40話 再会
カン、カン、カン
木剣と木剣が交わる音が辺り一帯から聞こえてくる。
サツキさんが学生さんだと仰っていたので私と同じか少し年上の方なんでしょうが、皆さん騎士を目指しておられるだけあって、訓練されている姿がカッコいいんです!大半は男の子なんですが何人か女の子の姿も見えますね。
「お久しぶりです教官。」
「ちゃ〜ス!教官おじゃましま〜す。」
サツキさんとミズキさんが訓練を見られている教官(?)さんにご挨拶されています。ミズキさんはどなたにでもフレンドリーなんですね。
「なんだ双子か、今日はサボりか?」
「教官、それセクハラですよ。」
「ちゃんと仕事していますってば。ほらここに。」
そういって私は前に押し出されます。今更だけど来ちゃってよかったのかな?
「初めまして、アリス・アンテーゼです。」
「アリス?・・・っておい!なんて方をお連れしてるんだ、こんな所に連れて来てもしもの事があればどうするつもりだ!」
えっ、やっぱり来たらダメだった?教官さんが慌てておられるんだけど。
「大丈夫ですよ、私達が付いていますから。」
「そうそう、そんな堅い事言ってるから出世できないんですよ。」
「うっさいわ、好きで教官してるんだ、それより本当に大丈夫なのか?この方は・・・ごにょごにょ」
私の方を見ながら三人で話しておられますが、声が小さくであまに聞き取れませんでした。
「あの、突然お邪魔してしまってごめんなさい、お二人は悪くないんです、私が見てみたいと言ってしまったので・・・。」しゅん
「教官、姫様泣かせちゃうんですか?」
「せっかく姫様が見習い君達を励まそうと来てくれたのにねぇ。」
「いや、そうじゃなくてだな、あーもう、しっかり護衛していろよ。」
「「もちろん。」」
なんだか無理矢理感がハンパじゃないんですが、いいんでしょうか?教官さん後で怒られなければいいのですが。
「姫様、教官のお許しもでた事ですし、見習い君達を励ましてあげてください。」
「励ますって何をすれないいですか?」
私こんな大勢の人の前で何かするって無理ですよ?自慢じゃないですが伊達に12年間チキンやっていませんから!
「はいはい、ちゅ〜も〜く。可愛い女の子からの励ましのプレゼントだよ。」
流石に皆さんの前では姫様呼びはされないんですね、変な誤解を生んじゃいますからね。ってそうじゃなくてミズキさん何言ってるんですか!皆さんこちらを向いてるじゃないですか、それに励ましのプレゼントってなんですか!
「はい姫様、ご挨拶」
え〜〜〜〜!!なんて無茶振り言うんですか!、この状況で何を喋ればいいのよ!うぅ、何か言わなきゃ逃げれないよぉ。
前に押し出され、緊張するよぉ、何を言えばいいのよぉ。
震える手を胸元で必死に抑えて、足のガクガクはスカートで見えないよね、顔が恥ずかしくて赤くなってると思うけど。
「あ、あの、アリスと言います。えっと、皆さん、訓練大変だと思いますが、頑張って、素敵な騎士様になって下さい!」
ぜはぁ、ぜはぁ、出来たよ、たどたどしかったけど私頑張ったよ!
『『『『うおぉぉぉぉぉ!!!!』』』』
うわっ!一斉の歓喜にちょっと驚きました、なぜか皆さん急に元気になられました気がします、主に男の子が。
「さすが姫様、大人気ですね。」
「これを無意識にしてるんだから、将来彼氏が大変ですね。」
よく分かりませんが、彼氏ってどういうことでしょうか?取り敢えずこれで良かったってことなんですよね?
日陰に用意してくださった椅子に座って、しばらく訓練されている様子を伺っていると、皆さん休憩に入られたようで、各々日陰なので休まれています。そんな中、私に近寄ってこられる数名の女の子が・・・って。
「パフィオさん!」
「お久しぶりですアリス様」
そこにおられたのは10日程前まで別荘で一緒だったパフィオさんの姿が、あれ?なぜか様づけになってませんか?
「パフィオさんも見習い騎士様の合宿に来られていたんですか?」
「はい、数日前から参加させていただいております。」
まさかパフィオさんが来られているとは思いませんでした、そういえばお父さんとお兄さんが騎士団に所属されていると仰ってましたね。
「そちらの方々はお友達なんですか?」
「この合宿で知り合った、同じ騎士志す友達です。」
こんな簡単にお友達ができるなんて羨ましですよ。
「あの、私ともお友達になってくれませんか!」
「そ、そんな恐れ多い。」
「わ、私くし達とお、お友達などと滅相もない。」
「ですです。」
なんだろう、ミリィに出会ったばかりのココリナちゃんに似てるんだけど。
その後、半ば強引に友達になりましたよ、何か問題でも?
そして事件は起こったのでした・・・。
「よっ、お久!」
「久しぶり、学園の社交界以来?」
なななななななななななんでおられるんですか!
「ジーク様!」
そこには訓練着を着て爽やかな汗をかかれた姿のジーク様が・・・、あぁスーツのお姿もよかったけれど、汗をかかれた姿もいいなぁ。いやいや、何考えてるの私!
ふとダンス踊った時の事を思い出して、どうしよう私、絶対今顔真っ赤だよ。
「いや俺もいるんだが。」
お隣でアストリア様ちょっと困った顔をされていました。