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黒雲の剱(旧ブログ版ベース)  作者: サッソウ
第6部 ドンムール帝国篇
83/91

総集篇Ⅵ

 ザザアの攻撃が落ち着いたとは言え、国々は混乱状態になっていた。多くの建物や神殿も崩壊しており、国のトップは自国の対応で忙しく、各組織もそれぞれ対応に追われていた。国のトップが動けないからという、そんな理由でケン達はハクリョに連れられて、外の世界へと向かう。

 ザザアの一件で、破損した外壁の一部を通り、ケン達は碧海(へきかい)の神殿に到着した。ケン達の知っている常識の範疇を超え、外壁の外に世界があることを知った。そもそも、碧海の神殿については、一切知らない。

「外壁の外にもあるなんて、考えもしなかったな」

 アキラがそう言うと、ハクリョが一瞬、言うかどうか悩んだような表情をし、

「ここから先、お主たちには理解できないこともあるじゃろう。その1つとして、神殿はそのほとんどが政府が造った人工物である。この地にもともと存在した神殿は少ない。例えば、天地の神殿と天地の遺跡、火焰の神殿、光明の神殿なども人工的に建造した物である」

 予想だにしないカミングアウトで、全員が反応できなかった。ハクリョはさらに続けて、

「時空間の神殿は、もともとこの地に存在しており、似たような神殿であれば、新たに建造して(あるじ)が拠点として活動しておっても、怪しむ者はおらんじゃろ。そもそも、天地の遺跡は、到着することを想定しておらんし」

 全員が置いてきぼりの中、ハクリョはさらに続けて

「ザザアは技を繰り出す前に、”髑髏戦慄”という言葉を発しておったが、大昔は髑髏島と呼ばれており、政府が手を加えるまでは、居住など到底できない島じゃった。ローズリーの持つ情報が、すべてザザアに流出していたのであれば、関連付けても(あなが)ち間違いではないじゃろ。考えすぎかもしれんが」


 碧海の神殿では、ハクリョがワイキと再会し、ドンムール帝国について語る。ドンムール帝国は、ケン達がこれまで生活していた島を含めた”オウウツ諸島”と、”ナイガラ大陸”を領土とする帝国である。政府は、DEG(デグ)と呼ばれている。

 ワイキが伝説の剱を発見し、ジャンケンの結果、ヤイバがチャレンジするも選ばれず、名称不明の剱はシャークソードという呼び名になり、ケンが所持することになった。

 ドンムール帝国へは夜間の移動だった。細心の注意を払い、幸いなことに、面倒事には巻き込まれること無く、政府があるルイジドという街にまでたどり着いた。ワイキさんの行きつけの店だという喫茶店兼バーの中に入ると、店主のカナディアが地下へと案内してくれた。しばらくは、ここの地下が拠点になるのだろう。

 ケンとアキラは、街で騒動に巻き込まれ、ベリーナという自称記憶喪失の女性を救った。途中、ベリーナが不安そうな表情を浮かべ、ケンへ寄り添うのを見て、アキラはいろんな意味で、若干嫉妬していた。事の顛末をヤイバ達に話すと「危ない橋を渡りすぎだろ……」と、注意された。


 ハクリョからドンムール帝国の現状を聞かされ、人々の他者への関心や繋がりについて、冷酷であることを知る。言わば、感情を表に出さない。まるで人間では無く、機械のようにして毎日を送り続ける。国民のほとんどが冷酷になったと言うよりは、自分の感情を抑え込んで、自分の欲や他者への共感を放棄した。原因は、かなり前の政権にあるが、それ以降は、その失われた人間性を取り戻すための政治が続いている。急に政治的な話になり、しかも現政権が焦った結果、自分達の島が飛び火したという言い方、なんとなく分かってきた。いや、もう既に分かっていたけれど、認めようとしていなかったのかもしれない。壁に囲まれて、印と呼ばれる監視下におり、毎日を過ごしてきた。ハガネが直球で「つまり、俺らの島は実験場ってことか?」と言うと、ハクリョは「語弊はあるが、今から説明することも聞いて、どう判断するかは、各々によって違うかもしれぬ……」と、ドンムール帝国についてさらに語る。

