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正しい聖女さまのつくりかた  作者: みるくてぃー
第2章
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13話 一時の再会

ロベリア達との試合から一週間が経過した。

私はあれ以来学園に行く事を止められ、お城での特別補習という形で過ごしている。


ミリィから聞いたドゥーベ国の問題児達は、あれ以来別段騒ぎ立てる事もなく普通の学園生活を送っているそうだが、それが逆に怪しすぎると話していた。




「本当の事を言うとね、今回の一件を理由にあの問題児達を国に追い返そうかと言う話も出ていたのよ。でも非公式とは言え正当な試合と言う形で行った手前、無理やり追い出すのは不味いんじゃないかって話になってね。結局もう少し様子を見ようって話になったのよ。」


「アリスは暫く学校に行くのは辞めておいたほうがいいわね、どんな経緯であれミリィとの約束を破って精霊の力を見せてしまったのだから。」

私はミリィとお姉さまに二人掛かりで叱られてしまい現在お城でお勉強中、どうせなら侍女としての実践を習いたいとお願いしたら何故か全員から却下された。




「ひーまーだぁー。」

大きく背伸びをして椅子を傾けながらつぶやいた。

正直一人で勉強してもぶっちゃけやる気がでない。学園で学ぶ事は何でもないんだけど、自分の部屋で勉強すると何故かだらけてしまう。


「アリスちゃんお行儀が悪いよ。」

そう言って私に話しかけてくれたのはスチュワート時代にいつもいっしょだったココリナちゃん。普段はこのお城で侍女としての研修をしているんだけど、私が学園に通えなくなってからはお母様が気をきかせてくれて、急遽側でお世話をしてくれる事になった。


「だって一人じゃ退屈なんだもの、ココリナちゃんは侍女だからって相手にしてくれないし。」

学園時代と違って本格的にお城で働き出したココリナちゃんは、しばらく見ないうちにすっかり侍女になっていた。喋り方こそ今まで通りにしている風だが、何だか私に対しても敬意をはらっている気がする。


「はいはい、私は侍女でアリスちゃんはお姫様なんだから仕方ないでしょ。それよりちゃんとお勉強しないと私が王妃様に叱られちゃうんだからね。」

「うぅ、私はお姫様じゃないよー。」

久々に会ったココリナちゃんの中では私はすっかりお姫様扱いになっていた。理由を聞けば『アリスちゃんはお城に住んでいて私はお城に仕えているの、だからアリスちゃんはお姫様で私は侍女なの、わかった?』だって。なんだかすっかり大人びた性格に変わっちゃったなぁ。


コンコン。

私とココリナちゃんが話していると誰かが部屋に訪ねてきた。


「お久しぶりでございますアリス様、ココリナさん。」

そう言って部屋に入ってきたのはココリナちゃんと同じくスチュワート時代で友達だったリリアナさん。

リリアナさんは卒業後、ライラック公爵家のご令嬢エスターニア様の専属侍女に正式になったはず、それなのに何故お城に?


「リリアナお久しぶりです。でもどうしてここに?」

「エスターニア様の付き添いでお城へ伺ったのです。そしたら王妃様からアリス様が部屋にいらっしゃるとお聞きしましたので、エスターニア様にお願いしまして遊びに来てしまいました。」

久々に会ったリリアナさんもすっかり大人びた感じに成長していた。

多分お母様から私の様子を見てきてほしいとでも頼まれたんだろう、そうでなければリリアナさんの立場でお城の中を歩き回る事は出来ないはずだ。


リリアナさんがお仕えしているエスターニア様はエリクお兄様の婚約者になられるお方、まもなく婚約発表がされるパーティーがある為その打ち合わせでお城に来られているんだろう。


「ね、せっかくだから三人でお茶でもしない? お天気もいいしこの部屋のテラスならそんなに目立たないから。」

私が今着ている服はドレスではないが白を基調とした仕立ての良い可愛いワンピース、一方二人が着ている服はデザインや色の違いがあるとはいえ、どこからどう見てもメイド服だ。このメンバーでお城の庭園でお茶をしていれば二人とも気が気ではないであろう。だけど幸いこの部屋はミリィの部屋でもある為に誂えられているテラスもそれなりに大きく、休憩できるようテーブルまで用意されている。

ここならば上から見下げるか、隣の部屋からでない限り見えることもないだろう。それにここは王族専用のプライベートエリアだ、お城に仕える侍女や騎士とはいえ決められた者しか入ることが許されない場所でもある。二人とも以前客人として招いたことがあるからその辺の事は知っているだろう。


「そうですね、余り時間がある訳ではありませんが、少しだけご一緒してもよろしいでしょうか。」

こうして急遽三人で一時のお茶会を楽しむ事になった。


************


「おいロベリア、あの女はいったい何者だ。」

「分かりませんわ、ただ言えることは私と同等……いえ、もしかするとそれ以上の力を持っています。」

お兄様の質問に私は言い淀みながら答えた。

私と同等……いや、客観的にみても私とは比べものにならない程の力だった。

つい同等と言ってしまったのは本来有り得ない話だったから。


現王妃である私のお母様はモンジュイック公爵家の令嬢で、現ドゥーベ王国ただ一人の聖女である。

元来モンジュイック公爵家は初代アンテーゼ様の血を引く正当な聖女の家系、お母様が王家にと嫁いだ関係で王女である私に聖女の力が受け継がれているはずなのだ。

つまり私と同等の力を持つ者は他国の聖女しか有りえない、だけどあのアリスという娘は明らかに私より強い力を持っていた。

それにこの国の聖女はたしか第一王女のティアラとか言う名前だったはず。それじゃあの娘は一体何者?


いずれにせよ私より力が強いなんて許せないわ。

「これは調べる必要があるわね……」


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