4話 決闘
「な、王女である私を突き飛ばすなんて覚悟は出来てるんでしょうね!」
あの女、お兄様に殴りかかろうとするなんて、どれだけ野蛮なのよ!
それにしても痛くないわね?
「大丈夫か?」
「えっ?」
あら痛くないと思ったら誰かに受け止められたみたいですわね、まったく蛮族が清らかな私に触れるなんて万死に値しますわ!
「あなたね・・・はぅ!」
きゃぁ~~な、なにこれ!私好みのイケメンじゃない!
「どうした怪我でもしたのか?」
「あっ、いえ大丈、いえ足を捻ってしまいましたわ。」
これはチャンスですわ!
「足?立てるか?」
「む、無理ですわ。」
足元を見られて少し恥ずかしいですが、オシャレは足元からしているから大丈夫よ!
きゃっ、どさくさに紛れて胸元に抱きつけるなんて強引な方、きっと私の魅力に惹きつけられたのね。
お兄様には悪いけど、うふふ、しばらくこのままでいましょ。
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アストリアのやつ完全に頭に血がのぼってるな、それより咄嗟に受け止めたけど、この子ってたしかドゥーベの王女だったよな。
「大丈夫か?」
何だ?体重をこっちに乗せてきたけど、痛いところでもあるのか?
「どうした怪我でもしたのか?」
「あっ、いえ大丈、いえ足を捻ってしまいましたわ。」
足?ん~、たしか今普通に立ってたよな、取り敢えずこの王女をどかしてアリスを助けないと。
片手で王女を倒れないように抱きかかえ近くの椅子を引き寄せた。
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「はぁ?何、部外者が首突っ込んでるんだ、ただで済まさんって、自分が言ってる意味わかってんのか?」
バカ王子、アストリア様の登場で言葉遣いが変わってしまってますよ、制服を着ていなければ見た目も合わせて完全に街のゴロツキですね。
「おいおい、一人でしゃしゃり出て来てバカじゃねぇの?女の前でナイト気取りたいならどっかに行きイテテテッ」
「よっ!アリス、大丈夫か?」
「ジーク様!」
アストリア様がバカ王子とシオンさんの注意を払ってくださっている間に、背後から掴まれていた腕を捻ってジーク様が助けてくださいました。
助けて頂いたのは嬉しいですが、先ほどロベリアさんの近くにいましたよね!見てたんですからね!ね!
「テメェ離しやがれ!」
定番のセリフいただきました!
ジーク様に支えられながら片手でシオンさんを突き飛ばされます。その間も私はジーク様の胸元でジャストフィットで収納されてます。
ちょっと恥ずかしいですが、なんだか役得です。
男性のみの二対二の構図となり、ジーク様は名残惜しい、コホン私を胸元の拘束から解放しくださり、アストリア様とお二人で背後庇うようにして、壁を作ってくれます。
「アリス大丈夫!」
心配そうに駆け寄ってくれてくれる三人、心配かけてごめんね。
「おいおい、お前らこの俺が誰かわかってるんだろうな?」
「俺らの一言でレガリア程度簡単にブッ潰せるんだからなぁ!」
ジーク様の登場により思い通りに行かなくなった事が気に入らないのか、大声で喚き散らしています、まったくどっちが蛮族なんだか。
「はぁ、バカは休み休み言え、お前ら程度でレガリアが潰れるかよ。」
アストリア様はお怒りを通り越してどうやら呆れられているご様子、出てくる単語は言葉が違うけど同じ意味ばかりにもう飽き飽きです。
まったくもう少しバリエーションがほしいですね。
ミリィ達に守られてるのでようやく少し落ち着くことができて、改めて周りが見えてきたんですが、結構大きな声で言い争っていますからね、カフェ内の生徒達からおいっきり目立っちゃってますよ。
皆さん様子を伺ってる感じはするんですが、容易に近づけないって感じです。なんせ、騒ぎの中心にはレガリアの王女様に公爵家のお二人、対するは隣国のバカ王子&王女に公爵子息ですからね、私だってよほどの事がない限り近づきたくもありません。チキンなめんな!
