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正しい聖女さまのつくりかた  作者: みるくてぃー
第2章
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1話 隣国よりの編入生達 (表)

第二章 ヴィクトリア編になります。

ラッヘの戦いと言われた戦争から数ヶ月、両国の間にはレグルス王国の監修の元、停戦条約が結ばれ、戦争は一時終結した。

そして翌年の春、ヴィクトリア王立学園では新たな入学生を迎える事になる。


「アリスさん、ヴィクトリアへの入学おめでとうございます。」

「ありがとうございます。リコリスさん。」

二年制のスチュワート学園を卒業後、お母様の勧めでヴィクトリア学園の三年生として編入する事になりました。

最初こそ戸惑いましたが、幼い頃からの友人であるリリスちゃんとルテアちゃん、それにミリィに迎えられ、私はこれからの新たな学園生活に、希望を胸に膨らませています。


「アリスちゃん、教室は別れちゃったけどお昼は一緒に食べようね。」ぐすん。

「もうルテアは、今年はリコリスと一緒なんだからいいでしょ。」

ヴィクトリアの一、二年生は二クラスしかないんですが、二年ともルテアちゃんだけ別だったんです。

また三年生以降は、二年生で卒業される方もおられるのですが、三年生からの編入が多く、四クラスに増えるんです。


クラス編成は、バラ組にルテアちゃんとリリスちゃん、ユリ組に私とミリィと言った感じに別れちゃったんです。

ちなみにパフィオさんはフジ組だそうです。


「それよりアリス、私と昨日話した事を忘れてないわよね。」

「うん、大丈夫覚えてるよ。」

実は昨日、ミリィから三つ注意する事を約束させられたんです。

一つ目は学園内では自分より上の階級の方にはさんづけか様づけで呼ぶ事、スチュワートとは違い、ヴィクトリアには貴族階級がそのまま学園内に存在するそうなんです、その為、侍女→商家・資産家→男爵→子爵→伯爵→侯爵→公爵→王族という構図が成り立ってしまうんです。


私の場合は平民な為、侍女扱いになるので名前の呼び捨てやちゃん付けはダメなんです。

それじゃミリアリア様って呼べばいいのって聞いたら、思いっきり嫌がられ結局ミリィ様に落ち着き、ルテアちゃんとリリスちゃんに関しては、なぜか私が様付けで呼ぶのを極端に怖がられたので、結果さん付けに決まったんです。

でもミリィって言ってる時点ダメな気がするんだけど、なぜかこれだけは譲れないらしい。


二つ目は、何度も何度も耳タコになるまで言われたんですが、人前で絶対精霊の力を使わない。

当然のごとく精霊と相性がいい人って、国中を探してもほんの僅かしかいないから、そんな事がバレちゃったら資産家さんや成金貴族様が物珍しさや、話の自慢の為だけに雇いたがるんだそうなんです。

(つまり人前じゃなかったらいいんだよね。)


そして三つ目、私のファミリーネームであるアンテーゼを名乗らない事。

まぁ当然だよね、私は侍女扱いなんだし、ファミリーネームがある事自体不自然ですから。

私だって二年前に比べて成長してるんです、平民にファミリーネームが無いって事だって知ってるんですよ。



カラン、カラン、カラン


「そろそろ時間ね、それじゃ二人ともまた後で、くれぐれも注意してね。」

ん?注意?

ミリィの最後の言葉に首を傾げていると、そのまま手を引っ張って教室に連れて行かれました。


教室に着くと、あちらこちらで生徒の皆さんが各々雑談をされてます、その中に・・・。

「ジーク様?」

なんとハルジオン公爵家のジーク様がおられました、どうやら男性の方達とお話をされているみたいですが、私の呟きに気づかれたのか片手を振って挨拶してくださいます。

思わずこちらも慌てて軽く会釈をお返ししておきました。ちょっと心臓がドキドキしてるよ、落ち着け私。


ガラガラ

「はーい席につて。」

扉から女性の先生が入ってこられ、全員で挨拶をします。


「私の名前はアンナ、これから一年間ユリ組を担当するのでよろしくね。」

私の印象ですが、なんだかとっても優しそうな先生です。


今日の授業は初回のため、午前中はホームルームになっています。

まず先生が自身の紹介をしてくださり、いよいよ生徒の自己紹介をしようかとしたその時、授業中にも関わらず無遠慮に教室の扉が開きました。


クラスのみんなが何事かと扉に目が行くと、そこから入ってこられたのは三人の生徒さん、貴族風の男女と後ろに控える侍女っぽい女の子、ただの遅刻?かと思っていたら女の人がおもむろ に。

