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正しい聖女さまのつくりかた  作者: みるくてぃー
第1章
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42話 陰で操るもの

最近アリスの様子がおかしい。


ここ毎日午前中は書庫に篭って、午後から見習い騎士の訓練を見に行っていると言う。まぁ、ちゃんと護衛も付いているし別に問題ないんだけど、何かが明らかにおかしい。


父様や母様は何か知っておられるようだけど、私に言えない事ってなに?今までなら何でも話してくれたし、アリスのことなら何でも知っているつもりだった、でもここ数日明らかに何かを隠している。本人は隠しているつもりが無いのかもしれないけれど・・・。


まぁアリスの顔を見ていると無茶なことや悪い事をしているんじゃないってのは分かるんだけど・・・。ほら今だってお茶を飲みながら。


「何ニヤニヤしてるの?」

「えっ、私ニヤニヤしてた?」

なんて言ってくる、もしかして本当に自覚がないの?アリスの事だからこいうのはよくあるんだけど。


「なんだか最近ずっと変よ?」

「そうかなぁ、別に普通だと思うけど。」

「それにここ毎日騎士見習いの訓練所に行ってるんでしょ?差し入れ持って。」

「う、うん、パフィオさんが参加してるからね。」


日頃の行動範囲から可能性があるのは騎士見習いの訓練所だ、パフィオの事は聞いていたけれど、他に知っている子が来ているとか?ん〜、アリスの交友関係は一通り調べられてるからなぁ、それにスチュワートの学生で騎士を目指してる子なんて普通はいないのよねぇ。


アリスはニコニコしながら差し入れするお菓子を選んでいる。初めて学園で友達ができた時もここまで顔は崩れてなかったわよね、てことは女の子じゃない?そこでふとある可能性が頭に浮かんだ。


「ねぇアリス、ジークとはどこまで進んでるの?」

『!!!!!!』


あっビンゴだ。


うん、見事に動揺してるな、ちょっと狼狽うろたえるアリスが可愛くて、もうしばらく見ていたい気にかられてしまう。

「なななななんでジーク様が出てくるのよ!」

「訓練所にいるんでしょ?」

「そ、そうだけど、私とジーク様はそんな関係じゃなくて、ごにょごにょ・・」


アリスがジークが好きになったのは多分学園社交界の後、昔から恋の物語が好きだったからね、お姫様の危機を救ってくれたイケメンの王子様(実際は公爵家の子息だけど)、しかもそれが幼い頃に出会っていて、感動の再会となれば誰でも運命ってのを感じるんじゃない?そういえばイリアもそんな事言ってたわね。もっとも向こうは忘れられてたみたいだけれど。


あの日からアリスは私にジークの事を聞いてくるようになった、知っている事なんてそれほどないんだけれどね。本人は気づいてないのか、隠してるつもりなのか分からないけれど、好きになった事は明らかに明白だ。


恐らく最近のアリスの態度とジークの事はエレノアから母様に伝わっているだろうから、今頃父様が裏で話進めているんじゃないかな。いや逆に泣き崩れている可能性も・・・、以外と過保護だからなぁ。


「それで明日も訓練所にいくんでしょ?次は何作るの?」

「うん、行くよ、明日はねスィートマフィンを作る予定なの。」

再びニコニコ笑顔に戻ったアリス、まぁ、笑顔ならそれでいいんだけどね。あっ、お茶が冷めちゃったな。

「ミリィも一緒に作らない?アストリア様にあげれば喜ぶと思うよ。」

「ブフッ」

な、なんでアストリアが出てくるのよ!


「もう、ミリィわぁ。」

私の口元をハンカチで拭いてくれるけど、誰のせいで吹いたと思ってるのよ。


「一つ聞くけど、なんでアストリアが出てくるの?」

「なんでって、ミリィはアストリア様の事好きでしょ?」

いやいや、ちょっと待って、正直に言うと嫌いではない、どちらかで言うと、まぁ好きな方・・・かな?

それはさておいて、超天然、スーパーにぶちん、自分の恋にすら気づいていないかもしれないアリスになぜバレた?私そんなに態度にだしてないよね?今までの行動を振り返り、やはり思い当たる節がない。


「なんで私がアストリアを好きって事になってるの?」

冷静な所を見せるためにゆっくりお茶を飲みながら。カップが震えてるのは見逃して!


「だって前に寝言で言ってたよ、『アストリアの事なんて好きじゃないんだからね、ふん』って。」

「ブハッ」

吹きました、ものの見事に口の中の全ての液体を。


まてまて、なにそのツン⚪︎レなセリフは!?私そんなキャラじゃないから。

とりあえず落ち着け私、好きじゃないっていってるじゃない、相手はアリス、今ならまだ誤魔化せる!


「ね、寝言なんだし、それに好きじゃないって言ってたんでしょ?」

「ねぇミリィ、ミリィって私の事なんでも知ってるじゃない?」

「まぁ、小さなときからずっと一緒にいるからね。」

何が言いたいんだろう?そんなの当たり前じゃない、取り敢えずアリスのペースに飲まれちゃダメだ、落ち着け私。ゆっくりとカップを口に近づけて一口、二口。


「私もね、ミリィの事なら何でも知ってるんだよ?ミリィが困ったときや誤魔化す時は必ずお茶を飲む癖も。」

「ブハッ」

本日三度めレディにあるまじき行為、さっきからゴメンねエレノア。

超にぶちんのアリスが今日はやけに鋭いわね、とにかく今は話を変えよう。


「分かったわ、お菓子作りを手伝えばいいんでしょ?」

「うんありがと。お姉様に教えて頂いた通りだ。」

「なんでここで姉様が出てくるのよ」

「だってミリィが嫌がったり、恥ずかしがったら、適当な嘘を言って動揺するかどうかを確かめたらいいって。」


あのアマァ!今日に限ってアリスが上手く攻めてくると思ったら姉様の悪知恵か!寝言の事はおかしいと思ってたのよ!

くぅ〜、いつか仕返ししてやるんだから!


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