 遥か昔、ドルムール帝国が建国され、周辺諸国よりも早く経済成長を遂げた。だが、急激に発展しすぎた代償として、激しくなる競争や過労など、だんだんと心が壊れるような起因があり、人同士の付き合いも少なくなり、頼るものは電子機器のみになり、国民は次第に感情というものを忘れ、人間性をも失った。当時の帝国国王、グフィック・ゴドールが人間性を取り戻す大胆な計画を開始した。政府は”傀儡師(かいらいし)”という立場で、プロジェクトを進めた。当初は、生身の人間はいなかった。いつかからか、生身の人間が紛れるようになり、現在に至る。

 話を聞いたケンだが、考え方は変わらず「……ドンムール帝国の国民の過去や、島の起源とか聞いても、自分達が住んでいたあの島が、僕らの本当の世界だという事は、変わらないと思います。でも、みんな自由に暮らしてた。ザザアの暴走は、確かに許せないけど、また今までのように暮らしたい。それが、僕らの普通だったから……」


 DEG(デグ)の本拠地、ドンムール帝国の政府の建物は、左右対称の造りになっており、左右は5階建てのようで、中央は塔のように高く聳えている。正式な手続きにより、ケンたちは客人として招かれた。アキラとケンの師匠(厳密には2人とも師匠とも先生とも言ったことはない)、マグネと再会。マグネも政府の役人だった。

 アキラのよると”マグネ節”という状況になり、いろいろと間髪入れずに明らかになる。フルネームや偽名などなど……。

 チルコルト代表の指示に(そむ)いたバデポジットが暴走していると、報告が入る。マグネの考えで、ケンやアキラたちは助っ人として現場へ急行する。


 DEGの仕組みを疑問視したケンは、DEGも本物ではない可能性をマグネに問いかけると、「俺たちはドンムール帝国の官僚であって、国の官僚じゃ無いからな」と、マグネが答えた。ノアシーだけが国の官僚であり、DEGはノアシー管轄下の組織であった。

 バデポジット戦で、射手のニルーナも合流し、戦闘が激しくなる。伝説の剱で全力で戦うケンとヤイバの体力消耗が激しく、一時離脱。ハガネとアキラは、剱を振るい続けて、乱打による応酬を継続。伝説の剱を使わない2人はその戦い方で、時間と体力を削るしかない。バデポジットの動きが鈍くなり、アキラとハガネの振るう剱の矛先は本体に当たっていた。バデポジットの硬い体に当たる度に、剱が折れるのでは無いかと心配になる。

 そして、ついにバデポジットの動きが止まり、その場に倒れた。


 バデポジットを倒してまもなく、マグネの携帯電話が鳴り、驪龍(りりゅう)との戦闘に。待機していたジンやニンたちも急遽、現場へ向かうことに。空中からの攻撃で、太刀打ちできないなか、中佐が到着する。

「まさか……」

 ケンは目を疑った。逆光で暗く見えるのではなく、もともと黒い色をしている。黒き鳥が上空にいる。ケンよりも先にアキラが、

「中佐って、逢魔劔隊(おうまつるぎたい)のクロバー……なのか?」

 クロバーと驪龍との空中戦が続くなか、封解の書にから新たな情報を得る。”少年に封じられし驪龍が暴れる今、封石(ふうせき)により鎮めることにより、再びその力を封じる。封石の首飾りにより、力を抑え、少年と共に剱使い達は、復活を遂げようとする龍を封じる旅へ出発する”。


 封石について情報が得られるまで、クロバーに加勢して、驪龍の体力を奪う。ただ、普通の攻撃は届かない。ヤイバとケンが回復すれば、技による遠距離攻撃が出来るだろう。他に、技を使えるのはジンとニンぐらいだ。驪龍の吐く火炎は、建物周辺を焼いている。

