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黒雲の剱(旧ブログ版ベース)  作者: サッソウ
第6部 ドンムール帝国篇
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第75章 驪龍

 バデポジットを倒してまもなく、マグネの携帯電話が鳴る。マグネは、通話の相手がワイキであることを確認すると

「こっちは片付いたぞ」

驪龍(りりゅう)がそちらに向かっているとの情報が。航空交通管制からの情報を、ナット大佐とタリップ少佐が確認し、レーダーの情報から行き先はそちらだと」

 マグネは、ケンやヤイバ達の様子を見て

「連戦するような力は無いぞ。応援は?」

「あまり期待できないかと……」

「はぁ? こっちは命かけて戦ってんだぞ?」

「そう言われましても……。現状は市民の避難誘導を優先していて……」

「もういい。そっちに残っているメンバーを派遣しろ。軍が期待できないなら、戦える官僚なんて、たかが知れてる」

 マグネはそう言って、電話を切った。マグネが言ったメンバーとは、ジン達のことである。



 マグネが電話を切ったため、ワイキは不快そうな表情をした。ハクリョはそれを見て

「マグネ少将に、嫌味でも?」

「そりゃ、もう……」

 ワイキは息を大きく吐き、自分を落ち着かせて、

「緊急要請です。至急、戦える人はマグネ少将の場所まで駆けつけてください。ケン達が戦闘で疲弊している中、新たな標的との戦闘になりそうです」

「俺が行く」

 そう言って、ジンが立ち上がる。ハクリョは

「すまんのぉ。もうすぐ、中佐が駆けつける故……」

「中佐ですか?」

「お主らもよく知っておる人物じゃよ」

 ハクリョはそう言って、ジンを見送った。場所の案内はワイキが。すると、ニンが追いかけようとして、

「ニン、待って!」

 と、エナが抑止するも、ニンはそれを振り切る。エナは已むなく、追いかける。

 ミケロラは立ち上がって、

「私もあの子達を追いかけます。あの子達に何かあってはいけませんから」

「そうじゃな。ここにいても仕方あるまい」

 ハクリョもミケロラとともに、応接室を出る。



 驪龍と呼ばれる龍が、上空を旋回する。

「伝説のドラゴンのうち、1体。驪龍だ……」

 マグネはケン達を集め、作戦を考える。チルコルト代表は、すでに避難させて、ヤジルト中将達に任せている。

「伝説のドラゴンって、何ですか?」

 何も知らないケンが聞くと、

「太古の昔、グリン島のグリンマウンテンを住み処としていた。ヤツが吐く”黒煙の霧”には気をつけろ。毒とかそんな生温いレベルじゃない」

 毒よりも強力なものとは一体……。マグネはさらに、

「グーヴ中尉の報告だと、一週間前にグリンマウンテンが噴火している。原因は、誰かがグリンマウンテンの地下洞窟で開発をして、事故で大爆発したらしい。爆発と噴火で、研究員諸共、何の研究だったかも残っていない。どっかの民間企業や組織的なものだとしても、何も残ってない以上、調べようがない」

「どうすれば、止められるの?」

 ケンの質問に、マグネは頭を掻いて、

「分からん。そもそも驪龍は、伝説の存在。前例がないし、驪龍に関する文献も無い。伝説に関して考えられることとしては、二択だな。本物か偽りか」

「それは、作り話ってことか?」

 ハガネが、”偽り”という表現に関して意見すると

「現に、こうやって目の前に現れている時点で、伝説がどうあれ、現実だと受け入れるしか無いだろう」

 驪龍や伝説の話について、今議論しても仕方ない。どう動くか考えなければ。

「相手は、遥か上空だぞ。どう戦う?」

 アキラが全員に対して、投げかけると

「落とすしか無いだろ」

 と、マグネが即答した。ただ、どうやって……

「もうすぐノアシー元帥の指示で、大砲を撃つ。それに、大将からの情報で、中佐がこっちに向かっている。空中戦は、中佐に任せて、落ちたところを攻撃する」

 空中にいる間は、手出しが出来ない。驪龍が旋回をやめると、口から炎が見える。どうやら炎を吐くつもりらしい。

 驪龍が炎を吐く直前、大砲の音がして砲弾が数発、驪龍に直撃。爆発して煙が上がる。驪龍は咆哮して、そのまま落ちてくる。

「落ちてきたぞ!」

 マグネは落下地点を予想したが、攻撃は中断。ケン達もマグネが走らないので、その場に留まった。

「中佐が来た。近づけば巻き込まれるぞ」

「中佐……?」

 マグネの言う中佐とは、一体誰なのか。マグネが向く上空を見上げると、逆光で眩しくて見えづらいが

「まさか……」

 ケンは目を疑った。逆光で暗く見えるのではなく、もともと黒い色をしている。黒き鳥が上空にいる。ケンよりも先にアキラが、マグネに対して

「中佐って、逢魔劔隊(おうまつるぎたい)のクロバー……なのか?」

「驪龍との戦いは、一旦クロバー・ホワトレス中佐に任せて、対策を練るぞ」

 マグネが少し離れるため、ケン達も一時的に下がる。確か2歳下だから、14歳にして中佐の少女。黒き鳥の姿で、驪龍と戦闘が始まった。街の上空で繰り広げられる、巨大な怪物同士の対決は、かなり迫力があり、映画でも見ているようだ。

 ただ、驪龍の放つ火炎の弾丸が街に降り注ぎ、一部では炎と黒煙が上がる。マグネが、注意する必要があると言った”黒煙の霧”は、まだ見ていない。

 どうすべきか悩んでいると、ケンはふと思い出したように、封解の書を取り出した。だけど、封解の書はこれまで、いざというときにはあまり当てにならず、何でも無いときに発動することが多い。コントロールできた試しは無い。期待せずに、封解の書を開くと真っ白なページが多い。パラパラと捲ると、読めない文字が浮き出てきた。

「何か書いてる……」

 しかし、読めない。封解の書に書かれた文字が読める人は、対象者のみ。それ以外の人は、何が書かれているか読み解けない。ならば、誰か読める人がいないかと、ケンは 封解の書をアキラ達に見せ、「読める?」と聞いた。期待とは裏腹に、誰も読めない。一体、誰に対して示しているのだろうか……


To be continued…


忘れた頃に出てくる『封解の書』。あまりにも自由度が低く、使えるのか使えないのかよく分からない代物です。

クロバーの年齢は14歳ですが、戦魔盗賊団(せんまとうぞくだん)こと現在の雷霆銃族(らいていじゅうぞく)から逃げるために、"セツナの歯車"を使って時間を移動しており、年下だけど生まれはクロバーの方が先の可能性がありますね。ヤミナと一緒に暮らしていた時期もあるので。

ちなみに、大将とか中佐とかあるけれど、あくまでも呼び名だけらしく、命令系統や指示はこの通りでは無いみたいですね。フラットなもよう。

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