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黒雲の剱(旧ブログ版ベース)  作者: サッソウ
第5部 疑似未来篇
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第58章 対峙する者達

 翌日。ケンは市場で情報を探っていた。情報屋がいれば、何か新たな情報を得られないか。市場では、報道の影響か、剱ブームというものが発生しており、結構な子ども達がチープな剱で遊んでいる。ただ、ケンには気付いていないようで、特に声をかけられることも無い。

 しかし、どこからか懐かしい声で、

「ケン! 久しぶりじゃない!?」

「エナ。久しぶり。無事だったんだね」

 市場でエナに再会。1ヶ月ぶりである。

「テレビ、見たよ」

「……そう」

 ケンの素っ気ない返事に、エナは

「何かあったの?」

「……その、戦った相手なんだけど、ザザアの意志を継ぐ者って言ってて……」

 ケンがアキラとの関係性について言おうとしたとき、どこからか銃声が轟く。

 ケンとエナは、目で合図して銃声の方へ駆け出す。さらに、もう一発、銃声が轟く。場所は、市場の奥にある噴水の広場だ。その付近から銃声がした。銃声は、聞き覚えのある音だった。それもそのはず、銃声は鐡砲(クロガネホウ)だった。

 広場へ向かうにつれ、逃げ惑う人が悲鳴を上げ、パニック状態である。さらに、「誰かが撃たれたぞ」と言う声も。

 鐡砲に対抗できる方法はないが、ケンは果敢にも、先へと進む。鎧は無く、一発で死ぬ恐れもある。

 広場に出ると、パニック状態で動けない人が多く、自分は撃たれないと思っているのか、野次馬も残っている。撃たれた人物を見つけ、ケンは

「エナ、応急処置を頼む」

「ケンはどうするつもり……?」

「時間を稼ぐ」

 しばらくすれば、警察が来るはずだ。その間まで、被害を出さないようにしたい。

 だけど、対峙する2人は知っている人だった……

 ケンは銃を撃った人物を見て、

「どうしてあなたが……!?」

 さらに、撃たれた人を確認したエナが

「ケン! 撃たれた人……、ローズリー……」

 ケンが振り向くと、負傷したのは確かにローズリーだった。かなりの重傷のようだが、老いた体は、あのときのままだ。本人なのか……?

 対峙する相手に関して、ケンが尋ねる前に、ローズリーが

「……少年よ。彼奴は、ボロックだ」

「やっぱり……」

 ケンの仮定が確証に変わった。エナは少し遅れて、

「……えっ? 国王様?」

 発砲したのは、神託の国の国王、ボロックだった。

 ローズリーは、吐血しながらも

「ザザアが仕掛けた……次なる一手、パンデミックだ……」

「パンデミック!?」

 エナは、ローズリーが深手を負っており、「喋らないで」と言いたいところだが、知らないことが出てくるため、そっちの整理で頭が回らない。ただ、考えるのはすぐにやめて、頭を振って切り替える。今は、ローズリーの応急処置だ。手持ちの救急セットを開き、できる限りの処置を始める。

「久しいではないか。剱使いよ。そこをどいてもらえるかな?」

 ボロックは、銃口をケンに向ける。

「……国王様の命令でも、ここを退くわけには参りません」

「そうか……」

 そう言って、ボロックは躊躇せずに引き金を引いた。しかし、弾が残っておらず、不発だ。

「ここは神託の国ではない。つまり……」

 ボロックが剱を構える。ケンも、合成シルバーソードを構え、戦闘態勢へ。

濁流亂斬(だくりゅうらんざん)

 間髪入れずに、ボロックが攻撃を仕掛けてくる。濁った水のようなオーラが激しく乱れ、襲ってくる。

「白雷」

 ケンが白雷斬で迎え撃とうとするも、ボロックの攻撃の方が早く、ケンを襲う。エナが叫ぶが、その声はケンに届いているだろうか……。


    *


 ショッピングセンター。多くの店が営業しており、300店舗はあるだろうか。さらに最上階には、大きな映画館がある。

 ミケロラは買い出しで、メモを持って調理器具や店内の飾りを購入して、ショッピングカートを押す。3階、下の階が見える吹き抜け、それが特徴のメインストリートである。左右には、有名な店が並び、どこも繁盛している。

「次は、1階の食料品で調味料と食材を」

 ミケロラが確認しながらショッピングカートを押すと、突然ニンがミケロラの腕を持って、歩みを止める。

「ニン、どうしたの?」

 ミケロラが聞くと、ニンは目の前を指差す。ミケロラがそちらを見ると、少年が立ちふさがる。剱を右手に持ち、こちらを見ている。

 すると、こちらを見て少年が奇襲を。今のニンとミケロラでは、攻撃は防げない。だから

「雷撃!」

 ヤイバがライトニングソードで、奇襲を防ぐ。少年は、ザザアの意志を継ぐ者。だが、アキラではない。

「別人……か?」

 ヤイバは、ライトニングソードを握り直す。ヤイバの選択した道は、2人を守ること。ニンのことは、最悪、ジンに会ったときに考えることにした。今は、守ることに集中する。

「なんか……見覚えあるな……」

 ヤイバは、ニンとミケロラを下げ、周囲を確認する。敵は1人だろうか。

 相手は喋らない。次の一手が迫り、ヤイバは剱を弾く。何度も交錯する剱。

「思い出した。光明にいたライクルか」

 ヤイバがその名を告げたが、ライクルらしき人物は無反応だ。

 ヤイバ向きを変え、吹き抜けのガラスの敷居を背にして、ライクルと戦う。

(飛びかかってくれば、チャンスだが……)

 ヤイバは雷撃を繰り出し、ライクルを後退させ、飛びかかるには十分な距離へ。目論見通り、ライクルがジャンプして斬りかかる。

 ヤイバはライクルの勢いをそのまま、剱を受け流して、吹き抜けへぶっ飛ばす。

雷電落弾斬(らいでんらくだんざん)

 ヤイバの剱から、雷を纏った弾が急降下して、宙に浮くライクルへメテオ攻撃。

 ライクルが痺れながら1階へ急降下。

 ドンと音はしたが、頭は打っておらず、出血なし。

「他への被害は無かったけれど……、あいつ、生きてるよな……、たぶん」

 ヤイバが吹き抜けから下を見ると、しばらくは起き上がりそうにない。騒動になる前に、ミケロラたちとショッピングセンターをあとにする。


To be continued…



3階から1階に突き落とされて、出血なしとは一体……。

そういえば、最初の意志を継ぐ者も、アスファルトに高いところから降りて無傷だったので、これ如何に……

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