表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
正しい聖女さまのつくりかた  作者: みるくてぃー
第1章
56/81

43話 私は料理マスター

姉様の策略にハマり・・・いやいや、アリスにお願いされて結局マフィン作りを手伝うことになってしまった。


普通なら王女の私がお菓子を作るなんて言えば国王である両親はおろか、周りの侍女が止めるはずなんだけど、それは見事に裏切られた・・・、むしろ初めて女の子らしい事をしてくれるのかと、泣いて喜ばれたぐらいだ。私のイメージってそんなにガサツなの?


そして現在お城の料理場にておかし作りを手伝ってる、とはいえ基本はアリスの指示に従っているのだけれど、アリスが私より優れているのって精霊との相性を除けば、超絶無敵の天然思考ぐらい、つまり料理作りだって私の方が優れているに決まっている。


マフィン作りが終わった頃には、アリスは私を褒め称え料理マスターなんて呼ぶかもしれない。

それにきっとアストリアだってあまりの美味しさに泣いて喜ぶだろう。ふふふ、今からちょっとニヤニヤが止まらない。


「ミリィ、このボウルに卵を入れてホイッパーでかき混ぜて。あとで蜂蜜とバターを入れるから。」

そんな考えを知る由もないアリスは相変わらずのニコニコ笑顔、まずは『卵を入れてかき混ぜる』ね、そんな程度なら簡単にできるわよ、アリスは私を初心者だと侮ってる、きっと自分のほうが料理作りの先輩だとか思ってるのね、たかが数日の差、今日一日で抜いてあげるわ。


「わかったわ、卵を入れてかき混ぜればいいのね。」

ボールに卵を割る、割る、割る・・・あれ?なかなか割れないわね、そうか、包丁を使うのね。それぐらい知ってるわよ。


パン!ぐちゃ。・・・・あれ?


「ちょっとぉ、何やってるのよ、卵を割るのに包丁なんて使わないよぉ」

「ちょ、ちょっと試しただけよ。」

あれ?包丁は使わないの?だったら初めから言ってよね。


少しはなれた場所のエレノアがさりげなく卵の割り方を見せてくれる、ナイスよエレノア。

卵を割り終わった私はホイッパーと言うものでかき混ぜていく、これなら大丈夫ね。でも蜂蜜とバターも入れるって言ってたわよね、だったら最初から一緒にかき混ぜればいいじゃない。

私はこの素敵な考えを実行に移す。蜂蜜ってこの瓶ね、甘いほうがいいでしょ(瓶の中身を全部投入)、あとバターは・・・この四角いのね、大勢いるからこれも(固形のまま全部投入)。よしかき混ぜよう・・・いやまって、前に栄養が付くようにとか言ってたわね、筋肉が付くとい言うプロテーインの実と、体の調子が良くなると言われているセイロガーンの粉末も入れてみよう。ふふふ、このひらめき、自分の才能が怖いわ。


シャコ、シャコ、ぷわ、ぷわ、ぷわ

シャコ、シャコ、シャコ、、ぷわ、ぷわ、ぷわ、ぷわ、ぷわ

シャコ、シャコ、シャコ、シャコ、、ぷわ、ぷわ、ぷわ、ぷわ、ぷわ、ぷわ、ぷわわわ!

あれ?何かおかしくね?


「ちょっとぉ~何やってるのよミリィ~」

ボウルから遥かに膨れ上がった黄色い泡が机いっぱいにあふれる。わ、私が悪いわけじゃないからね!


「もしかしてミリィってお料理できない人?」

ちょっと失敗しただけじゃない、私は料理マスターなのよ、その私に向かってお料理できない人って言ってくれるじゃない。

じとぉ~っ・・・・・・。ごめんなさい、ちょっと視線がイタイです。


「もうミリィはこの出来たマフィンの上にレモンを置いてくれたらいいから、絶対!変な物のせないでね。」

いつもならのほほんのしてる天然娘アリスが今日に限ってやけに手際がいいわね、なんだか私が料理ダメな人間に思われちゃうじゃない、皆んなが驚くほど素敵に飾り付けてあげるわよ。


とにかく気持ちを切り替えて、マフィンにレモンを載せればいいのね、でもレモンの数とマフィンの数が合わなくないかしら?まぁいいわ、数が足りないのはアリスの計算ミスってことでしょ、やっぱり私がいないとダメね。

私はマフィンにレモンを一個づつ乗せた。ん~ちょっとマフィンの大きさとレモンの大きさと同じぐらいなのね、ここはレモンの角度がキモね。ふふふ、我ながら自分の才能が怖いわ。


さぁ見なさい!これが芸術ってものよ!


「・・・ごめんミリィ、私ここまでお料理ができないなんて思ってなかったよ。」

アリスが手を額に当て、ものすごい可哀そうな目で見てくるんだけど、私の芸術がわからないって言うの?


「ミリアリア様、さすがにこれはないと思いますよ。」

「もう、ミリアリア様も女の子なのですから、もう少しアリスさんを見習ってくださいませ。」

「だ、大丈夫ですよ、100人に一人は喜ばれる方はきっといらっしゃいますから!・・・たぶん」

侍女達も可哀そうな目で見てるのは何!?そんなに私の芸術がダメなの?と言うか、最後のは慰めになってなくね?


憐れむ視線の中、マフィンの上に丸まま一個のっかたレモンを見つめ、私は打ちひしがれたのでした。

私の芸術は皆には分かってもらえないのね・・・。しくしく


数刻後、『マフィン丸まんまレモン一個乗せ』はめめでたくアストリアの手に渡ったり「これ何かの罰ゲームか?」と項垂れたそうな。


「ミリィ、レモンはちゃんと輪切りにして乗せてよね。」

芸術うんぬんの前に、何がダメだったを知るのはさらに数年後のことになる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