 体力の回復に専念していたケンは、待機しているマグネに

「そもそも、何でマグネさんは、政府の役人に?」

「お前達に会う前から、元々役人だった。目的は、島々の伝説を調べるために。……で、髑髏島を探っている時に偶然、お前たちに会っただけだ」

 マグネとケンの会話に、アキラが加わり

「じゃあ、出身はドンムール帝国ってことか?」

「いや、俺は髑髏島出身だ。だから、剱を使っている。政府の役人になったきっかけは、総帥さんらが現地調査をしているのとばったり鉢合わせしてしまった事があったからだ」

 と、マグネは答えた。総帥というのは、現在ノアシーが就いている立場のことだろう。マグネが名前を出さなかったため、当時は誰だったのか分からないが。

 2時間……いや、3時間以上は経っただろうか……。ノアシー達が駆けつけた時、クロバーは人間の姿で倒れており、ケンとアキラ達も怪我を負っている。だが、深い傷を負いながらも、封解の書の通りになることを信じ、驪龍を救いたいと強く思う彼らは、まだ諦めずに踏ん張っている。

 驪龍も高く飛べず、地面に何度も体を撲つ。何度も飛ぼうとするが、その体力も減ってきているようだ。

「グーヴが博物館から、それらしき石を発見した!」

 ノアシーが叫び、グーヴがマグネの方へ駆ける。

「おい……、遅いじゃねぇか……」

 息が切れたマグネは、グーヴから封石と思われる石を受けとった。

「本当にそうなんだろうな……?」

「学者や有識者に確認しましたが、可能性は高いが、実際にやってみないことには、分からないと……」

 それを聞いたマグネは鼻で笑った。答えになっていない、と感じたようだ。

「で、怪我人がどうして?」

 マグネはノアシーの奥いる人物を見ている。頬にガーゼを貼っているヤジルト中将は、負傷したが現場へ復帰している。

 そのヤジルト中将は、ノアシーと話をしており、

「総帥の”(ほたる)計画”ですが、現行の”(つばめ)計画”の根がかなり深そうです……。あれも、”燕計画”の氷山の一角に過ぎないのかと……」

 そんな話をしていた。ただ、会話はマグネがいるところだと、聞こえないが。

 ケンは汗が止まらず、治療に専念するエナから水を受けとって、一気に飲み干す。動ける人が、驪龍に立ち向かわなければ。バデポジット戦を含めれば、連続でかなり長い時間、緊迫した戦闘状態が続いている。

 ケンのもとへ、封石を持ったマグネが近づき、

「グーヴ中尉が持ってきた”封石”だ。あと、あっちにいるのが、ノアシー・ガウラディ総帥とヤジルト・ロータリ中将だ。詳しい話は、この戦闘が終わった後だ。これで、驪龍を封じる。できるな?」

 そう言って、ケンに封石を渡す。ケンが手をすぐに差し伸べなかったので、マグネは右手を持って、ケンの手のひらに封石を置き、有無を言わせず、握らせる。どうすればいいか分からないケンに対して、マグネは文字通り、背中を押して、驪龍の方へ押し込む。励ましの一言もない。ただ、一言だけ