「負け犬風情が調子乗ってんじゃねぇぞ!」
「だから国を持ち出すんじゃねって、威張り散らすんだったら自分の力で示せって言ってるんだろうが、それとも何か、自分一人では戦えない臆病者だって言ってんのか?」
これは明らかにアストリア様は挑発してますね、こちらから手を出したら後で何を言ってくるか分かりませんからね、恐らく正当防衛的な事を考えてるんでしょうか?
「なんだと!・・・」
「いいですわよ、けれど私くし達の国は喧嘩ような野蛮なことは好みませんわ、どうせなら美しく三対三の模擬試合をいたしませんこと?」
シオンさんの言葉を遮り前に出てきたのは王女様ことロベリアさん、国が野蛮な事を望まないとか言ってますが、いきなり宣戦布告した上、翌日には侵入してきたのって野蛮じゃなのだろうか?
そういえば?ロベリアさん足くじいたとか言ってなかった?
「おいロベリア何を言い出すんだ。」
「お兄様良い機会ではありませんか、私たちの実力をお見せすれば分かる事、ですが只の模擬試合では面白くありませんわ、どうせなら賭けをいたしませんか?」
「賭け?」
「勝った方が一つ言う事を聞くこと、私達が勝てばその・・・その・・殿方を頂きますわ!」
ロベリアさんが顔を赤させながらもビシッっと指さした先に居いたのは・・・へ?ジーク様?
あれ?私じゃないの?
「「「「・・・・」」」」
「・・・えっと、参考まで聞くけど、何でジークなの。」
さっきまでの権幕はどこへ行ったのか、ミリィが頭を押さえながら訪ねています。
「そ、そんな事あなたに関係ありませんわ、た、たまたまよ、あなたが嫌がりそうな事を言っただけですわ。おほほ。」
ミリィのどこにそんなそぶりがあったんだろうか・・・。
「よくわからんが、俺なら別にいいぜ。」
いいんですかジーク様!?まぁ、お二人が負けるとは思いませんが、なんとなく私の立場が・・・しゅん。
「それで三対三ってもう一人はどうするつもりだ?」
そう言えば三対三でしたね、こちらはジーク様とアストリア様、あちらは王子様とシオンさんでしょうから、共に一人づつたりません、もう一人誰かにお願いしないと。
「もちろん私くしが大将ですわ、もっともお兄様達が先に二勝されるでしょうから、出番はありませんけれど。」
そう言って前に出られたのはロベリアさん、この方剣でも使えるんでしょうか?
「いい度胸じゃない、なら私と大将戦でもやってもらおうかしら、私に回ってくればの話だけどね。」
バチバチバチ!
って何言ってるのよミリィ、王女様がそんな危険なことしちゃダメでしょうが、あっ、向こうも王女か。いやそうじゃなくて!
「そうね勝負は三日後の放課後ってどうかしら、そちらもその子を差し出す準備が必要でしょうし。」
「いいわよ、精々首でも磨いておくことね。」
あ、あれ?木剣での模擬試合だよね?ミリィそれ果し合いのセリフだから!
「それでそちらの望みは何かしら?」
「そんなの決まってるわ、今後一切レガリアを侮辱しないことよ。」
「あら、負け犬にもプライドがあるんですわね、いいですわよそんなちっぽけな願いぐらい。」
うわぁ、何この上から目線、こんなのが次期聖女ってあの国本気で大丈夫かなぁ、まぁそれよりも。
「ダメです、もう一つあります。」
「何を言ってるんですのあなたは?」
誰が言おうとこれだけは言っておかなければなりません。
「私達が勝ったら(すぅ~)三人ともミリィに誤れ!」
次回 第5話 「生徒会長」
水曜日更新予定です。