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お猿さんに襲われました

眩しかった光が収まり少しずつ視界戻ってきた。


「どこだここ?少なくとも俺のマンションじゃないよな?」


サヤカさんと元いた世界、つまり21世紀の日本に戻って来たと思ったら目の前にジャングルが広がっていました、どう見ても日本ではなさそうです本当にありがとうございました。


「現実逃避している場合じゃないな、サヤカさんはどこいったんだ?つーか暑い」


現場監督として現代日本の酷暑炎天下に慣れている俺にとっても思わず愚痴りたくなるような気温、湿度も高いせいか着ているジャージが肌にまとわりついてくる。


「サヤカさんやーい、おーい」


ジャージの上着を脱いでジャングルを歩き回っていると小さな洞穴を見つけた。中から小川が伸びていて洞穴の中の湧き水が水源地の様だ。


「少しやすむか、無闇に歩き回って迷子になっても大変だしな、もう迷子になってる気もするけど」


湧き水は冷んやりとしていて乾いた喉を潤してくれた、朝飯を抜いていたせいで腹は減っていたけどその辺りに実っている禍々しい色の果実に手を伸ばす程ではない。


「サヤカさん大丈夫かな?一応神様だし危険は無いと思うけど心配だな、てか本当にどこなのよここ?」


周りに生えている植物を見ても明らか日本に自生している植物ではなさそうだ、ほらあそこに生えてる植物なんて枝を動かしてサルみたいな動物達を追い払ってるし。


「いやいや、あんな植物見た事も聞いた事もねーよ、ってなんかこっちに来てるー!?」


唖然としてサル達と植物の小競り合いをみているとこっちに気づいた何匹かのサルの様な動物が近づいて来た、超敵対心剥き出しで。


「これ本気でまずいでしょっ!」


俺はすぐさまサル達からにげだした、足元の悪い中生い茂る枝を腕で払いながら走るが木の枝を足場にして追いかけてくるサル達の方が明らかに早い、追いつかれるのも時間の問題だ。


「何匹来てる!?ひーふーみーよーいっぱいだー!」


小柄な猿なので1対1ならその辺りの枝を振り回せば追い払えると思う、しかし相手は群れで俺を追いかけてきている。


「どうせ殺されるなら抵抗してやるぜ、拳で!」


これ以上逃げてもジリ貧だ、追いつかれて奇襲を受けるくらいならイチかバチか待ち伏せしてあのエテ公どもと戦った方がいい、1匹倒せば逃げてくれるかもしれないしな。

ホモ・サピエンスの恐ろしさを味あわせてやるぜ。


逃げ回るのを諦めた俺は振り返ってエテ公どもが追いついてくるのを待つ、足元に落ちていたいい感じの枝を握りしめ追いついてきたエテ公達と対峙する、数は8匹、意外と腕が逞しく唸る口から見える牙は太く鋭い。

これは1対1でもムリかもわからんね。


「伏せろ!」


ジリジリとサル達が間合いを詰めているとどこからともなく野太い男の声が響いた、俺は反射的に身をかがめる。



そして頭上に何かが空を切る鋭い音。


ドスッ、ドスッ、ドスッ


顔をあげると3匹の猿が眉間に小さなナイフを刺して絶命していた。


「そのまま動くなよ!すぐに終わらせる!」


仲間を殺され激昂した残りの猿が俺めがけて飛びかかってきた刹那、俺の背後からから1人の男が躍り出た。


五刀烈刀ごとうれっとう!!!」


男の抜いた剣は宙に浮いている5匹の猿の命を一瞬で刈り取った、何が起こったかわからずにその身を切断されたサル達、目の前のスプラッタな光景に俺は言葉も出せなかった。


「怪我はないか?」


返り血を浴びて話しかけてくるナイスミドル、俺が憧れてたハリウッドスターに少し似ている、フォースを使う親子の映画で親父の師匠やってた人に。


「あ、ありがとうございま オロロロロロ〜!」










やってしもーた

命を救ってくれた恩人に盛大にリバースをぶちまけてしまった。


「いや、もう謝らなくていいから」


「ホンッとうに申し訳ありませんでした!!」


ナイスミドルは怒ってはない様だったが俺の申し訳なさゲージがそれを許さない、仕事でミスった時にやってた上っ面の謝罪ではなくガチ謝罪、ジャパニーズDOGEZA


「だからもういいって、それより焼けたぞ、食っとけ」


俺のリバース事件の後始末をした後ゼルさんの家に招かれた、30分程歩いたジャングルの外れにある小さな小屋だ。


ナイスミドルが差し出してくれたのは角切りになった肉とピーマンの様な野菜が刺さった串、表面の油がジュウジュウと音と匂いで俺のDOGEZAを辞めさせようとしてくる。



「本当に何から何まですみません、いただきます」


受け取った串を頬張る、ナニコレ?うまっ!串うまっ!


「いい食いっぷりだ、まだまだあるから好きなだけ食え」


「あひがとふござひます、はふっ!んぐっ!」


「喋りながら食うからだ、ほれこれでも飲め」


差し出されたお茶を飲み喉に詰まっていた肉を胃に送り込む。


「それにしてもなんの装備も無しに1人でこの森を歩き回るなんて自殺行為だぞ」


「それが気づいたらこの森に1人でいて、そうだ!女の子見かけませんでしたか?JKぽい見た目の」


死神や破壊神の事を言えば間違い無く頭がおかしくなった人と思われるのでその辺省いてサヤカさんの事をきいてみる。


「ジェイケー?何かの組織か?今日はお前さん以外の人間は見かけていないが?」


「そうか〜、無事だとは思うんですけど」


死神の契約の効果かはわからないけど何故かサヤカさんは無事でいるという確信があった、それにほら神様だしね。


「転移魔法の事故か何かだろう、以前知人が転移魔法の事故に巻き込まれたが2〜3日の間の記憶があやふやになっていた、今のお前さんの様にな」


「そうですか〜転移魔法の事故…」


あっ俺察しました、薄々感じてたけど今はっきりと理解しちゃいました、アグレッシブ過ぎるほど枝を振り回す植物、徒党をくんで人間を襲うエテ公、そのエテ公を一瞬で斬り伏せるナイスミドル。




ここ異世界ってヤツじゃね?


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