「ケン。封石を驪龍に(かざ)して、驪龍の心の縛りを解け」

 ケンは封石を見て、一呼吸し、覚悟を決める。封石を前に突き出し、驪龍を見ると、驪龍もこちらを見ている。剱は鞘にしまい、さらに近づく。


 驪龍に乗ったケンは、そのまま上空へと。驪龍は雲の中を泳ぐ。それを抜けると、目の前には雲海が広がっている。

「綺麗な景色だ」

 ケンは驪龍の鱗を撫でながら、

「もう暴れる必要は無いよ……。十分、落ち着いたみたいだね」

 ケンは封石を高く掲げる。光のせいなのか、驪龍の瞳から涙が溢れたように見えた。

 次第に驪龍が輝き、封石へとその光が入っていく……。

「もう大丈夫だよ。お疲れ様」

 驪龍は封石に入り、姿を消した。


 雲海を突き抜けたケンは、封石を握りしめて落ちていく。地上から見て、一番に気付いたエナが

「ちょっと! ケンが落ちてる!」

「おい! 誰か受け止めろ!」

 アキラもパニックだ。生身の人間が、上空から落ちてきた人を受け止められるはずがない。

 ハクリョはクロバーのもとへ走り、

「クロバー中将。すでに、体力が少ないのは重々承知しているが、ケンを頼む」

 クロバーは頷いて、黒き鳥の姿へ。翼を羽ばたき、落ちてくるケンを空中で拾う。

 なんとか無事に地上へと帰還したケン。「空は綺麗な景色だったよ」と言いつつ、アキラに「お前、もう少しで死ぬところだぞ」と言われてしまった。

 ただ、落下物はケンだけではなく……。ノアシーが気付き、

「もうひとり、落ちてくるぞ!」

 それを聞いて、クロバーはすぐに動き、もうひとりの少年、依り代となっているイオも救った。ケンがイオに関してマグネに聞くと

驪龍(りりゅう)伝説。グーヴ中尉のお土産話によると、グリン島に伝わる伝説だ。それによると、驪龍を封印するには、封石と器となるニンゲンが必要らしい。逆に、封印が解けると、器のニンゲンごと驪龍に飲み込まれるらしい」


 グーヴ中尉は追加報告で、同様に龍の封印が解けることを示唆。その発生確率に関して、マグネとグーヴが揉めていると、ノアシーは手帳を出して大雑把にスケジュールを見積もり、

「髑髏島に関しては、あまりにも損害が酷い。特に、壁を復旧せねば、多くの人が外の世界の存在を知るだろう。すでに、勘づいている者もいるが……。ただ、ザザアによる被害状況から、各国ともに国内の復興を優先し、海へ向かう者は少ないだろう。情報によれば、港や船も多くが損害を受け、しばらくは出港できない。(あるじ)を経由して、各国に復興支援の物資を送る。残念ながら、人員は送れないが、物資なら予算が下りればできるはずだ。交渉次第だな……」

 ノアシー総帥……いや、ノアシー疑似国管理大臣は”ドンムール帝国”の紋章を外し、ポケットから取り出した”ターネック共和国”の紋章を付けて、どこかへ歩き出す。ヤジルトやグーヴは紋章はそのままで同行。

 ドンムール帝国は疑似国家。実際の国名は、ターネック共和国。疑似国家は、ターネック共和国の一部分に存在。簡単に言えば、国と市町村のような関係だろうか。先日、アイラド地方がターネック共和国の範囲外となったが、まぁその話は関係ないから省くとして、ターネック共和国の官僚であるノアシー疑似国家管理大臣のもとに、ドンムール帝国の政府が存在している。つまり、マグネやグーヴ、ハクリョやワイキたちは、疑似国家省の職員。ヤジルトは、ノアシーの秘書を兼務しており、ターネック共和国の役員だった。


「ターネック共和国の国民は、そのほとんどが感情を表に出さない。当時のトップが考えた結果、こういったシステムが生まれたわけじゃ」

 ハクリョは、ケン達がどんな反応をするか注視したが、ケンは

「疑似国家だとか、システムだとか……。突然、そんなことを聞いた僕らが、あれこれ言えないですけど……」

「言いたいことがあれば、今が言うチャンスだぞ」

 マグネが本音を引き出そうとして、そう言ったのかどうか分からないが、ケンは頭を少し掻いて

「僕らの過ごしたあの島は、僕らにとって国であることは変わらないし……。かと言って、幽閉されていたことは、こうやって知らなければ気付かなかったと思う……。僕らにとって、壁の外に世界があるとは思いもしなかったから……」

「その外を知った以上、自ら檻には戻らないだろうな」

 マグネが煽るように言うと、ケンは首を静かに横に振って

「まだ、あの場所でやらなきゃいけないことがある」

「他は?」

 マグネは、ケン以外のメンバーを見て、意見を聞く。誰が先に発言するのかと、マグネがメンバーの顔を見ていると、アキラと目線が合い

「正直、俺らにとって壁の外は異国だ。……ニュアンスが微妙に違うかもしれないが、外国と大差ないと思ってる。神託の国を始めとする国々は、島内での交流があったけれど、外とは鎖国していた。……そんな感じで、ケンと同じように、深刻には思ってないさ……。少なくとも、今は」

