30話 ビバ夏休み!
本話より夏休みの始まりです!
「アアアアアアリスさん!!おおおおお王女様が!!!」
「ん?ミリィの事?そんなに怯えなくて大丈夫だよ。人間は食べたりしないから。」
「「ひぃ!」」
お母様から無事に別荘をお借りする事ができ、招待状と馬車でのお迎えを終え、先ほど皆さんが到着されたところです。
ユリネさんとプリムラさんはミリィと会うのは初めてだもんね、普通は驚くよね。
「うふふアリス。・・・誰が人を食べるって!」ぐりぐり
「みりぃ〜いたいぉ〜。」
「お久しぶりでございます、ミリアリア様。」
「お久しぶり、リリアナ、皆んなも。」
私ににぐるぐり攻撃をしながら、ミリィとリリアナさん達が挨拶をしています。
「ミリアリア様、その節はご迷惑をおかけいたしました。」
「もういいわよ、今はアリスと友達なんでしょ?アリスの友達は私の友達になるから、よろしくね。」
「あっ、はい。」
イリアとミリィも問題なさそうですね。でも私の友達はミリィも友達ってことは、その逆もあるのかなぁ。
「ところで、この二人はどうするの?」
「どうしましょう?」
未だに二人抱き合って怯えておられる、ユリネさんとプリムラさん。ちょっと涙目ですよ。
「まぁ、私たちも最初はねぇ。」
「気持ちはすごくわかりますわね。」
「み、皆さんは余裕がお有りなんですね。」
ココリナちゃんとリリアナさんの言葉に、イリアがちょっと引き気味に答えています。
二人は随分耐性ができてるもんね。
「しかしミリアリア様で怯えているようでは。」
「この先が大変ですよ?」
「そうですわね。」
「だって、アリスちゃんですから。」
もう、ひどい言われようです。しくしく
今、この別荘にいるのは私たちスチュワート学園ズの8人とミリィ、お世話をしてくださる侍女さんズだけなんです。お母様達とは、このお泊まり会の後、ティターニア領館で合流する予定になっているんです。
「取りあえず部屋割りを決めましょうか。あまり部屋数が多くないから2・3人で一部屋になるから。」
「私はミリィと一緒だね。」
こちらの別荘は家族でゆっくりとできるぐらいの大きさしかないので、寝室として使える部屋数は多くないんです。
「私はユリネさんとプリムラさんとで、お借りいたしますわ。」
「じゃカトレアさん一緒の部屋でどうですか?」
「それでは私はパフィオさんとご一緒させていただきますね。」
『イリア・ユリネさん・プリムラさん』、『ココリコちゃん・カトレアさん』、『リリアナさん・パフィオさん』で部屋割りが決まったところで、それぞれのお部屋へご案内します。
「皆、今日はずっと移動だったから、お荷物の整理が終わったら、テラスで休憩しましょう。お茶の準備をしておくので後で来てくださいね。」
私達は昨日着いているんですが、他の皆さんは朝からずっと馬車の中ですからね、王都からここまでは半日以上かかるんです。今日はもう日が傾きかけていますよ。
「あのぉ~、アリスさんって一体何者なんですか?」
テラスに全員揃って、水平線に沈む夕日を背景にティータイムです。
そんな中、ユリネさんが以前ココリナちゃん達が言った、お決まりのセリフを口にしました。
「ユリネさん、いろんな人に言ってるんだけど、あえてもう一度言うね。アリスちゃんを私達一般人の常識で考えたら負けだから!」
うぅ・・もう慣れたけど・・・、ココリナちゃんやっぱひどいよぉ。
「ユリネさん、プリムラさん、お二人の動揺するお気持ちは十二分に理解しております。ですが私達が今考えなければならないのは、アリスが何者なのかは問題ではなく、この現状をどうやって受け入れなければ、いけないかなんです。」
「イリア、フォローしてくれてるのかもしれないけど、フォローになってないから、そして言っている意味がわかんないから!」
「あなた達、いつもこうなの?」
「王女様がこんなにフレンドリーにあわられたら、大体の人はこうなると思いますよ。」
「そういうもの?」
「もう、ミリィ、自覚無さすぎだよ。」
「「「「アリスさんには言われたくありませんわ」」」」
しゅん。
「そういえばね、実はここの別荘には温泉があるんだよ。」
ユリネさん、プリムラさんもようやく諦め・・・、受け入れてくれたのか、なんとか普通に話せるまでにはなり、皆んなで会話をしながらお茶会をしています。
「温泉ですか?それはどのようなものなんです?」
あれ?イリアさんはご存知ないんでしょうか?
「イリアさんもご存知ないんですか?」
「あれ?リリアナさんも知らないんですか?」
「ごめんなさい、私も知らないわ。」
パフィオさんまで、これはちょっと意外です。貴族様は温泉に行かれた事がないんでしょうか?
「皆さんご存知ないんですか?」
「私たちには結構有名なんですが。」
ココリナちゃん達は知っているんだね。
「大衆浴場みたいな物って、貴族シスターズは大衆浴場も知りませんよね?」
イリア達がいつの間にか貴族シスターズになってるよ。
「なっ、なんですの!?貴族シスターズと言うのは。」
「気にしない気にしない、で大衆浴場ってのは大きなバスタブにお湯を入れて、大勢の人で入れるところなんですが。」
なんだかココリナちゃんに貴族耐性が付いてきたみたい、イリアにすら扱いが雑になってきてる気がするんだけど。
「温泉は地下深くからお湯が湧き出ていて、そのお湯をバスタブに溜めて入れるのが温泉なんです。」
「地下からって、大丈夫なんですの?」
「大丈夫どころか、美容健康にもいいんですよ!」
「そうなんです、お肌がスベスベになるって話ですよ。」
「王都には温泉は在りませんからね、入るのは私も初めてですよ。」
ココリナちゃんに習うなら、平民シスターズが目を輝かせながら説明してくれます。
「お肌がスベスベ・・・。」
あっ、イリアの何かのスイッチが入ったみたい。
「ぜ、是非一度体験してみたいですわ。」
うん、イリアも最近いい感じに壊れ・・・自分を出すようになってきたよね。