27話 事件の後日談その1
学園社交界で起こった事件の後日談です。
長くなったため、2話に分かれてています。
「アリスさん、昨日は有難うございました。おかげさまで楽しい休日を過ごせましたわ。」
お泊まり会の翌日、なぜか疲れ切った顔をしているリリアナさん達、うん、皆んな遊び疲れだね。
「楽しんでいただけたのなら、うれしいです。そうだ、お母様がまたいらっしゃいって言ってたよ。今度は公務が無いときに是非って。」
「いっ、いえ、そう何度もお伺いするのは、皆様にご迷惑をお掛けしますので。おほほ・・・。」
何だろう、リリアナさんの顔が引きつってるんだけど・・・。あっココリナちゃん達も・・・?
「・・・それでは、先週行われた学園社交界でのレポートを書いていただきます。またご令嬢担当をした侍女は、それぞれ評価をいただいております。今から配りますので今後の参考にしてください。」
今日の授業は先週行われた学園社交界の反省レポートの作成なんです。先生から担当した生徒、ミリィからの評価表を受け取りレポートの作成です。でも私、すぐにココリナちゃんに任せて、ピアノの代役に向かったからなぁ。
そういえばイリア様今日はお休みでしょうか?朝からお姿が見当たりませんが。
ガラガラ
「事業中失礼します。」
授業の途中ですが、どなたかが教室に入ってこられました。・・・ってお兄様じゃないですか!?
「生徒会長、どの様なご用件でしょうか?」
突然の訪問にもマリー先生が穏やかに対応されています。さすが生徒会長です、先生方からも信頼があるんですね。
「授業を中断させてしまい申し訳ございません。至急の要件があり、アリスをお借りしたいのですがよろしいでしょうか?」
私ですか!?至急の要件って何でしょう?今朝は普通にお兄様と登校したので、学園に来てから何かあったのだと思いますが。
「アリスさんを?・・・理事長の許可は取っておられるんですか?」
「はい、理事長からの指示で今から向かうところです。」
先生は一瞬考えてからお兄様に聞かれています。生徒会長とはいえ学生ですからね、さすがに理事長さんの了解がいるんでしょう。
「わかったわ、アリスさん。」
「はい。」
なんの御用かわかりませんが、理事長室に向かうみたいですから、行く途中に聞いてみましょう。
「すまないアリス。皆さん、授業を中断させてしまい申し訳ない。」
お兄様が一言お詫びを入れ、足早に二人で教室を後にしました。
「何かあったのですか?」
「ああ、先日社交界で起こった未遂の件でな、調べた結果二人の学生の身元が分かり、理事長から直接親へ抗議を入れてもらっていてな、その親が今アリスに謝罪をしたいと来られているんだ。」
「謝罪ですか?」
理事長室に向かう道中、何があったのか伺ったのですが、先日の件でしたか、あの時お兄様たちが犯人捜しをするとおっしゃっていましたから。
しかしヴィクトリアの学生さん親ですから、貴族様が資産家さんなんでしょう、私みたいな平民に謝罪をするって立場上大丈夫なんでしょうか?
「心配しなくても私も同席する事になっている。」
「そうなんですね、ありがとうございます。一人だと心細いと思っていたんです。」
お兄様がご同席くださるんですね、でしたら安心できますね。
コンコン
「失礼します。」
お兄様のノックに続き理事長室へと入りました。部屋の中にはお父様と同じぐらいの男の方お二人、若い男の方が一人、それにイリアさん?がおられます。向かいにお一人で座られているのがおそらく理事長さんなんでしょう。
「アリスさん、お呼び出しして申し訳ございません。理事長のセルバです。どうぞこちらへお座りください。」
やはり理事長さんだったんですね。私はお兄様と一緒に斜め向かいにあるソファーに座りました。
「初めてお目に掛かります、私はクリスタータ家当主、バルレリア・コアヤメ・クリスタータと申します。」
「同じくクリスタータ家長子、ラクティア・コアヤメ・クリスタータといいます。」
「ご丁寧にありがとうございます。アリス・アンテーゼでございます。」
私達が席に着くとお二人がご挨拶をしてくださいました。クリスタータという事は、イリア様のお父様とお兄様?とういうことでしょうか。先日の事件にはイリアさんは関係無いはずなんですが。
「この度は我が子達があなた様へ、多大なご迷惑をお掛けした事、大変申し訳ございません。」
やはり謝罪をされるんですが、私には意味が分かりません。
「あの、申し訳ございませんが、イリア様のご家族の方でございますよね?先日の件にイリア様は関わってはおられないのですが・・・。」
「アリス、私から話そう。」
私が頭を傾げて迷っていると、お兄様がご説明してくださいました。
事件の後日談その2は本日中にあげる予定です。