懸命悩んでいた香だったが、他のメンバーが全員意見を出し終わったので、やや無理やりに自分の意見を作り上げる。
「うーん…私はそろそろ新しい兵器の設計図が来てほしいところだけど、それはなさそうよね…。じゃぁ、冬樹君と同じで安直に考えるけど、"賽"ってあるからサイコロ?とかイメージして乱数上振れさせる装備とかはどうかな?」
ちょっと心惜しげになっているが、本人は後からうじうじするのが好きではないので、もうそれ以上は言わなかった。
みんなが出そろったのを確認し、冬樹が締め切り宣言した。そして、手を振りながら香に慰めの声をかける。
「まぁまぁ、失敗したからってゲームのステータス下がる訳じゃないから、気楽でいいよ。」
その言葉に対し、少し香は顔を赤らめながら言い返す。
「で、でもやっぱり外れたりすると悔しいじゃん?前回は朱音ちゃんが勝ったから、今度は私が勝ちたいというか。」
すると何を感じたのか、珠希が右手に握ったフォークをくるくる回しながらニヤニヤする。
「なーに変な対抗心燃やしてんだ。どうせゲームだよ。ゲーム。」
単純なのか珠希に対する煽り耐性がゼロなのか、香はさらに顔を真っ赤にしてムキーッと珠希を睨む。
そしてフォークを肉に一気に突き刺して、大きい声で喚く。
「い、いちいち突っかかってくんな――!」
「じゃぁお前は、肉に一気にフォークを突き刺すなよ。」
なんともしょうもないことを言い返す珠希だった。
香ももう話さなければいいものを、それを聞いてさらに言い返す。それに対して珠希も…といった具合で以下エンドレス気味になる。
香は、もしかしたらたまにいる、しゃべらなかったら性格良く見えて美人、というような種類の人間なのかもしれない。
珠希はまぁ、普段の言動から若干緩い感じなので、普段の姿と友人の前の姿でそんなにギャップはないのだが。
そしてしばらく香と珠希の口論が続いた。そんないつもと変わらない平和な光景を見て、朱音も冬樹も思わず頬が緩んでしまう。
しばらくして、隣のボックス席に座っている人がこちらをチラチラ見てくることに気づいた冬樹は、一度こほんと咳払いをした後、急いで二人をなだめ、急いで話題を切り替える。
「とりあえず、今日の夜には報酬がもらえるだろうからそれまでの楽しみだな。あとは誰が栄誉ポイント報酬をもらえるか、というところかな。それでーーーーー」
そして、4人はファミレスで十分話をした後、カラオケなどいろいろ遊んで、日が暮れて少し経つころには、散り散りになってそれぞれの家に帰っていった。
日常!平和が一番!




