総集篇Ⅱ
現代と7年後の世界。ふたつの世界が同時進行により、物語は進む。ケンは、7年後の世界でヤイバ達と出会い、現状を知る。ハガネが敵であり、アキラとセーミャ、ケンがいない。過去からポルラッツやカクゴウ、光明劔隊が来ている。ヤイバが、過去から来たケンに話した時点で、世界は少しずつ本来の道筋から外れるはずであり、この7年後の崩壊した世界が、実際の未来では無くなることが考えられる。(事実としては、ここは風山で戦ってから、7年後の世界であること。ただ、僕自身が7年間意識を失っていたわけではなく、時空間の神殿で時を渡ったに過ぎない。だから、僕自身は、風山から経って数週間もないと思うけど……)自分に感じる違和感。考え込んでいると、石に躓いて思いっ切り転け、蚊ぐらいの細い針が付いた小さなチップが落ちた。
カクゴウは、ケンの記憶を探るためにこの未来に来た。風山でカクゴウとヤミナがいなかったのは、時空間の神殿から移動するためだったのだ。そのあと、ポルラッツがケンを連れて未来へ来た。合流後、ヤミナは時空間の神殿にて、邪魔が入らないように進入を規制する。そういう手筈だった。見事に上手くいき、結果カクゴウが調べたかったケンの記憶を調査できたのだ。
時は未来から7年前の現在へ。時空間の神殿では、光明劔隊が厳重警備に当たっていた。 村の道場で、ヤイバがニンの稽古を付け、ミケロラがそれを見守る。アキラとハガネは時空間の神殿の様子を窺う。セーミャとエナは、民宿の手伝い。
光明劔隊に炎帝釖軍のスパイがいるかもしれないという情報を得る。肝心の奪還作戦については、毎晩作戦会議を開くも、突破口が見つからず前に進めずにいた。
7年後の世界。リャク村でケンは、ハガネと邂逅する。できれば、会いたくなかった。仲間が敵となって戦うことは、ケン自身、躊躇してしまうと分かっている。自分は強くない。昔からそう感じていたが、カクゴウとの一戦でよりその呪縛が強くなった。実際、ケンはブランクがあったことも含めようが含めまいが、アキラより実力が劣っている。アキラより強い、ヤイバと互角のハガネに、しかも7年の星霜を重ねて勝てるのか。戦いたくない。ハガネの左顔に大きな傷があった。離れたところから、誰か分からないが、射手の活躍により、ケンはなんとかその場を逃げることができた。
現在。ヤイバとアキラが出会った、モスター村のときについて、ニン達に話す。当時、偶然部屋が同室になり、ヤイバが襲撃とキバに関して一方的に話していると、メルがヤイバの言い方にかっかして遮った。アキラは、窓の外を見ると、レイが走って山の方へ向かうのが見えた。アキラは、宿屋から急いで後を追う。開けた白銀の世界へと足を踏み入れると、頭部から流血するレイの先に、怪物がいた。2つ大きな牙を持ち、狼や狐、獅子、狩猟豹等の複合だろうか。部分部分似ている。さらに、大きな牙の片方には血が付いてた。アキラは雪の上を走り、レイのフードを掴んで自分の後ろへ。怪物の牙による攻撃を剱で防ぐ。防戦一方のなか、危機をヤイバとメルが駆け、ヤイバとアキラが共闘する。雪崩が発生し、メルが巻き込まれるも、怪物のキバが救出し、いつの間にか人間に戻っていた。その後については、知らない。
外からトニックの狗吠が聞こえ、ドーグ村で不審火があった。ヤイバとニンは、ドーグ村へ向かい、ハガネとアキラはこの騒動によって時空間の神殿へ侵入を試みる。
ドーグ村では、異国のサイレンサーを使うザンクが、村長の殺害や民家への放火を行った。光明劔隊は8割をドーグ村へ派遣し、時空間の神殿の警備体制を変更する。