「結局、トップがどうあれ、俺たちの活動には干渉しなかったし。ザザアのことは、微妙だけど……」

 ヤイバも同じような意見だ。幽閉や実験といっても、個人を束縛していなかったし、これに関しては、みんなあっさりとしていた。

 マグネはあからさまに、つまらなそうにして

「そうか……。分かった。あと、ひとつ言うが、ノアシー元帥は、壁を修復する気はない。ゲートにして、交流を考えている。いや、交易というべきか。万人が通れるわけじゃないけれど、なんらかするつもりだ」

 先ほど、檻に戻るのかと言っておきながら、その檻がそもそも無くなるようだ。そう聞いて、ハガネが思ったことを一言、

「壁を直すのに費用がかかるから、いっその事ゲートにするって魂胆か」

「まぁ、そういうことだ」

 マグナは否定せずに、ハガネの発言を認めた。とはいえ、容易に推測できることだが……。

「それで、だ。伝説の剱使い御一行に、それらの実施を条件に、頼み事がある」

 マグネが言いたいことは、考えるまでもなく分かった。

「俺らが断ったら、復興支援しないってことかよ」

「不本意だが……、そうなるかもしれない」

 マグネの言い方的に、おそらくどちらを選択しても復興支援はするつもりだろう。ただ、そういった条件を提示して体裁というか、雰囲気というか、そういったものを整える。

「帰り道に寄り道として、島々に存在する龍の封印。頼まれてくれないか?」

 そう言われ、答えも分かっている。すでに出ている。封解の書には、”封石の首飾りにより、力を抑え、少年と共に剱使い達は、復活を遂げようとする龍を封じる旅へ出発する”っと、書いてあった。それに、封解の書に書いていようが無かろうが、ケンは断らないだろう。

 復興を約束に、龍を封じる旅へ……



<第77章までに登場したキャラなどの紹介>

 68章までに登場したキャラについては、追加情報があれば記載。


・ハクリョ・ユーロシア

 112歳。GEDの大将。


・ワイキキロ・ディクショリー

 ワイキと呼ばれている。110歳。頭が殺風景。その昔、カナディアとは恋人同士だったらしい。ただ、現在カナディアの夫はワイキではなく、大手の会社社長のお坊ちゃんで、無理矢理結婚されたとか。


・カナディア

 店主。お昼は喫茶店、夜はバーとして営業している。


・マグネ・ヨーピア・ディル

 ケンとアキラが昔、剱を教わった。アキラ曰く、ちょっとドジで剱の持ち方に癖がある。頼り無いというか、間抜けというか……。ケンとアキラは、マグネのことを一度も師匠どころか先生とさえも呼んだことはない。DEGの少将。


・グフィック・ゴドール

 当時の国王。髑髏島のシステムを考案した。


・ノアシー・ガウラディ

 DEG新政権の総帥。ターネック共和国の官僚であり、疑似国家管理大臣。


・ニルーナ

 ベリーナは偽名。マグネによると、ケンの姉らしい。ノアシーの妻。射手。


・ハガネ

 ディフェン・ドラグリンと同一人物。ハガネがディフェンであることは、ハガネの偽物とケンの偽物が同士討ちしたときにポルラッツが話しており、ケンとハガネ本人は、合流したアキラから聞いており、既出の情報だ。マグネから言われて、フルネームは初めて知った。


・ヤイバ・ファルト

 マグネにより、フルネームが判明。


・バデポジット・ルセロ

 アイラドが所持している”影”の5体のうち1体。”影”は、おそらくザザア軍のオンブルよりも、逢魔劔隊(おうまつるぎたい)のゼルのほうが特性的に近いだろうか。オンブルは、人の形をしているだけで、人物ではない。対して、ゼルは同じ人の形をする。ただ、持続時間が短く、遠隔による操作を必要としていた。アイラド独自の技術で開発されたクローンの”影”は、自我を持っている。


