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黒雲の剱(旧ブログ版ベース)  作者: サッソウ
第3部 逢魔劔隊篇
32/91

第30章 宝玉の情報と、今後

 ケンたちは、ルトピア中央病院に移動する。病院から野宿していた場所まで、徒歩10分ほどである。

 病室には、ハガネがベッドの上で起き上がっていた。個室ではなく、4人部屋である。

「なんで、病院の休憩室とか使わなかったの?」

 先に看護師姿のエナに、そう言われた。

「文字通り、頭を冷やしてた」

 と、ヤイバが冗談なのか本気なのか、そう言ったので、エナは

「馬鹿じゃないの?」

 さらに、起きたばかりのハガネも

「馬鹿だろ」

 と重ねて言った。

「ひとまず、ケンからいろいろと聞いたよ。アキラが連れ去られたみたいだな。おまけに、行き先は分からない。さらに、敵には強力な人形がいる」

 ヤイバが言うと、軽そうに聞こえた。ジンが咳払いをし、

「そこで、すでにヤイバが1つ持っている宝玉について、情報屋から新しい情報をもらってきた」

「宝玉って、なに?」

 話になぜかエナが食いついた。ニンがエナに「アクセサリーじゃないよ」と伝えると、エナは「アクセサリーじゃなくても、気になるの」

 ハガネは他の患者の様子を見て、といってもカーテンに仕切られて、様子は分からない。

「ここで言っていいのか?」

 と、念のため確認すると、ケンは

「たぶん、他の人はすでに知ってると思う」

「他の人?」

 どうやら、ハガネだけ置いてきぼりのようだ。ヤイバは少しオーバーに

「そっか。知らないんだよな~。お隣さん」

「ヤイバ、お前も病院で世話になるか?」

「冗談。同室は、黎明劔隊の人だ。俺たちもよく知っている」

 病室の入口には、ハガネのほか、カクゴウ、ヤミナ、セーミャの名前がある。ただ、セーミャは軽傷ですでに退院している。今頃、クーリック村の民宿や復興のお手伝いをしているだろう。セーミャは、戻ることを選択したのだ。

 ジンは、ファクトリーシティで仕入れてきた情報を話す。

「宝玉は、ヤイバの見立て通り、伝説の剱を何倍にも強くさせる力がある。フェニックスソードに嵌め込まれている宝玉は模造品だ。外し方が分かれば、容易に外れる」

「宝玉って、そこそこのサイズなんだね」

 と、エナが興味ありそうに見る。大きさは直径5センチほどだろうか。蛍光灯の光にかざすが、模造品は透き通っていないようだ。

「俺が持ってるのは、"霹靂神(はたたがみ)の宝玉"って言われているらしい。ライトニングソードを入手したときに、偶然宝玉が外れて、それ以降はポーチの中で眠ってた」

 ハガネは、ヤイバからそんな話は一度も聞いていないようで、

「完全に、宝の持ち腐れだな」

「仕方ないだろ。ドーグ村の人に言われるまで、そんなこと考えもしなかったぞ」

 ヤイバが知ったのは、ミケロラに引き止められてドーグ村に残った後、村の人から伝説の剱について情報を集めていたときだった。伝説の剱には、宝玉の力により解放される力がある。その人からは伝承や詳しい話を聞いた。

 その後、ケンと合流後に、その話を少しだけ話していた。ケンは、自分の持つ鞘に収まった剱を見ながら、

「"伝説の剱"って、言われてるぐらいだから、何かあると思ってたけど、とてつもない力みたいだね」

 どのくらいの力か知っているような言い方だったので、ハガネが

「実際に使ったのか?」

「僕はまだ使ってないけど、ヤイバが森で試しに使ってみたけど……」

「ライトニングソードと言うだけあって、剱から雷みたいな電撃が発生していた」

 コントロールはまだできない。剱で斬るという表現よりも、剱に憑依した雷の力で斬るといった感じだろうか。剱が届かなくても、憑依した雷が攻撃の範囲を広げるみたいだ。

 さらに、ヤイバは、ケンの持つ剱について触れる。

「ケンの持つシルバーソードとフラッシュソードの宝玉については未知数だ。本人が使うのを躊躇っているって理由もあるけど……」

「もともと、シルバーソードとフラッシュソードは、光明劔隊に押収されていて、騒動の後にカクゴウから宝玉とセットで受け取ったけど、ヤイバのを見た後だと、ちょっと怖くて使えないかなって……」

「下手すると、人を殺傷するおそれがある。調べてからでも遅くは無いだろ。ということで、俺とニンで、ファクトリーシティに一時帰省して、情報を貰ってきた」

 ケンが持つ剱についての経緯は、そんな感じだ。そして、今後どうするかという話になると、ケンは当然ながら

「アキラを助けに行きたい」

 ヤイバもケンに賛同のようだが、

「賛成だが、俺はハガネの治療に付き合わなきゃな」

「俺は、今は安静に怪我を治すしかできることがない。ヤイバ、お前は邪魔だ」

 と、ヤイバを邪魔者扱いするハガネ。

「僕は……」

 ニンが悩んでいるようだったので、ジンは

「ニンは今まで通り、ヤイバに稽古を付けてもらうといい。ヤイバ、頼めるか?」

「俺はいいけど、ジンはどうするんだ?」

「宝玉についての情報を、もっと探ってみる」

 どうやらジンは単独で情報を収集するようだ。

(アタイ)は、黎明劔隊に入隊するよ。今回のことで、医療に興味が湧いたし、戦闘だと助力できなさそうだから」

 と、エナは本気のようだ。それぞれの次は、もう決まっているようだ。そして、言わなかったことがある。ジンは、ファクトリーシティの騒動について、何も言っていない。ヤイバは、ザンクが言い残した"ディブラの悲劇"について、一切言わなかった。情報を展開しないのは、今に始まったことではないが……


To be continued…

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

なんとか、予定していた展開へおおよそ戻ってきました。

アキラは、もう少ししたら登場すると思います。

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