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風紀委員長の使い


「えっと…紫季(しき)先輩?」


京治の背におんぶ状態の女子生徒、冠城(かぶらぎ) 紫季(しき)の名前を俺は呼んだ。それに反応した彼女は、京治の背から降りると、


「大正解だ!!我が二番弟子ケーちゃん!!」


そう言って、親指をグッと立てた。因みに【二番弟子】と言うのは、中学時代に【一番弟子】の京治と共にお世話になった時に付けられた肩書き的なものだ。もう少し詳しい話はいずれどこかで。


「珍しいですね、紫季先輩が二年生の教室に来るの」


俺はそう告げる。普段の紫季先輩は他学年の教室にやって来ることは滅多にない。というのも、必要が無い時以外は自分の教室で大親友の倉守(くらもり)先輩と談笑しているからだ。そんな彼女がこうして二年の教室に来るということは何かしらの理由があるのか、単に京治を見つけたからこうして俺にも会いに来ただけなのかのどちらかだろう。


「ん~。それはね、夢見ちゃんにケーちゃんを呼んできて欲しいって言われたの」


紫季先輩から挙がった聞き覚えのある女子生徒の名前。それも当然で夢見とは、我が校の現風紀委員長の夢見(ゆめみ) 魔宙(まそら)先輩の事だからだ。そしてこの時期に呼ばれるという事は、対抗戦についての話だろう。しかし、なぜ風紀委員でもない紫季先輩がこうして使いに出されたのか?そこだけは疑問だ。


「風紀委員長が俺を?」


「うん!ほら、ケーちゃんって対抗戦に出るんでしょ? しかも生徒会長直々のお誘い!だから、夢見ちゃんがね、ケーちゃんがどんな生徒なのか気になるんだって!」


「…そ、そうなんですね」


「んじゃ、早速しゅっぱーつ!!」


ガシッと急に手を掴まれた俺は「あ、えっ、ちょ!?」と意表をつかれた声を上げて連行された。


「~~~♪」


教室を出た後、紫季先輩はなんかの歌を口ずさみ始める。俺はその歌を聴きながら抵抗することも無く風紀委員室に向かう。暫くして、風紀委員室と記された表札を視界に捉えた。すると、ダッダッダ!っと紫季先輩が駆け足でその教室に辿り着く。いきなりの事で危うく転びかけたが、なんとか転ばずにすんで安心した。


「夢見ちゃ~ん!呼んできたよ~!!」


ドンドンと大きくノックした後に、紫季先輩が大声で中にいる夢見先輩に向けて声を発する。それから少しして、


「入ってきていいわよ、紫季」


どこか大人びた女性の声が返ってきた。


「おっじゃまっしま~す!!」


了承を得た紫季先輩が扉を開ける。それに伴い、室内の景色が俺の視界一面に映し出される。


「急な呼び出しに応じてくれて感謝するわ。ようこそ、風紀委員室へ。久慈宮 兄太君」


風紀委員長:夢見 魔宙先輩はそう言って、笑みを浮かべた。

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