順位発表
しーにゃん先輩とのデートや試験が終わって数日後。いよいよ中間試験の結果がわかる日が来た。この学校は学年毎に順位の記された紙が廊下に貼り出されるシステムとなっている。正直な話、恥を晒すようなシステムな訳だが、理事長曰く『お互いに順位を知る事で競争意識が高まる』との事だ。まぁ、確かに自分がこの学年でどの辺りの順位に居るのかを把握できるのはありがたい。
「はぁ…心臓もげそう」
隣でめちゃくちゃ不安を抱いてブツブツと怖い事を呟く我が親友1号の京治。 彼は試験期間に華薇先生との約束を破り、テス勉放棄で遊んでいたことがバレた馬鹿だ。そりゃ、こんなに不安なのも頷けるし、それを何とかしてあげたいとは思わない。自業自得なのだから。
「なんでこの学校はいつもいつも順位を貼り付けんのよ…。ただでさえ、勉強の苦手な私は順位が毎回低いってのに…」
「ハッハッハ!! 面白いではないか!敵の実力を知れるとは良いシステムだ!!」
同じく俺の隣を歩くリィンとレヴィがそれぞれ違う態度で告げる。彼女らは俺が勉強を教えたので、順位は上がっているはずだ。いや、上がってもらわないと困る。なんのためにコイツらに勉強を教えたと思ってんだ。そんなの華薇先生に殴られたくないからに決まっている。別に二人から好意が欲しいわけでも感謝が欲しいわけでも見返りが欲しい訳でもない。
「さーて、どうせ今回も私と新がワンツーフィニッシュだし、ドキドキもハラハラもないわね」
「ははは。 そうだといいかな」
自信たっぷり超天才な桜花と相変わらず謙遜する超天才イケメンな新が背後でそんなやり取りを交わすのが聞こえた。相変わらず舐めきった態度だが、桜花の言ってることは間違っていないのだから、とても悔しい。毎度毎度、1位・2位は桜花と新で確定されている。 今までに彼らを越した生徒は現れていない。かく言う俺も2人を追い越せない為、いつも5~10位辺りをウヨウヨしている。
「ねぇ、ケー君!お腹すいた!!」
俺の前を歩いていた食いしん坊幼馴染の雫がヨダレを垂らして今と全く関係ない事をほざきやがる。まぁ、こんな馬鹿そうに見えても俺と大して成績が変わらないし、勉強よりご飯という思考回路の為、順位に全く興味を示さないのは仕方ない。
「はぁ…またヨダレ垂れてるぞ。拭ってやるから、動くなよ」
「はーい!!」
懐からティシュを取りだし、雫のヨダレを拭う。顔は相変わらず可愛いのに、性格が小学生と変わらなさすぎて将来が心配になる。まぁ、俺がこいつと付き合う事は無いため、独り身のままだったたら、飯くらいは食わせてやろうと思う。
「…なんかアンタ達って変な関係してるわよね」
「…うん。なんか普通の幼馴染って関係ではないよね」
「幼馴染と言うより親子みてえだな」
「キモイわね、ケータ」
「うむ。これが幼馴染の関係と言うやつか」
俺がいつも通りに雫の世話焼きをしていると、桜花達が意味不明な感想を零した。 変な関係でも親子でもない。普通のどこにだっている幼馴染という関係だ。
「意味わかんねえこと言ってないで、さっさと順位確認して教室戻ろうぜ」
「変なのは今更だし、それもそうね」
桜花の言葉に俺と雫以外が納得し、なんか腑に落ちないまま、廊下に貼り出された順位表を確認する。
「ふふん!当然の結果ね」
「流石だね、桜花」
1位、2位は当たり前の如く桜花と新。
「あ!ケー君と私、連続で並んでる!仲良しさんだね!!」
「はいはい、仲良し仲良し」
5位、6位に連続で並ぶ雫と俺。
「…99位。…前回よりも落ちてる」
前回90位で今回99位のテス勉サボり魔の京治。
ここまではだいたい問題は無い。後は、リィンとレヴィの順位だけだ。俺は最下位から順に名前を見ていく。今のところ200番台には名前が無い。ここまでは彼女らなりに頑張ったと言える。まぁ、100位以内に到達していなければ意味は無いが。
「105…104…103…102…101…100」
ついにクリア条件を達成するラインまで到達した。ここに至るまで二人の名前はない。そして、
「75位…リィン・V・ドラキュリア。 64位…レヴィナンス・キティ・ラルフィシア。…!?」
信じられないと何度も確認するが、やはり彼女らの名前がしっかりと75位と64位に載っていた。俺は反射的に2人の方を見ると、呆然とした顔で口をパクパクさせていた。しかし、数秒後には、彼女らもこちらに顔を向け、
「やったわ!ケータ!! 人生初の最高順位よ!!」
「やったぞ!我が未来の伴侶よ!圧倒的大勝利だ!!」
心の底から嬉しそうに告げた。かく言う俺もめちゃくちゃ嬉しい。リィンは毎回成果を出さなかったのにすごく成長したし、レヴィに関しては呑み込みは早くてすくすくと成長していった。その苦労を思い返すだけで涙が出そうになる。
「これで罰ゲームは回避出来た!!」
そう喜んだ時期が俺にもありました。
「えー、とりあえず全員200位以内到達おめでとう。しかし、忘れてると思うけど大変心苦しいわけ事に【華薇の拷問スペシャル】2回は確定だ。恨むなら私ではなく、京治を恨め」
始業の時間。俺達に告げられたのは死刑宣告だった。全員が全員、言葉を発せずと言うよりもう死をヤケクソで覚悟していた。否、諦めているだけだった。
「んじゃ、心苦しいが始めるぞー。一瞬、三途の川が見えるかもだけど戻ってこいよ♪」
心苦しそうにでは無くめちゃくちゃ楽しそうな笑顔でそう告げて、最前列の生徒の前に立つ。
そしてその日、2年4組の全生徒が『おばあちゃんが川の向こうで手を振っていた』と目覚めた後にそう零していた。
また溜まったら、投下します




