6話 ヒョロ男 VS 筋肉ゴリラ
あれから3日が経ちました。
アストリア様のお兄様こと生徒会長は、止めるどころか自ら参加すると言い出されましたが、立場上全員一致で『ダメでしょ!』って事で、結局秘密裏に場所の提供と黙認する事でご協力を頂きました。
今年の生徒会長は堅苦しいのがお嫌いなご様子、語り合うなら拳で語れ!ってどこの熱血漫画ですか。
そしてここ、学園の敷地内にある訓練所に両者が集まりました。
こちらは私達4人とジーク様、アストリア様の合計6人、一方彼方はバカ王子&王女、シオンさんに侍女のライムさん、そしてリリスちゃんたちが同じクラスで頭を抱えている伯爵令嬢の5人、お名前がフィーナさんとおしゃっるらしいです。
私とミリィは本日初対面、初めて見たツインドリルに興奮を抑えきれません。レガリアでは過去の遺物とされていますからね。
「どうやらお別れの挨拶はお済みのようですわね。」
「バカ言ってないでとっとと始めるわよ、こちらの初戦はジークが相手をするわ。」
ロザリアさんのバカ話に対して「バカは相手にしていられないわ」というミリィの冷めた対応、うん成長したね。
「んじゃ俺が相手をしてやろう、騎士団でも俺に敵う者はいねぇんだ、とっとと終わらしてやるわ。」
そう言って出てこられたのはシオンさん、14歳に敵わない騎士団ってそれダメじゃないですか?
「シオン様頑張ってください!そんなヒョロ顏なんて一瞬で終わらしちゃってください!」
「フィーナ、ジーク様はヒョロ顏ではなくてよ、性格だってお優しいんですから。」
フィーナさんの黄色い声援に対しなぜかロザリアさがジーク様の事を訂正されてます。どうしたの?
「じゃルールの確認をするわ、勝敗はどちらかが止めをさせる状態か自ら負けを認めた場のみ、引き分けはなしよ、また多少の怪我は仕方がないとしても、命に関わるまでは禁止とするわ、いいわね?」
ミリィが説明したのは騎士同士が試合形式で戦う基本ルール、他にもポイント制や場外制なんてものもあるんだけれど、今回は審判なしで行うため単純なルールを適応したんです。
「構いませんわ。」
「念のためセコンドがこれ以上は危険と判断した場合、本人の意思に関係なく試合は終了よ、潔くお互い剣を納めなさい。」
「もちろん止めた方が負けという事ですわね。」
「ええ、後は本人同士が求め合えば好きな戦い方をしていいわ、剣であろうが槍であろうがね。」
今一瞬ロザリアさんが不敵に笑った気がするんですが、卑怯な事を考えてないか心配です。
「それじゃ始めるか、かかってきなヒョロ男。」
何ですかジーク様をバカにする態度は、そういえばフィーナさんも何かいってましたね・・・・・・・。
「アリスちゃんどうした・・・ひぃ!」
「ふふふ、相変わらず口のわるい人ですね。たかが筋肉ゴリラの分際でジーク様に舐めた口を言ってくれます。あんなバカはとっとと殺っちゃった方がいいですね。あぁ、ついでにあの伯爵令嬢も邪魔です。」
「ちょ、ちょっとアリス、なんか性格変わってない?」
「アリスさん今、やっちゃての言葉の裏に殺意を感じたんですが、殺ってはダメですからね!」
何だか皆さん怯えてますがどうしたんでしょうか?
「え、ええ!!ちょ、ちょっと、な、何なんですのこの夥しい精霊の数は!!!」
はぅ、いけないいけない、ちょっと私の感情に精霊達が集まってきちゃったみたいです、冷たい視線が痛いですミリィさん。
こっそり精霊さんに謝って不自然じゃないように帰っていただきます。でもロベリアさん、次期聖女様と言っているだけはありますね、精霊さんの気配が分かるようです。これからは注意しなくちゃ。
「い、いったい今のは何なんでしたの?」
「一人でぶつぶつ言ってないで始めるわよ。」
ミリィフォローありがとう!アイコンタクトお礼を言ったら再び冷たい視線が。うん、ごめんなさい。
「わ、分かっていますわ、このコインが落ちた時が合図です、いきますわよ。」
ロベリアさんが一枚のコインを上に投げ、地面に落ち戦いが始まりました。
二人はお互いの力量を計るかのように木剣同士で打ち合いをしています。
「ねぇ、シオンさんの木剣ってジーク様の木剣より大きいよね?」
「そうね、大分大きいんじゃないかしら。」
「あれって大きい方が打撃力が高いんじゃないの?」
ジーク様の木剣はよく見かける普通サイズなんですが、シオンさんの持っている木剣は二回りぐらい大きいんです。
「まぁ、デカい方が打撃力はあるが、その分動きがにぶるってデメリットもあるんだ、だがあのゴリラ・・・っと、シオンとか言うヤツは恐らくパワータイプなんだろう、あのサイズの木剣を軽々扱ってるからそれなりの威力があるんじゃないか?」
アストリア様が説明してくださいますが、それって結構不利じゃないんですか?
「心配しなくても大丈夫よ、それぞれの戦闘スタイルがあるから、力だけではジークには勝てないわ。」
「まぁそういう事だ」
ミリィとアストリア様はそうおっしゃってますが、私が見た感じではお互い互角に打ち合ってる感じがするんです。
戦いはシオンさんが大剣を真上から降りぬき、ジーク様がその剣を真横から弾き飛ばす、弾かれた大剣を勢いを殺さず再び降りぬき、それをまた弾きとばす。
二人は始まってからずっと打ち合ってますが、お互い疲れは見えませんが徐々にジーク様の防戦が増えてきた感じがします。
「その程度じゃないんだろ?そろそろ本気で掛かって来いよ。」
「これでも結構本気を出してるんだけどな。」
シオンさんが挑発してますが、ジーク様はいたってマイペース、余裕の顔すら伺えます。
それが気に入らなかったのかさらに激しく繰り出す剣尖、しかしジーク様は動きながらすべての剣を弾き飛ばしています。
「ったく、チョロチョロ動くんじゃねぇよ!」
二人の大きな違いはあまり動かずジーク様の剣を受けるシオンさんに対し、ジーク様は動きながら剣を弾いています、パワー対スピードって事なんでしょうか?
「速さには自信があるみたいじゃねぇか、だがな!」
あまり動かなかったシオンさんが急に動き出し、避けるジーク様の姿に追いつき剣を繰り出します。
「へぇ、ゴリラの癖に中々早いんじゃない?」
ミリィの中でシオンさんはゴリラで決定のようです、まぁ私が最初に言っちゃったんだけど・・・。
「ねぇ、これってジーク様が不利じゃないの?」
今まではパワーに対しジーク様の速さで対応されてましたが、ここに来てシオンさんの動きのスピードが速くなりました。
そしてジーク様が壁際まで追い込まれて。
「これで終わりだグラビティコング!」
すみません、次話がまだできておりません。
現在別の長編を進めており、出来るだけ短いスパンで投稿するつもりですがしばらく不定期更新となります。
また新作「ローズマリーへようこそ」は下記のアドレスになりますので、ご興味のある方はぜひご覧いただければ幸いです。
http://ncode.syosetu.com/n8282ee/