「まったくなんて不親切な学園かしら、迎えもいなければ、おもてなしも無いなんて、やはり野蛮な国ねここは。」

「仕方ありませんよ、所詮は蛮族の集まりですから、戦勝国に対しての礼儀なんて考えるだけ無駄です。」

「そうだったわね、おほほほ。」


『『『『『 ・・・・・。 』』』』』

私を含めクラス中の全員がまさしくポカーンとした顔で二人の顔を眺めています。


「・・・あ、えっと、ロベリアさん、シオンさん、それにライムさんですね。」

あまりの衝撃に全員が動けない中、何とか真っ先に正気にもどられた先生が、礼儀知らずの三人組(主に二人)に話しかけられます。


遅刻しておいて何て言い方なんでしょうか、この時ようやく動き出した脳がこの現状を徐々に整理していきます。

周りの様子を見ても、あまりの礼儀知らずに呆気にとらわれている感じです。

基本的にレガリアは礼儀を重んじる国ですからね、時々我が儘子ちゃんはいますが、ここまでは酷い人は見たことありませんよ。


「取りあえず遅刻した理由は後で伺いますので、まずは席についてください。」

その後何やら先生と言い合いをされていましたが、私には一方的のあまりの汚い言葉の数々に脳がついていけず、気づいた時には納得出来ないような顔をして各々の席に向かわれました。


何これ、めっちゃ疲れるんですけど、見てるだけの私ですらこの調子なので、先生なんてすでに疲労困憊のご様子です。


三人(主に二人だけど)の乱入によって騒ついた教室ですが、ようやく落ち着きを取り戻し自己紹介が始まりました。

最初は順調に進んでいたのですが、例の女の人の自己紹介で教室内が再び混乱におちいったんです。


「私はドゥーベ王国第一王女、ロベリア・シフィリテカ・ドゥーベ、国民から聖女として祝福されている存在よ。戦勝国の王女である私が、敗戦国にわざわざ来てあげたのだからありがたく思うのね。うふふふ。」


・・・・なんかね、隣国の王女様!?って驚きよりも、あまりの頭の悪さにビックリだよ!

戦勝国だ敗戦国だとか言ってるけど、停戦協定の意味を勘違いしてるんじゃないの?今はまだ休戦の状態であって何か問題があれば再び戦争が始まるんだよ、このバカ王女は自分の行いが戦争の引き金になるとか思わないのかなぁ、そもそも平気な顔で敵国に来るとか、真のバカじゃないかとすら思えるよ。


隣国のバカ王女のあまりの失礼さに、クラス中が頭をかかえる中『バンッ!』っと机を叩き立ち上がったのは。

「私はミリアリア・レーネス・レガリア、ロベリア王女、あなたは何か勘違いをされているようですが、ここは知識や技術を学ぶ事ができるレガリアで由緒ある学園であり、私達は一生徒にすぎないわ、この場で自国の事や先の戦争の事を持ち出すのは関心しないわね。


ましてや初戦で罠にはまり、大敗を喫して自国に逃げ帰った挙句、食用難を見かねた我が国から、体裁を繕ろわせてあげるため、わざわざ停戦協定を持ち出してあげて、あなたの国はそれを受けたのよ、それに今はまだ戦争中であって、勝敗の有無は付いていないわ。

ドゥーベではどう考えているか知らないけれど、あなた達今、敵国のど真ん中にいる事を覚えておくといいわ。」


ミリィも相当頭にきているみたい、他の生徒さん達もよくぞ言ってくれたって顔をしてるよ。

それでもあのバカ王女ときたら。


「あら、私を怒らせたいのかは知らないけれど、ただ負け犬がほざいているだけにしか聞こえなくてよ。

それにあなたがこの国の王女でしたの?地味すぎて気づきませんでしたわ。紛い物の聖女なんて名乗っているらしいけれど、これじゃまるで地味女じみじょね、あははは。」


何が楽しいのか分からないけれど、ミリィに失礼な事を言った上、一人でバカ笑いをしてるよ・・・。

いったい何んなんだろうね、これ。ここまで頭がオカシイ人にどう対応したらいいんだろう。


ミリィはもうダメだって感じでため息ついてるし、先生は頭を抱えてるし、他の生徒ももう諦めモード全開って感じだよ。

あの国では王女にどういう教育をしてきたんだろう、しかも自分を聖女とか言ってたし、国民の人たちは大丈夫なのかなぁ。敵国ながら心配になってきたよ。



そんな思い中、私をさらに混乱におとしいれる出来事が起こるんです。


「俺はドゥーベ王国の聖女の末裔、シオン・アンテーゼ・モンジュイック、モンジュイック公爵家の嫡子だ。」


アンテーゼ?私とお母さんのファミリーネームがなんで・・・。

次回 第2話 隣国よりの編入生達 (裏)

水曜日に更新予定です。

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