ザンクは、村長の妻であり秘書でもあるキューアに銃口を向け、書類を渡すように命じる。ヤイバ、ニン、光明劔隊の活躍により、村立記念館の爆破も防ぎ、被害は最小限に抑えた。「生意気なガキが……。いや、元を辿れば、原因はベンチェルか。ヤツが……」ザンクは、ヤイバの持つ銃を奪い取るように、襲いかかり、ヤイバは咄嗟のことで左手に剱が持てない。ザンクは自分で引き金を引き、ヤイバに向かって「"ディブラの悲劇"を忘れるなよ……」と、その一言を遺して絶命した。(ディブラの悲劇……)ザンクの言葉が何度もヤイバの頭の中に響く。まるで、自分がそれを知っているかのように……。
7年後の世界。トニックに似た犬とニンが、リヤカーを引っ張ってきた。「ペンキはもしものときに使う物で、基本的にはこれを使ってください」と、ニンからランプのような物を受け取った。ケンは、それらを使い、上空にある天地の神殿に到着した。到着後、休息を取ると、悪夢に襲われた。その悪夢は、妙にリアルだった。
ハクリョが語る昔話とは、リャク村のダルク長老が話したことであった。しかし、ダルク長老よりも情報が明確である。25年前(今ケンがいるのは七年後の世界なので、厳密にいうと32年前)の話だ。当時、カクゴウとポルラッツは、謎に包まれた"黒雲"を求め、旅をしていた。ある新月の夜、風山の付近で異変が起こり、二人は伝説の剱を用いて果敢にも挑んだ。挑んだ相手は、巨大な怪物、黒き鳥であった。空中を飛び回る鳥に翻弄されるも、剱に宿る力を操り、いくつもの技を繰り出した。技は風を切り、鳥に命中したという。(技。昔、マグネさんがそんなこと言ってたような……)ケンは幼き頃の師匠とのやり取りを思い出そうにも、当時アキラがあり得ないの一言で全否定していたため、肝心の内容が思い出せないでいた。
封解の書は予知の書物であった。ハクリョ曰く、「封解の書は、異国から持ち出された未知の書物ではあるが、数日以内に発生することが記されることが分かっておる。しかし、その対処法や正確な時間は不明。また、記された物事が発生もしくは、回避により発生はしなかったが、その予知した時刻になったとき、予知した文章が消滅する。非常に不可思議な書物じゃ。さらに、この封解の書に書かれた文言は、ある条件を満たさない限り読み解くことはできない。つまり、不思議なことに、文章を読める人と読めない人が同時に存在するということじゃ。同じ勉学や経験をしたもの同士でさえも。まるで科学というより、御伽話や魔法のようじゃろ」
封解の書により、時空間の神殿の崩落を知ったケンは、現代へ急ぐ。
現代。時空間の神殿の前で様子を探るアキラとハガネ。入り口から光明劔隊の隊員達が慌ただしく出てくる。その光景を見ながらアキラは、ハガネにというより独り言のように「ヤイバは、なんで嘘をついたんだろ……」。アキラとヤイバが出会ったとき、アキラ自身も名乗ったし、ヤイバも名乗っていた。でも、ギリシエ村でヤイバは、『お互いあのときは名乗る暇もなかったけど』と言っていた。ハガネ曰く、「ヤイバ自身が忘れていた可能性があるだろ」と言い、さらに「あいつは、ちょくちょく嘘をつくことはある。小さな嘘だが、それは俺も気になったことがある。俺の感じたことをそのまま言うと、ヤイバは何か大きな事を隠すために、小さな嘘を積み重ねて隠そうとしてる気がする。……まぁ、取り越し苦労だとは思うが。お前もあんまり深入りするなよ。あいつのことだ。そんなの杞憂だろ、どうせ」確かに、アキラが感じた違和感は、ハガネが感じた違和感と同じようなものだった。何か大きな嘘を隠すためのカムフラージュのような小さな嘘……。
セーミャとエナが、お昼の買い出しへ出た時、民家の物陰から会話が聞こえてきた。物陰には、モイスとダング・ギミディー、リリージュ・ギミディーの姿も見える。情報屋と扃鎖軍の会話であった。村長が裏で契約を結んでいることと、絶命したことを聞くと、扃鎖軍の2人は態度を変えた。その後、時空間の神殿に潜入し、スィールソードの強奪するも、ローズリーにより失敗に終わった。
