表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒雲の剱(旧ブログ版ベース)  作者: サッソウ
第4部 扃鎖軍篇
41/91

第38章 救世主

 發達(はったつ)の国にて、一番の繁華街であるのが、ローギルシティの商店街である。そこで宝石師を探していると、目の前に何の前触れもなく、(つるぎ)鐵砲(クロガネホウ)を構える人々が現れた。人数は3人。普通ならば、音や霧などで、視界を騙すのだろうが、そんな兆候はなかった。

 反応し回避するのが遅れ、ケンの頬に小さな掠り傷が。何故、傷を負ったのかも、一瞬で分からなかった。

 攻撃してきたのだから、敵だろう。敵は無言。すぐに、反撃しようとするが、あるはずの剱が無い。敵に奪われたか。迷った結果、数秒間が経過する。そして、敵はゆっくり鐵砲の引き金を引く……。 銃声が轟く。

 撃ったのは、扃鎖軍の第二級特攻隊。撃たれたのは、ケン。

 繁華街に悲鳴と混乱が……。

 ヤイバから受け取った鎧のお陰で、貫通することは無かったが、痛い。オーガックさんには、あとで感謝せねば。普通なら、重傷だ。さて、反撃するには……

 ケンは咄嗟の判断で、もっとも手が届く卵を何個か持ち、敵の視界を奪うために、投げる。なぜか、一緒になって店主も卵を投げる。端から見ると、ギャグだろうが当の本人達は死にものぐるいである。

 剱を取り返そうと卵を使って接近し、敵の持ち物を確認する。2人が鐡砲を構えており、奥の1人は攻撃する素振りが見えない。ならば、奥の人物が所持しているのだろうか。

 卵により、敵の視界を一瞬だけ奪えただろうが、敵は何事も無かったように、その後も的確に反応して、ケンに再び弾丸が命中。なぜ……、視界を一瞬でも奪ったはずだが……。流血しないのが奇跡である。ただ、やっぱり痛い。

 商店街で逃げ惑う人々。そこへ、1人だけ敵に立ち向かう人物が現れる。少なくとも、ケンでは無い誰かだ。

「救世主だ!!」

 と、先ほど卵を一緒に投げた精肉店のおじさん。救世主が現れると、逃げ惑う人々が何故か戻って来る。

「勇者、ブレイヴだ!」

 と、叫ぶ人々。すると、ブレイヴコールが。

「大丈夫か!?」

 と、少年ブレイヴが、ケンに問う。普通は、銃弾を浴びたなら重傷だが、ケンは

「なんとか……、多分だけど。君は?」

 と、念のためケンが聞くけど、敵の攻撃は待ってもらえず、銃弾が飛んでくる。

「僕はブレイヴ。皆にそう呼ばれている」

「僕はケン。あいつらに、剱を奪われた。取り返さないと……」

 ブレイヴは、世界が認める剱使いである。あちこちで活躍しており、その噂は少しばかり聞いたことがある。しかし、まさか本人に会うとは。

 ブレイヴが敵と戦い、ケンは隙を見て剱を取り返しに向かう。生身だから、無茶はできない。でも、もうすでに無茶してるとは思うが。

 一瞬の隙をブレイヴが作り、ケンが全速力で剱を奪い返す。3本。シルバーソード、フラッシュソード、ウォーターソード。全て無事だ。

 ケンは、奪い返した体勢のままに、シルバーソードを左手に持ち、扃鎖軍の奴らへ斬りかかるが、攻撃したはずの扃鎖軍の3人がいつの間にか消えた。すぐに周囲を見るが、いない。忽然と姿を現し、姿を消す。目的は何だったのだろうか。たった10分ぐらいの出来事だが、久しぶりに死にそうになった。

 商店街は、恐怖が去って歓喜の渦へ。特に、勇者が来たことにより、盛り上がっているようだ。

 ブレイヴは、剱を鞘に収めケンのもとへ。

「間に合って良かった。被害も然程出なかったみたいだ」

 ブレイヴは精肉店のおじさんに、何かを渡そうとしたが、精肉店のおじさんはそれを断った。ケンは、すぐに卵のことだと気づき、謝罪するが、精肉店のおじさんはむしろ、無事でなによりだと笑った。

 ブレイヴは、一通りみんなが無事なのを確認すると、

「新鋭の国と古豪の国が、争いをしている。僕は、それを止めなければならないから、また会うときがあれば」

 と、言って去った。終始、ブレイヴのペースだった。

「人それぞれ、やるべき事があるってことか……。流石、勇者」

 精肉店のおじさんが、そう言った。あっという間で、嵐のような出来事だった。

 ケンは、本来の宝石師の捜索を再開する。


    *


 ヤイバとニンは、ヤイバとミケロラの出身地、ギリシエ村へ向かっていた。

「ミケロラは……」

 ヤイバが呟きながら歩いていると、

「ここは旨いな!」

 と、若い男女がそう言いながらすれ違った。なにやら、店の行列が出来ている。そこから出てきた客だろうか。

「何だろう?」

 ヤイバとニンが走って行くと、まさかの衝撃。

「"パフェ専門店 ミケロラ 本店"。……って、えぇ!?」

 ヤイバ、吃驚。紛れもなく、それはミケロラの店。一応、行列に並んで、店に入ると甘い香りが漂う。

「ミケロラ!」

 ニンが、厨房へ。

「あれ? どうしたの?」

 と、コックの帽子を被っている店長のミケロラ。

「こっちが聞きたいよ」

 と、ヤイバが頬を掻く。なんでも、ミケロラが店を開いた理由は、食べた経験を生かして、もっと美味しいもの作りたいと思ったから。

「こんな店を出すなんて、ミケロラって凄いね」

 ニンが感心すると、ミケロラは

「もっと大きな店があるよ」

「……まさか」

 ヤイバは、驚きを通り越して、もはや呆れたような表情だった。

「發達の国でも営業中!」


    *


「ミケロラ……」

 ケンの目の前に、"パフェ専門店 ミケロラ 發達の国支店"という店が。しかも、行列だ。


    *


 退院後の検診を終え、ハガネは院内のレストランに行くと、

"パフェ専門店 ミケロラ ルトピア支店"。

 やっぱり満席で、行列。ハガネは見て見ぬふり。


To be continued…

ミケロラが店を開業しました。

パフェ専門店ですが、メニューはランチなどもあり、ファミレスっぽい店らしい。

たぶん黒雲の剱だと、一番主人公してると思われるブレイヴが登場。後ほど、再登場します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