ねんがんのチートスキルを手に入れました
『魔法』
その言葉が出たら確定ですよねー。
何回も言うけど薄々とは気づいてたんだからね!
「ん?どうした?」
惚けていた俺にナイスミドルが問いかける。
「いえなんでも…ちなみに今って西暦何年でしたかね?」
「やっぱり記憶が混乱してるみたいだな、西暦ってのは知らんが今は新王暦210年だぞ」
「新王暦?」
「こりゃ重症だな、聖女サヤカ=ブラネスカ=ローネスト様が己の命と引き換えに破壊神グーミツを退けたのが新王暦1年、子供だって知っているぞ?」
「今サヤカっていいました?」
「こら、呼び捨てにするんじゃない、サヤカ=ブラネスカ=ローネスト様だ」
「ブラネスカ王国の第一王女だった?」
「なんだ知ってるじゃないか、記憶が戻ってきたか?」
あの空間でサヤカさんが言ってた名前と肩書きが一致している、ここは俺のいた世界じゃない、サヤカさんのいた世界だ、理由はわからないが俺はサヤカさんの元いた世界に転送されたのだ。
「記憶が戻ってきたのはいい事だ、ところで名前はわかるのか?」
「はい、リュウマって言います、出身はここからものすごく遠いニホンて国です」
「俺はゼル、昔は騎士団にいたがなんやかんやで今は冒険者をやっている、しかしニホンなんて国は知らないな、どこかで聞いた事のある様な気はするんだが…」
「それはとりあえず置いておいて、こんな辺境にいるって事はリュウマも冒険者なのか?」
「いえ、冒険者っていうのは?」
「知らないのか?ギルドから依頼を受けたり魔物の素材を売ったりして生計をたている者のことさ。」
そういったゼルさんは窓の外に俺の視線を促す、外をみると先程ゼルさんに倒されたエテ公達の毛皮が綺麗に洗われて洗濯物の様に干されていた、アーメン。
「それにしてもレッサーゴリラの群れに襲われるなんて災難だったな、こいつらは単体では弱いが群れをなすとC級冒険者レベルの実力がないと対処は難しい」
「本当にありがとうございました、ゼルさんがいなければ多分殺されていたと思います」
アイツら猿じゃなくてゴリラだったんだ、そういえばやたらと腕が逞しかったな。
「俺は長いことこの辺りを縄張りにしてる、魔物狩りに出かけて探知の指輪にレッサーゴリラの反応を見つけたと思ったら急に人間の反応も現れたんで慌てて駆けつけたんだ」
「探知の指輪ですか?」
「ああ、昔の仲間から貰った品でな、周囲のかなり広い範囲を探知してくれる、試してみるか?」
そういうとゼルさんは右手の人差し指に着けていた指輪を外し俺に渡してきた、シンプルな作りで小さな紫色の石が取り付けられている。
「目を閉じて指輪に意識を集中してみろ」
俺は言われた通りに目を閉じ指輪に意識を集中する。
すると頭の中に映画やゲームで良く見るレーダーの画面の様な物が浮かび上がりあちこちに大小の赤い点が無数に現れる。
「地図の中の赤い点は魔物だ、人間は青い点で表示される、点に意識を集中するとある程度の詳細が判る、」
なるほどね、理屈はわからないけど凄く便利な代物だ、人間が青い点で表示されるって事は中心の2つの青点が俺とゼルさんか。
「そのまま探したい物を浮かべみろ、ジェイケーちゃんだったか?お前さんのツレのお嬢さんをな」
サヤカさんの姿を思い浮かべてみる、ところであの子なんでセーラー服着てたんだろう?