7年後の未来、時空間の神殿。ケンが到着すると、そこにはカクゴウがいた。ケンは剱を構えてカクゴウに向かうが、カクゴウは動くことはなかった。ケンは避けるであろうと思い、少し外すように剱を振ると、カクゴウの頬を擦った。カクゴウは無言で時空間の神殿の奥へと歩き、やっと口を開いたかと思えば、時空の狭間をくぐって現代に戻った。ケンはアキラと合流したが、再会の言葉もなく、「僕ら、蚊帳の外だね」。
アキラは、ケンから黒き鳥とヤミナが同一人物であることを知る。これについて、カクゴウもヤミナも否定はしなかった。アキラは複雑な心境だった。両親と妹を失ったクーリック村の襲撃事件。その原因は偶発的な事故が引き金だった。ヤミナの自我喪失による暴走。事態を重く見たカクゴウは、ポルラッツの暴走とし、ヤミナを守っていた。「信じられないかもしれないが、彼女には怪物が住み着いており、何かが引き金で暴走する恐れがあった」カクゴウはそう言うが、アキラは複雑だ。怪物のことは、キバの出来事で分かっている。自我の喪失。あのときのキバは、苦しく藻掻いていた。それに、そのときの記憶はないということも知っていた。
自分達はこの事態に首を突っ込んで、窮地のときに迷わずに行動できるだろうか。まず無理だろう。足手纏いになるだけだ。結局、ケンとアキラは、その場を後にするしかできなかった。
ケンとアキラが去った後、クロバーと呼ばれた少女に麻酔の注射を行う。眠った後、「こうするしか無いんでしょうか……騙しているようで……」ヤミナは独り言のように呟いた。それを聞いたカクゴウは、「本人が知るには早すぎる。自分が怪物になると知れば、寧ろ自我を喪失して助けることもできなくなる」仮にクロバーが怪物となっていたことを知ったら、多くの犠牲が出たのは自分が悪いと思うのが当然だ。特に、カクゴウとヤミナが嘘を教えている分、他者に対する信頼も失うだろう。何せ、クロバーはヤミナが黒き鳥であると思っており、その手伝いをしていると思っている、いやそう思い込ませている。
クーリック村の襲撃事件の原因であるポルラッツの暴走は、嘘に嘘を重ねたものだった。実の真相は、ヤミナではなくクロバーに住み着く、黒き鳥の暴走が原因だった。
黒き鳥に挑むのは、光明劔隊の精鋭部隊である。ドーグ村の騒動により、部隊の8割が離れており、時空間の神殿には精鋭部隊のみである。精鋭部隊は基本3人1隊体制であり、光明劔隊には精鋭部隊が5班存在する。本部の防衛のため、第2班と第4班がライトタウンにて警備に当たっており、第5班は別の任務中。そのため、時空間の神殿には第1班と第3班の2部隊のみ。カクゴウを含めて7人での持久戦となる。光明劔隊の隊長であるカクゴウが指揮を執る。
25年前、ルトピア中央病院の特殊病棟。この特殊病棟の二階、221号室には眠り続ける患者がいた。名はヤミナ。さらに、その隣の222号室にも、眠り続ける患者として10歳のクロバーがいた。カクゴウとポルラッツは、時空間の神殿を探索している最中に、時空間の狭間から逃げ出し、気絶したクロバーを発見した。ポルラッツは、クロバーが出てきた時空間の狭間を見て、「過去から……、将又、未来からか……。ヤミナが意識を失ったのは、戦魔盗賊団に襲われたからだと目撃者が言っていた。おそらく、奴らから逃げてきたのだろうな。この時渡りの少女は」。戦魔盗賊団は、現在の雷霆銃族である。時渡りの少女、クロバーを捕らえるため、過去か未来の時空間の神殿で戦いになったようだ。戦いと言っても、クロバーは逃げることだけしかできない。
元々は、ヤミナと暮らしていたが、あるときから離ればなれになった。それからは時渡りの少女として、時空間の狭間を通り、戦魔盗賊団から逃げ続ける日々になった。
ヤミナは、クロバーについてこう考えている。離ればなれになった後、黒き鳥の姿になる何らかの処置をされ、戦魔盗賊団がそれを狙ってクロバーを追っていた。クロバーは時空間の神殿へ逃げ込み、未来や過去へと逃げ続けている。自分が黒き鳥だとは分かっていない。自分が何故周りから狙われるのか分からない。風山の時も、事態が落ち着いてすぐに、クロバーは時空間の狭間で未来へ渡った。運悪く、渡った先が新月で、クーリック村の襲撃事件の日だったが……。
