第81章 油断による ~展開~
島により特徴が変わるものの、基本的に観光客として受け入れられていたので、完全に油断していた。
道中、頭を下げる農民の1人を、イオが見つめた。
「どうした? イオ……」
ケンが小声で聞くと、
「同じようなものを感じたんだ……」
徳河の前で尋問が始まる。
「ケン、先客がいるぞ」
アキラが小声で言い、ケンが見ると
(ブレイヴ……。そういえば、ここで合流するはずだったな……)
苦笑いのケン。
「お主ら、何奴じゃ?」
徳河が、問う。
「どうする?」
ケンが小声で相談。
「唯一捕まらなかったマグネが助けにくるまで、時間を稼ぐぞ」
アキラの作戦に反対意見は無し。
一方、誤魔化しが効いて捕まらなかった、マグネ。後方で、イオの反応を目撃していた。
その農民は、10歳の少女で、名前は舞花という。ここの封石を持つマグネは、舞花と話をした。舞花は両親が、役人に殺され、現在は叔母の家で生活している。
「実は、君に邪気が取り付いているかもしれないんだ」
ちなみに、マグネは藐禰という僧侶設定らしい。
「藐禰僧侶、どうすればその邪気を祓えますか?」
「この首飾りは効果がある。ただし、首飾りを契ったり、外したりすれば、忽ち、邪気が解放されてしまう……。かといって、首飾りを付けなくては、ものの数日で君は君で無くなってしまうだろう……」
「そんな……」
「首飾りは君にあげるよ。プレゼントだ」
マグネが家を出ようとすると、
「藐禰僧侶はどちらに行かれるおつもりですか?」
「江都城に、誤って捕らえられた人々を救いに行くのです」
藐禰僧侶が江都城に到着し、尋問中の徳河がそれに気付いた。
「何者だ?」
「藐禰僧侶と申します」
「僧侶が何の御用だ」
尋問が中断され、徳川がマグネに問う。
「徳河家竪様、貴方を救いに来ました」
「どういうことだ?」
「貴方は、私の弟子に……、教えを習うものに、してはならぬことをしてしまいました……」
と、藐禰僧侶が言ってすぐ、紫色の竜、毒竜が城下町に突如出現した。
(まさか、失敗したのか……。舞花)
マグネは唇を噛んだ。
「何事!?」
徳河は驚くが、藐禰僧侶は説明を後に回し、
「僧侶の弟子を解放しなさい」
と、命令した。
城下町は当然ながらパニックだ。
「僧侶! あの化け物は一体!?」
徳河が焦る。
「あの竜は、この地の守り神です。決して手を出してはなりません。貴方の為でもあります。庶民や商人、武士を城下町から避難させ、貴方も避難した方が良いかもしれません……」
藐禰僧侶、いやマグネは、城下町へと急ぐ。
丘の上に建つ江都城から町までは、700段もの階段がある。登るよりはまだましだが、転げ落ちる可能性が十分にある階段を、マグネは駆け下りた。
解放されたケン達は、後れを取りながらも、流石に駆け降りることは出来ず、一段一段、確実に下りていく。
「マグネさん、自分1人で封じる気なんじゃ……」
と、ケンが言った。
「……多分。てか、100パーそうだろうな。自分のミスは自分で償う気だ……」
アキラは、毒竜を見た。
ブレイヴが少し早かった。ケンとアキラはほぼ同時、アキラをみて、キバ達も足を止めた。階段の半分ぐらいだ。
毒竜は、城下町に毒を撒く。
人々が避難していることを祈るばかりだ。城下町には竜とマグネ以外はいないと信じたい。
「ケン?」
階段で立ち止まっていたアキラが言った。
「嫌な予感がする……」
と、ケン。この予感はどちらなのかわからなかった……
毒竜は、城下町の中央へ。ブレイヴが何か発見した。
「子供だ……」
階段を下り始める。民家の玄関前に、逃げ遅れた子供が3人。
すると、ブレイブが階段を駆け下りる。
「流石は、勇者さんってか?」
アキラもスタート。それにケンも続く。後は待機もしくは、安全に下りる。
残り10段を飛び降りたブレイヴは、減速することなく、子供たちの方へ。
「すげぇな」
アキラも10段飛ばそうとと思ったが、流石にやめた。
ブレイヴは直進、アキラも直進しようと思ったが、ケンが左折したのを見て、引き返してケンを追う。
「ケン! 何処に行く気だ!?」
その答えは簡単にわかった。別の民家から赤ちゃんの鳴き声が。
一方、マグネ対毒竜。
「俺の所為で……」
頭がいっぱいいっぱいのマグネ。
「どのタイミングだ? いつ討てばいい? それより、封石の効果が何故……」
一瞬の油断だった。一瞬の隙だった。一瞬の攻撃だった。
マグネに毒液がかかる。
毒竜が民家の屋根ギリギリを飛行。民家の瓦甓が剥がれて、甃に落ち、次々と割れる。
その瓦甓が子供たちの頭上へ!
間一髪で、ブレイヴが瓦甓を剱で粉砕。
一方、赤ちゃんがいる民家に飛んできた瓦甓が当たり、民家が崩れる。アキラが到着すると、そこには瓦礫しかなかった。
「アキラ、こっち」
アキラが振り向くと、赤子を抱えたケンがいた。
「間に合ったのか」
「なんとか……。だけど、この子を安全なところへ避難させて、早くマグネさんの加勢をしないと」
上空を飛ぶ毒竜から光が。どうやら、すでに封印が成功したようだ。
「これまた、上空で……」
アキラは次の心配をしていた。器となった人物が上空から落ちてくる。しかも、遠い。
アキラとケンは、落下地点へ走る。器である舞花は、ブレイヴの仲間であるミールたちの活躍により、無事に保護されていた。ただ、マグネが負傷しておりその場に倒れていた。
To be continued…
毒竜の話だけ、なぜかピックアップされてました。ほぼほぼブログ版のままです。
『黒雲の剱』で漢字のキャラってあまりいないので、珍しいですね。
そして、かねてから考えていた『黒雲の剱』の新作をどうするか、その方針をおおよそ決めました。
結局の所『エトワール・メディシン』と同じようにガラリと変わるかと。登場人物の数を現在から最少で7人にまで絞り、舞台も変更となり神託の国やドンムール帝国も登場しないと思います。用語や地名、組織も既存のものは登場しなくなるかも。ただ『エトワール・メディシン』と違う点として、完全なリセットでは無く1話のスタート地点が異なり、最終回のその後から開始になるかと。(もはや、それは続編扱いでは……? )
ブログ版の改訂を第6部(なろうでは第7部)まで進めているので、この『黒雲の剱』はブログ版第7部~第10部の話を大幅に見直して、進める予定です。書きたかったことは、当時やってるので満足してるし、なにより新作の構想が進んでいるので、どんどん進めましょう。




