しーにゃん先輩のお誘い 後編
しーにゃん先輩に引きずられて辿り着いた人気のない場所は、やはり『幽霊教室』だった。こんな所に来る生徒や先生は極々少数であり、稀だ。万が一、ここで人を見かけた場合は一生分の運を使い切ったとも言える。そんな場所に放り込まれた俺と、少しというより相当ボロい椅子に座るしーにゃん先輩。傍から見ればカツアゲやらといった最悪な展開が待ち構えるように見えるが、別にそんな事は起きない。
「はぁ…。お前のせいで私の威厳が崩壊寸前だったじゃないか。どう落とし前つけてくれんだ、あァ?」
しーにゃん先輩は溜息をついた後、俺を睨む。ちょっとというか結構怖い睨みだったので身がすくむ。さすが普段は『姐さん』と呼ばれてるだけはある。まぁ、俺は最初の頃から『しーにゃん先輩』としか呼んでない訳だが。
「・・・」
「だんまりを決め込んだってことは、私がお前にどう落とし前つけても文句はないって事でいいよなぁ?」
しーにゃん先輩が悪い顔で再度問いかける。それに対して俺の返答は勿論、
「YES!!」
親指立ててグッドサインだ。ここで断るなんて俺はしない。考えてみろ。断った所で許してくれるわけが無い。俺は知っている。なので、俺は断らず笑顔でグッドサイン立てて了承するのさ!
「ほぉ。そうかそうか。素直な後輩は好きだぞ、兄太。とりあえず歯を食いしばれ」
「そりゃそうですよ。俺は素直ですし…どうぞどうぞ歯を食いしばるのでなんなりt・・・え?」
いま聞き捨てならないことが聞こえた気がして冷静になった瞬間、思い切り拳で頬を打ち抜かれました。パンチで人間って浮くんだね。吹き飛ぶんだね。いつも思ってる事だけどさ、やっぱこの学園に入ったのは間違いだった気がする。まぁ、ここ以外の学園を選ぶとなるとこの街から出ないと行けないのでそれはめんどいというか可愛い妹を置いていくのは心苦しい。だから致し方ないので諦めた。
「い、痛いですよ…しーにゃん先輩」
頬を押さえ抗議するが、
「憂さ晴らしはこれくらいにしてだ。試験週間中にした約束覚えてるか?」
普通にスルーされて悲しい。だが、『約束』という単語を聞いて、俺は思考を切替える。スルーされたことは辛いけどそんなことどうでもいい(強がり)。
「約束ってお出かけのことですよね!俺としーにゃん先輩の二人っきりでのお出かけ!別の言い方をすればデート!!」
テンションMAX+瞳キラキラで約束の内容を答えると、しーにゃん先輩の顔が真っ赤に染まった。気のせいか、頭の上で煙がボンッと出た気がするがおそらく気のせいだろう。
「で、ででで…デートじゃねえって言ってんだろっ!!」
「へぶばぁ!?」
小さな拳から放たれる化け物のような威力のパンチが再び頬を打ち抜いた。今度はグルグルと宙をきりもみ回転しながら壁に突き刺さった。初めて壁に突き刺さった気がする。そんな俺に対して、
「ほ、ほら、さっさと遊びに行くぞ!け、ケータ!!」
恐らくまだ顔が赤いままのしーにゃん先輩が足をガシッと捕まえて壁から抜いて歩き始めた。要するに引きずり再来だ。今回は仰向け引きずりなので尻は守られるけど顔面は犠牲となったのでした。
また溜め込んでから全投下します