黒き鳥との戦闘は、誤算だらけだった。カクゴウが何重にも考えてた対応策も無意味。結論として、改めて考えさせられた。(やはり、黒き鳥を沈めるためには、伝説の剱が必要なのか……?)スィールソードは騒動で、あろう事か扃鎖軍に奪われ、ゴッドソードは最終防衛ラインとして待機中のポルラッツが所持している。ライトニングソードとフェニックスソードはヤイバとニンが所有しており、この場にはいない。シルバーソード、フラッシュソードは……
突然の揺れが時空間の神殿を襲った。爆発により、時空間の神殿が崩落を始める。ケン、アキラ、ハガネ、ポルラッツ、そして拘束した扃鎖軍の2人は時空間の神殿から避難した。
セーミャがいないことを聞いたケン達は、自分達の行動意識を改め、ポルラッツの作戦に参加する。"刹那の歯車"を使って、崩落前の時空間の神殿へと向かう。ポルラッツは、「休戦状態でないからな」と言っていた。
時間軸が巻き戻り、崩落を開始する時空間の神殿。ローズリーが、カクゴウとヤミナを負傷させ、対立する。
ケンとアキラは、セーミャを探して下層へ。ポルラッツとハガネは、上層へ。ケンとアキラは、ジンと出会う。ジンは、気を失ったセーミャを介護していた。時空間の神殿の入口が崩落したことで、上層と下層がループ状になっていた。ジンとアキラは、黒き鳥の戦闘へ。ケンは、セーミャを看る。
アキラとジンが、奇襲をかける。しかし、状況が予想と違っていた。カクゴウとヤミナが負傷しており、隊員は全員、両手を上げている。理解が追いつく前に、ローズリーが黒き鳥へ発砲。黒き鳥の頭部、次に右翼、バランスを崩したところ、左翼を狙い、飛べなくなった黒き鳥は床に墜ちた。かなり衰弱し、ローズリーはさらに腹部へ発砲。ローズリーに言われるがまま、ナードは黒き鳥へ近づき、首元へ鎮静剤を注射する。暴れる黒き鳥が、ナードを攻撃する前に、ローズリーが黒き鳥の足を撃つ。咆哮というより、悲鳴が響く。鎮静剤を打ち終わると、黒き鳥は飛べなくなった。
ポルラッツは到着まで葛藤し、決断。現場に到着後、撤退命令を下した。
セーミャは意識を取り戻したが、アキラ達を追って時空間の神殿に来たけれど、逆に迷惑をかけたことに気付き、罪悪感を抱いていた。ケンのことを心配してたつもりが、逆に自分が心配されている。水冰の神殿に到着した時、アキラから『もし戦闘になったら、僕らはお前のことを守れないかもしれないんだぞ』と言われ、自分は『守られなくても大丈夫だよ』なんて、無責任なことを言っていた。
現代に戻った後、簡易テントの下でセーミャとクロバー、カクゴウ、ヤミナが治療を受ける。ローズリーとナードは、特に動きも無く、監視がつくことも無かった。ドーグ村について、早急に対応が必要な事に関しては、一段落し、光明劔隊の全隊員が時空間の神殿跡地に集結した。簡易テントの下で、部外者ではあるが、安静にしているセーミャと一緒にケン、アキラ、ハガネもそのまま残っている。
ポルラッツから、光明劔隊解散を全隊員の前で宣言し、新組織への加入を選択する時間を設けた。カクゴウ・ヤミナ結成隊、通称・黎明劔隊。ポルラッツ・ローズリー結成隊、通称・逢魔劔隊。光明劔隊という組織は無くなり、事実上の分裂である。当然ながら、光明劔隊のときにカクゴウとヤミナをトップとする班のメンバーは、黎明劔隊を選択し、ポルラッツをトップとする班のメンバーは、逢魔劔隊を選択する。人によっては、どちらにも入隊せずに村へ戻る者もいる。
そして、新組織が結成してすぐ、逢魔劔隊が黎明劔隊への攻撃を開始。ローズリーとポルラッツの隣には、見たことも無い人工物、機械のようなものがいる。
光明劔隊の分裂直後、逢魔劔隊と黎明劔隊が激突する。逢魔劔隊の目的とは……?