・チルコルト

 自称アイラド国の代表。独立戦争の終結と独立を約束する会談のために、ドンムール帝国へ。


・ヤジルト・ロータリ

 DEGの中将。


・ガルドシア・ダグラスト

 DEGの准将。


・グーヴ・メリグ

 DEGの中尉。影や驪龍に関して調査をしていた。


・驪龍

 伝説のドラゴンの1体。太古の昔、グリン島のグリンマウンテンを住み処としていた。依り代はイオという幼い少年。


・ナット・ネージィ

 DEGの大佐。


・タリップ・タイムズ

 DEGの少佐。


・クロバー・ホワトレス

 DEGの中佐。黒き鳥をコントロールできるようになった。14歳の少女。


・ドンムール帝国

 かつての高度経済成長による労働環境悪化や日常生活の悪化により、人々の心は壊れてしまった。国民は他者に関心が無いどころか、国にも関心が無い。あくまでも推測ではあるが、印のような技術により、人間性を壊したのではないかとも。疑似国家であり、本当の国ではない。


・DEG

 Dがドンムール、Eが帝国、Gが政府という略称と思われる。前政権は、ザザアの暴走を見逃して放置し、大惨事を生んだことにより失墜。北部の自称アイラド国が独立戦争を仕掛け、国内情勢も落ち、政府機関が一時的に麻痺した。戦争のピークは過ぎ、ノアシーによる新政権が発足。疑似国家管理大臣の管轄組織。


・髑髏島

 かつて火山であったがために、誰も住んでいなかった無人島。当時、その島周辺の海域は荒れており、誰も上陸する事が出来なかったが、技術の発達した造船技術により、それを克服した。計画の環境構築において、外部との過度な接触を断つために、島の外周を火口の名残である急斜面を利用し、海面には壁を築いた。


・印

 印は、ザザアのように悪意を持って操作すれば、洗脳やパワーアップのようなこともできるが、生身の人間は限度があるとされる。


・影

 バデポジットをはじめとする実在する、または実在した人物をベースにしたクローン5体。パワーを全て消費すれば機能停止する。


・封石

 驪龍などの伝説の龍を封印する。依り代となった人は、常に身につける必要がある。


・ターネック共和国

 ターネック共和国の一部分に存在する、政令指定都市的な存在のドンムール帝国(実際は国ではなく疑似国家)。そのドンムール帝国が管轄する島々のうち、髑髏島と呼ばれる島で、ケン達の住む世界、国々がある。



・伝説の剱

 神秘の力を持つ剱。何故伝説と謳われているのかは、不明。合成ができることもあり、正確な数は不明。一般的な剱と素材が違い、何の素材を使用しているかも不明。伝説の剱は持ち主を選ぶ。選ばれなかった場合、抜刀以降は激痛が襲う。鞘に収まったままであれば、持てる。

 現在分かっている保持者は以下の通り。追加はシャークソードのみ。合成はしていない。

  ・ケン:合成シルバーソード(シルバーソード、フラッシュソード、ウォーターソード、ゴッドソード)、シャークソード

  ・ヤイバ:ライトニングソード

  ・ニン:フェニックスソード

  ・ジン:スィールソード

  ・ザザア:(名称不明)



他作品を優先し、後回しになっていたため、予定よりもかなり遅くなりましたが、総集篇Ⅵです。

第六部は政治云々の話やら疑似国家やら、面倒でややこしい話が多くて、大幅カットしました。特に、嘘情報のシーンや偽名、独立戦争、神殿の(あるじ)について、いらないからカット。それでも、話数が多くなりましたが……。

ブログ版で第六部に登場したキャラは多く、大半が出番を失ったことに。今後、登場するかも微妙ですね……。

さて、次回から第七部。新たな展開へ。島々で起こる伝説の龍に立ち向かうわけですが、『路地裏の圏外 ~MOMENT・STARLIGHT~』が終わってからになるかと。ゆっくりと進めていきます。いかんせん、話が複雑になってきたので。

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