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正しい聖女さまのつくりかた  作者: みるくてぃー
第1章
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3.1話 常識ってなんですか?(ココリナ編)

前話のココリナ視線となります。

私ココリナは、首都レーネスの市民区で両親と私、弟の4人で暮らしのごく平凡な家庭で生まれました。

共働きの両親に代わって、小さいときから弟の面倒を見ながら家のお手伝いを毎日していました、そんな私の唯一の趣味が本を読む事、本は高価なものだけど王立図書館に行けば、わずかなお金で本を借りる事が出来るんです。


ある日図書館で古びた1冊の本を見つけたんです。

古いといっても表紙が少し汚れているだけで、中キレイでいかにもは誰も読んだ事の無さそうな本。

自然とその本が目に留まり、気づけば貸出の手続きをしていて、自分でびっくりしたくらいです。


その本の内容は両親を事故で亡くし、身寄りの無くなった一人の少女が、住み込みで貴族のお屋敷で働く物語。

貴族の娘達にいじめられながらも懸命に生きていく女の子、ある日街へ買い物に出かけた際、ゴロツキに捕まったところを、たまたま通りがかった一人の男性(王子様)に助けられ、やがて屋敷パーティーにお忍びで来ていた王子様と劇的な再開を経て、恋に落ちていく。

こんな都合のいい出会いとかないわぁ~っと分かっていても、私だってちょっとぐらい夢を見てもいいですよね。


もともといろんな本を読んで知識も多少あったのと、一通りの家事はできたので、お母さんに頼んで名門のスチュワート王立専門学校の試験に挑戦しました。

この学園は名門なんだけど、私達平民でも入学ができるのと、学費が比較的安い為、競争率がすごく高いんです!

そらぁ、卒業出来たら名門貴族様のお屋敷に働くことも夢じゃありませんから!言うなれば平民の中ではエリートコースなんです!


私は幸運な事に見事合格!

そして先ほど無事入学式が終わったところなんです。

国王様の登場にはさすがに驚いたけれど。


教室に戻ると、隣の席に座っていた子が自然と目に入り、失礼かと思いながらもつい見つめてしまうと、そこにはなんと、あの時読んだ物語の主人公が、いかにも飛び出してきました!って可愛い女の子がいるんですよ!


女の子の一人窓の外の青空を眺めていている姿がね、もう、周りにお花が飛び交う幻が見えちゃうぐらいなんです!


他の生徒さん達はあちらこちらで話しているのが見えるけど、この子も知り合いがいないのかなぁ。

そう思っていると自然に話しかけている自分がいてビックリしちゃいました。


女の子は一瞬驚いた顔をしながらも、私の顔をちゃんと見て返事をしてくれました。

その姿がね、なんというか、めっちゃ萌えなんですよ!にやけ顔を必死に隠しながら、

「ふふ、アリスちゃんね。私、知り合いとかいなくて寂しかったの良かったら仲良くしてね。」

って、わっ、私いきなり何いってるのぉぉぉぉ!!


今まで家のお手伝いばかりで友達なんて一人もいなかった私が、いきなり「仲良くしてね」って、なにこのお友達作り上級者のセリフ、ないわ!


そんな私の葛藤を知らずに女の子アリスちゃんは、

「私も、誰も知ってる人がいなくて・・、すっごく嬉しいよ。」

そういって私の両手で握りしめしながら大きく上下にぶんぶんしてきた。

やっぱりこの子、可愛すぎるよ。




先生からの学園の説明が終わり、この後、初日の予定はお昼を挟んで午後から校内の案内が行われる予定。


さっきお友達になったばかりのアリスちゃんに、お昼を一緒に食べようと思い声をかけたあと、ふとお弁当じゃなかったらとどうしようと思ったけれど、どうやらお弁当派だったみたい。

平民はやっぱりお弁当だよね。


2人でお弁当を広げて食べ始めると、つい失礼かもと思いながらアリスちゃんのお弁当の具材を見てしまうと。

えっ、なにあれ!?このあたりではなかなか手に入らない『お魚』の揚げ物、いかにも新鮮そうで多種に渡るお野菜のサラダ、極めつけはお肉に包まれた茎野菜!

お魚とお肉のダブルコンボ!ディナーならまだしも、お弁当でこのレベルって!何者!?


先ほどのアリスちゃんの自己紹介もびっくりしたけれど、これは聞かずにいられないよね?

「ねぇ、アリスちゃんって実は貴族のお嬢様だったりしない?」

何気な~く、サラリと聞いてみたんだけど。


「ふぇ?違うけど、なんで?」もぐもぐ。

アリスちゃんの反応は私の期待を大きく違い、なんでそんな事聞いてくるんだろう?って顔を返してくる。

あれ?違うの?


アリスちゃんが名乗っていたファミリーネームの説明をしてみたのだけれど、返ってきた答えが。

「えぇぇぇ〜〜〜!!!」

あっ、この娘天然さんだ。


この後アリスちゃんの両親の事にはビックリしたけど、本人は気にしていないみたい。

でも同じ年のお嬢様がビクトリア学園で、一方のアリスちゃんはスチュワート学園、それって明らかに区別をつけられてるよね!

「・・・・・私が力になれる事があればなんでも言ってね!」




お食事を終え、アリスちゃんとお話をしていると、物語に出てくる『いかにも悪役令嬢!』って人がやってきて。

「ちょっと、邪魔なんだけど!」

「あっ、ごめんなさい。」

アリスちゃんが慌てて道を開けてるけど、別にここ通らなくてもいいんじゃないの!

ほかの通路からでも行けるのに、まるでアリスちゃんに嫌がらせをしているみたい!


おそらく自己紹介の時に自分が男爵令嬢だってアピールしたかったのだろうけど、その前のアリスちゃんの自己紹介があまりにもインパクトがありすぎたから、このご令嬢の紹介が、霞んでしまとでも思っているんだろう、最後に『ふんっ』とか言って印象もわるかったしね。

それがきっとお嬢様には気に障ったんだと思う。


確かに何人か貴族のご令嬢がこの学園にも通われているみたいだけど、それってヴィクトリア学園に通える学費がなかったって事でしょ。きっとお屋敷の経営が大変なんだと思う。


それなのに・・・、

「まったく、どうせどこかの成金上がりの小娘の分際で、貴族である私の道を妨げるなんて、何を考えてるのかしら!親の顔が見てみたいわ!」

いやいやいや、この学園に来てそのセリフは言っちゃダメだよ。それにアリスちゃんの育ての親はたぶん貴族様ですよ!


そんなアリスちゃんは隣で目をキラキラさせて、

「私、初めて見たよ。」

初めて?アリスちゃんのお世話になっているご両親も貴族様よね?と疑問に思っていると。

「物語に出てくる悪役令嬢様。」


し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん。


アリスちゃんそれ思っても口に出しちゃダメだから!!!!


こうして、私の波乱万丈の学園生活がスタートしたのでした。

「無事に卒業できるのかなぁ。」ボソッ


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