<第25章までに登場したキャラなどの紹介>
13章までに登場したキャラについては、追加情報があれば記載。
・ヤイバ(7年後の世界)
ケンに7年後の世界について伝え、未来を変えようとする。ケンに協力的だった。
・ニン・バルヴァバード(7年後の世界)
・サリーナ・ミケロラ(7年後の世界)
・ハガネ(7年後の世界)
左顔に大きな傷がある。敵であり、リャク村でケンと戦闘。
・ケン
カクゴウの調査により、記憶が混在していることが判明。さらに、カクゴウの息子の名前はケンと異なる。
・アキラ・スーリア
元光明劔隊の第2独立特務小隊(その後、新襲撃隊第2班に名称変更)所属だった。そのときの偽名は、ハンス。
・ハガネ
元光明劔隊の特殊調査潜入隊(通称:調歩隊)所属だった。
・ヤイバ
ハガネ曰く、何か大きな事を隠すために、小さな嘘を積み重ねて隠そうとしてる気がする。何か大きな嘘を隠すためのカムフラージュのような小さな嘘なのだろうか。
・ジン・バルヴァバード
光明劔隊第1班所属。光明劔隊の解散後は、どちらにも属さず。
・ヤミナ
カクゴウとポルラッツの同期生であり、著しい経済発展を遂げた通称"發達の国"の専門学校を共に卒業。しかし、その後意識不明で入院していた。黒き鳥と同一であると言っていたが、クロバーのことを隠すためについた、第二の嘘であった。
・ポルラッツ・ディナイト
クロバーのことは、協力的だったが、逢魔劔隊へ移籍。
・メル・キャーシャ
母子家庭。アキラと歳はそんなに離れてなさそう。
・レイ・スーナミ
父子家庭。メルと同い年。
・キバ・ガルータイ
2つ大きな牙を持ち、狼や狐、獅子、狩猟豹等の複合のような怪物の姿になるが、その理由は不明。
・マグネ・ヨーピア・ディル
ケンとアキラに剱を教えた師匠。
・ガレオ・リガ
モスター村の村長。
・大工のおっちゃん
モスター村で、襲撃による補強や修繕作業を行う。
・射手(7年後の世界)
正体は不明。ハガネからケンを救った。悪天候と黒夜の中、数百メートル以上離れた場所から射貫く正確さは凄腕であろう。
・ウォーミリア・エデシア(7年後の世界)
リャク村で一番の世話好きらしい。
・トニック
ドーグ村に住んでるピアニストが飼ってる犬。ニンに懐いており、ヤイバは嫌われているみたいで、近づくと悉く吠えられた。なお、トニックはメスであり、音楽用語で主音を意味する。
・ザンク
大柄な男で、村長の殺害や民家への放火を行った。異国のサイレンサーを扱う。「"ディブラの悲劇"を忘れるなよ……」を言い残して、絶命した。
・ベンチェル・オルディン
ドーグ村の村長。ザンクに殺害される。
・ヴィン・オルディン
ベンチェル村長の孫。正義感が強く、この村では探偵だと名乗っていた。年はニンと近いだろうか。
・キューア・オルディン
ベンチェル村長の秘書であり妻でもある。
・ハクリョ・ユーロシア
白いお髭を生やしたおじいさん。天地の神殿の主。ギリシエ村でモッゼ長老受け取ったシルバーソードは、ハクリョが指示していた。
・モイス
情報屋。扃鎖軍の2人やセーミャに情報を与える。
・ローズリー・ヴァージン
光明劔隊の管理官。文字通り、隊長を含めて、光明劔隊の全体を管理する代表者である。元々、少人数精鋭部隊だった光明劔隊を数倍にまで増した。逢魔劔隊の最高指揮官として移籍。
・ハンフリー
新襲撃隊第2班(旧:第2独立特務小隊)の隊長。アキラ曰く、黒ヒゲゴツくて酒呑み隊長。隊の中で博識なレクトを隊長にしようとしたが、ハンス(アキラ)が『レクトは確かに知識が豊富だが、実戦経験は少ない。隊長になるなら周囲に目を配る必要があり、そちらに意識が注視してたら、豊富な知識から情報を取り出す隙がないと思うな』と言い、それを止めた。黎明劔隊へ移籍。
・アンリ
新襲撃隊第2班所属。アキラ曰く、ボサボサ髪のヤツ。黎明劔隊へ移籍。
・レクト
新襲撃隊第2班所属。アキラ曰く、頭の回転が速いヤツ。眼鏡をかけているが、一部では伊達眼鏡という話も。扃鎖軍らしき密偵を注視していたが、騒動で見失う。黎明劔隊へ移籍。
・ライクル
新襲撃隊第2班所属。アキラ曰く、単純馬鹿なヤツ。好戦的である。黎明劔隊へ移籍。
・バガーブ
光明劔隊所属。爆破処理の知識があり、ハンフリー達とともに、村立記念館の爆破を阻止した。
・ダング・ギミディー
扃鎖軍の25番隊所属。リリージュの兄。捕虜として、逢魔劔隊の管理下へ。