『エラー、探知可能圏内に対象の反応はありません』
「頭の中に声が聞こえてきました、はぐれた女の子を思い浮かべたんですけど近くにはいないみたいです」
サヤカさんはどうやら近くにいないみたいだ、どこに行った俺の嫁(仮)
「そうか…俺もさっきお前さんの話を聞いて人間の反応を探したが駄目だった…」
「いえ、何故かわからないんですけど不思議と無事だと感じられるんです、なんか繋がっている感じがあるっていうか」
「その子とバディの契約をしていたのか?それなら安否を確認するのは簡単だ、ステータスボードを確認してみろ」
「ステータスボード?」
またゲームで聞いた事ある様なワードでてきた、異世界だってわかってたけどなんだかワクワクする響きだ。
「ああ、やっぱりまだ記憶が混乱しているみたいだな、本来ならマナー違反だが俺も一緒に確認してみていいか?」
「はい、やり方もわからないんでお願いします」
なんとなくサヤカさんがこの世界で英雄扱いされている事や何もない空間で聞いた神々の祝福の事で面倒になる事さ予想できたが背に腹は変えられない、それにゼルさんは信用できると思う、見ず知らずの俺の命を救ってくれた事もあるがそれだけではない、まだ出会って半日たらずだがこの人は信用てきると俺のカンが言っている、昔から人を見る目には自信があるのだ。
「それじゃあまず目の前に四角い枠を思い浮かべて『メニューオープン』と唱えてみろ」
「メニューオープン」
すると目の前にRPGのメニュー画面の様な画面が現れた。
「どれどれ、おおっ!お前さんストレージ持ちか、その歳で中々珍しいぞ、あぁスマンな、つい興奮した」
そうとゼルさんは頭をポリポリ掻きながら反対の手で俺の目の前のメニューの一番上にある所持品の欄を指指した
「この所持品の欄はストレージ持ちじゃ無いと表示されないんだ、お前さんくらいの歳でストレージスキルを習得しているのは大商家の跡取りくらいじゃないか?」
メニューボードを見ると上から、『所持品』、『装備品』、『スキル』、『パーティ』、『ステータス』の順に項目が並んでいた。
「それじゃあ『ステータス』の項目に意識を集中してみてくれ』
俺は言われた通りにステータスの項目に意識を集中する、すると目の前のウインドゥの表示が変わる。
【名前】ナカムラ=リュウマ
【レベル】1
【種族】人間
【年齢】17歳
【バディ】サヤカ=ブラネスカ=ローネスト
【称号】
異世界の社畜
異世界の核
死神の契約者
神々の祝福を受けし者
破壊神を退けし者
【習得スキル】
ストレージ(序)鑑定(序)生活魔法(覇)幸運(究)神々の祝福(神)
【能力値】
生命力 3
精神力 2
攻撃力 2
防御力 2
魔法力 2
魔抗力 2
速力 3
うん、大方予想してたけど多分これ普通じゃないね、証拠に一緒に見ていたゼルさんが目を見開いて固まっている。
「…やっぱり俺のステータス何かおかしいですよね?」
ゼルさんに尋ねてみるが反応がない、もしもーしと肩を叩くとビクっと震えて意識を取り戻した様だ。
「あ…あぁスマンな、あまりの事に少し呆然としてた、リュウマお前さん何者なんだ?ステータスは何人たりとも擬装できない、つまり真実しか映し出さない」
最初にゼルさんと会った時俺は頭がおかしいと思われる事を避ける為にサヤカさんの素性や破壊神の話はしないでおいた、しかしステータスを見られた今ゼルさんには真実を話しても問題ないだろう
「…と言う事がありまして」
俺は今まで起こった事を包み隠さず全て話した、世界の核についての話はマズかったかもしれないがステータスを見られた以上隠していると不信感を生む。
「うーむ、普通なら信じられない話だがステータスを見ると納得はできる、それに『神々の祝福』とんでもないスキルも持っているしな」
「どんな効果はわからないですか?それとスキルの後についてる『序』とか『神』とかってなんですかね?』
「あぁ、それはスキルの熟練度みたいなモノだ『序』はそのスキルを習得した、入門〜1人前みたい段階だな」
ふむふむ、とすると俺のスキル『ストレージ』と『鑑定』はまだまだ初心者レベル、とりあえず使えるって感じだな。
「次に『覇』、お前さんのスキルだと『生活魔法』だな、これは1人前〜その道の第1人者くらいとイメージしてくれ、ついでに生活魔法ってのは煮炊き用の火を起こしたり衣服なんかを清潔にする便利な魔法だ、生活魔法の覇を習得してるだけで貴族や商家の使用人として食っていける」
よし、これで最低限この世界でも食っていける技能がある事がわかった。
「そして『究』これは前の2つと違って滅多にその域まで達している人間がいない、習得してる人数の多い『乗馬』や『料理』でも2〜3年に1人現れるかどうかってレベルだ、俺の記憶だと昨年王都のレストランの店主が料理スキルの究を習得したってのが最後だったと思う、国中で話題になった」
俺のスキルだと『幸運』が該当する、このスキルの効果は名前の通りで間違いないだろう、あんなタイミングでゼルさんが俺を救ってくれたのがその証拠だ。
「だから俺はゼルさんに出会えたんですね」
「煽てても何もでないぞ、お茶のおかわりはいるか?」
心なしか耳が少し赤くなったゼルさんが冷たいポットを俺に薦める、なにこの人チョロ可愛い、不覚にも少し萌えてしまった。
「まぁここまでなら俺も混乱しなかった、幸運スキルも序くらいなら習得している人間も知り合いにいるからな、レアなスキルには違いないが」
そう言ってゼルさんは自分のお茶を一気に飲み干した
「問題はその次だ、スキルの究極の先にある『神』、俺の知る限りここまでスキルを極めた人間は今この世界にはいない、100年以上前に弓術スキルの神スキルを習得した狩人がいたそうだが今ではその墓が弓を扱う者達の聖地になっている」
「つまり俺は『神々の祝福』を前代未聞なレベルで身につけているって事ですか?」
「そう言う事だ、それとその『神々の祝福』ってのがちぃーっとばかし問題のあるスキルでな」
そう言ってゼルさんは溜め息をついた
「さっきみたいにそのスキルに意識を集中してみろ」
何か言いにくそうにしているゼルさんが気になったが言われた様に再度メニューを開き『神々の祝福』に意識を集中する。
『【神々の祝福】成長限界が無くなり、あらゆる成長が促進されスキルの習得が容易になる、神々に愛された勇者のみに授けられるスキル』
勝ったな。
チートスキルじゃんこれ。