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黒雲の剱(旧ブログ版ベース)  作者: サッソウ
第4部 扃鎖軍篇
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第42章 扃鎖軍の城内

 陽光の国には飛行場が存在する。ちなみ、神託の国や砂漠の国などにはなく、あるのは他に發達の国や離亰の国ぐらいだろうか。ただ、民間人が乗れる飛行機などが発着しているわけではなく、国王や物資の運搬に利用されているぐらいだ。ただ、例外が存在する。離亰の国と陽光の国、唯一の移動手段である橋が落ちた時、双方の国を行き来する飛行機を臨時で運行する。しかし、その価格は普通の人では支払えない額だ。離亰の国は、ケンが行く予定の1つでもあったことから、ボロック国王とウツテム国王の了承で、飛行機を1機使用可能となるまさかの展開。

 ただ、あとから分かったことだが、物資の運搬ついでだったらしい。ついでとは言え、願ってもない。

 ちなみに黎明劔隊は、別の手順で飛行機を手配したらしく、離亰の国の飛行場でばったり再会が、そのあと

「離亰の国にようこそ。でも、お帰りください」

 逢魔劔隊が待ち伏せていた。元光明劔隊のメンバーのため、カクゴウやヤミナ達は、彼らを全員知っている。

 カクゴウは、剱を構えず、黎明劔隊のメンバーに小声で

「ここから扃鎖軍の拠点へは、半日でつく。逢魔劔隊となるべく戦闘を回避して、進むぞ」

 一方、ケンたちはというと、ヤイバが自身の考えを小声で言う

「逢魔劔隊の目的は、たぶん時間稼ぎや俺たちの進行阻止だろうな。だけど、黎明劔隊じゃない俺たちは、いちいち相手しないだろ」

 ただ、ジンはそれを否定し

「邪魔する相手なら、全部対抗するんじゃないか? 現に、目的はアキラとクロバーの奪還だ」

「ただ、クロバーの奪還は黎明劔隊の役目だろ。無理にこっちが関与すると、ややこしくなる」

「ハガネはまたそうやって」

「ヤイバ。俺は”無理に関与すると”って言ったからな」

 いずれにせよ、この状況から脱する必要がある。飛行場を出ても、別の場所で待ち伏せされている可能性もある。


    *


 城内が扃鎖軍と逢魔劔隊との戦闘で混沌とする中、アキラはポルラッツと会話しながら、駆ける。

「どこもかしこも、機械ばかりで、やはり人がいない。かなりの範囲を調べたけれど、誰とも会わないし、扃鎖軍の人間も他の人間もいないみたいだ」

「ということは、扃鎖軍の本拠地は別の場所と言うことか……? そうなると、離亰の国はメルードしかいない扃鎖の国に日々怯えていたと言うことか。ならば、墜とした後の判断は、離亰の国に全て任せるか」

「本拠地が別って、話が違うぞ」

「扃鎖軍の本拠地が移動したのがいつかは分からないが、兵器製造やメルードによる防衛をしている。重要な拠点なのは、間違いないだろう。ここを墜とすことは、重要なことだ」

 ポルラッツは続けて、待機しているメンバーへ

「それぞれ突入して、情報を集めろ。他の拠点情報ぐらい出れば、それだけでかなりの収穫だ」

 ポルラッツを含めて、待機していたメンバーがそれぞれ突入する。アキラは、なおも城内を駆ける。


    *


 空振りだった? 収穫はない? 自称扃鎖の国は、機械以外はいない。もぬけの殻? そんなことがあるのか。司令室と思われるメインコンピュータは、破壊されており使い物にならない。扃鎖軍はどこにいるんだ? アキラからすでに報告を受けていたが、監視カメラも見当たらない。これだけ準備したのに収穫ゼロ……。あったとしても、離亰の国に恩を売るぐらいだ。ただ、国としては逢魔劔隊と仲良くなんてする気はないだろう。光明劔隊のときなら、まだ可能性はあったが。どちらにせよ、こっちは願い下げだ。離亰の国が情報を持っていれば、それで貸し借りなしで話が済むかもしれない。

 すぐにでも、目的を切り替える必要がある。ローズリーからスィールソードを奪う。収穫なしでは、話にならない。ただ、単純に戦闘を行うと、深手を負う可能性がある。

 ポルラッツは、無線でアキラに連絡を取り

「アキラ、城内でローズリーと接触したか?」

「それが、全く見かけない。本当にいるんだよな? 会わないのは好都合だけど」

「会わない……?」

 ポルラッツはナードに連絡し、

「ナード、ローズリーの位置は分かるか?」

「それが、少し前から位置を見失いまして、こちらで入手している城内見取り図に隠し通路は記載されていますが、それ以外に記載されていない通路がある可能性も考えられます」

「見失う直前の場所は?」

 ナードはモニターを操作しながら、図面と照らし合わせ

「最上階に国王と妃のそれぞれ寝室があるのですが、その廊下ですね」

 この城は元々離亰の国のものであり、中枢機関だった。そのため、離亰の国から極秘で城の見取り図を入手していた。そこに載っていないとなると、あとから改装されたものであろう。

「下の階か……?」

 ポルラッツの推測は当たりだった。隠し階段である。

 隠し通路で下の階へ移動したローズリーが、アキラと邂逅する。なぜか、ローズリーはすでに剱を鞘から抜いていた。それに、息が切れている。何者かと戦闘したのか? おそらく、ゼルとの戦闘が考えられる。ローズリーもゼルの攻撃対象であるから。

 ローズリーは、アキラを見て

「ポルラッツの指示か?」

 アキラは肯定も否定もせず、黙り込む。話すつもりはない。ローズリーとの対峙は、時空間の神殿で見ている。

「黙っているってことは、そういうことだろうな。これが欲しいか?」

 ローズリーは、鞘に収まったままの剱をアキラに見せる。伝説の剱の1つ、スィールソードである。

「残念ながら、私は認められなかったよ。光明劔隊にいたときに、伝説の剱の情報を得たのであれば、知ってるだろう? 伝説の剱は持ち主を選ぶことを」

 伝説の剱は、選ばれた持ち主しか扱えない。なにが条件かはわからない。扱う人の耐性なのか、剱自身に意思があるのか。おそらく、前者だろう。後者は考えにくい。ただ、推測でしかない。

 アキラが黙っていると、ローズリーはスィールソードを、アキラの目の前に投げた。アキラは、ローズリーの方を注視しながら、スィールソードをゆっくりと拾う。ローズリーは、それを使えと言わんばかりに、指で指示する。

 アキラは従う必要はないが、この場から脱するには時間を稼ぐしかない。時間を稼いで、ゼルかポルラッツの到着を待つ。

 スィールソードを鞘から抜き、アキラは持とうとするが、次の瞬間に言葉にならない痛みを受けて、スィールソードを落としてしまった。それを見たローズリーは

「どうやら、認められなかったみたいだな」

 激痛が両腕を襲い、剱を持ち続けることが出来なくなる。瞬間的には持てるため、鞘に収めるぐらいなら、なんとかなる。

 アキラは、伝説の剱を持てない。それを知ったのは、最初の伝説の剱であるシルバーソードを、ケンから借りたときだった。自分は、持てない。


To be continued…


マズいな……。このあたり、書いた当時のことをほとんど覚えてない。

扃鎖軍篇が思いのほか、長そうです。いらないところは、削ぎ落としてはいるんですが。

あと、それに伴って登場しないキャラも何人かいるとか……

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