・リリージュ・ギミディー
扃鎖軍の25番隊所属。ダングの妹。捕虜として、逢魔劔隊の管理下へ。
・ナード
医療班の1人。50代の背の曲がった男。白髪で頬にはシミがいくつもある。常に白を着ており、有名な病院で長年患者を診てきたという。逢魔劔隊へ移籍。
・クロバー・ホワトレス
11歳ほどの少女。ヤミナと血の繋がった妹ではないが、クロバーの幼い頃から一緒に暮らしていた。"セツナの歯車"を使って、戦魔盗賊団(現・雷霆銃族)から逃げている。黒き鳥と同一人物。
・シーグ
新襲撃隊第1班リーダー。冷静さを長所に持つ少年。
・アミュレ
新襲撃隊第1班所属。幼い頃から男児と同じ厳しい試練を耐え、体術に自信を持つボーイッシュな少女。
・ロドラ
新襲撃隊第3班リーダー。生まれてすぐ盗賊生活をしていたが、あるとき光明劔隊から改心のキッカケを得たことで、その恩返しをしたいと入隊した少年。
・ヴォスキャー
新襲撃隊第3班所属。ある村で差別的な扱いを受けてきたが、光明劔隊に救われた少年。
・ニャセル
新襲撃隊第3班所属。ヴォスキャーの双子の妹。
・モスター村
当時、魔物や怪物が出ると噂され、旅行客も村民も減る一方であり、村長の世帯を含めても10世帯に満たない村であった。モスター村でいう魔物とは、異常な成長を遂げて原形を保ちながらも通常の何倍もの大きさになった化け物のことである。怪物は異常ではなく、何らかの原因で姿形が変わり果てて原形を留めていない生き物であるが、どちらも一部の例外を除く。
・リテティラ
魔物として恐れられていた。この地方では、独自の数え方をするナリア暦で特定の数字が並ぶ年を迎えたとき、不治の病におかされ、山が噴火するといわれていた。そこで、生け贄を捧げたところその年を境に平和になったという。そのため、区切りとなる数週間前に生け贄としてキバが選抜された。しかし、その正体は自然災害であった。
・時空の狭間
本来交わるはずのない特定の時間軸や空間と繋がるゲートのようなもの。今回、7年後の世界と現代の時間軸が、この時空の狭間により繋がっていた。そのため、こちらと現代の経過時間は同じである。時空の狭間は、不定期かつ不規則に出現し、時空間の神殿のあちこちに点在する。自然消滅の場合は、あるタイミングから狭間が徐々に小さくなっていく。1時間で中心からおおよそ1センチ外周が小さくなり、半径50センチ規模なら約50時間といったところである。狭間の大きさ的に、最後の方は物の往来はできないだろうが……。
・扃鎖の国
神託の国の西に位置し、両国間には深い峡谷・谿谷があって、往来は出来ない。そもそも南は断崖絶壁の海に面し、西にも面する国はない。往来可能な国は、北に位置する離亰の国のみである。元々、扃鎖の国は存在せず、離亰の国が分裂してできた国である。
・離亰の国
南東から北西まで谿谷であり、北に位置する陽光の国との間に唯一の橋が架かっている。さらに、その橋は一本の大木でできており、その大木は陽光の国に存在する樹齢千年以上の大木である。この橋は千年に一度、大木が腐りきって谷底に落下する。その千年がまもなく訪れるであろうと予測されており、ここ最近は不通である。その橋の名称は、二カ国の国名からヨーリ渓谷大木橋である。大抵の人は、ヨーリと略している。
・刹那の歯車(セツナの歯車)
雷霆銃族から逃げ続けるクロバーは、"刹那の歯車"を使って、時渡りをしてきた。"セツナの歯車"は、現代に3つあった。1つは、7年後の世界へ繋げるために。1つはポルラッツが時空間の神殿の救出作戦時に。残りの1つは、クロバーが所持している。また、クロバーは"刹那"ではなく、"セツナ"と言っているが……。
・伝説の剱
神秘の力を持つ剱。存在する本数や、何故伝説と謳われているのかは、不明。
現在分かっている保持者は以下の通り。
・ヤイバ:ライトニングソード、フェニックスソード(ニン)
・ポルラッツ:ゴッドソード
・ローズリー:スィールソード
・不明:シルバーソード、フラッシュソード
第二部がこれにて終了です。
ここまで、ご覧いただきありがとうございました。
第三部もよろしくお願いします。
ところで、途中からエナはともかく
ミケロラが出てないのですが、
ミケロラはドーグ村の炊き出しを手伝っているとか。
追記。
一部キャラを一覧に載せ忘れていたため、修正。誰を載せ忘れていたかは、第66章で。




