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華薇先生流の応援



「おはよう、ケータ君。京治君」


「やっほ~、2人共」


俺と京治が教室の扉を開けると、新と桜花がこちらに気づいて挨拶をしてきた。俺達はそれに返したあと、席に腰を下ろす。いつもと変わらない談笑の時間ではなく、互いに互いの試験勉強の進行度を話し合う。


「お前ら二人は…聞くまでもないとして、京治。お前はどうなんだよ?今日の試験自信あんのか?」


俺が新と桜花に試験について聞かないのは、どうせ今回もトップ10に入るのは分かりきっているからだ。それよりもこの京治(あほ)の方が心配だ。


「ん?今回は結構余裕だぜ? 珍しく姉貴にしごかれたからな…」


姉との試験勉強のことを思い出して暗い顔をする京治。相当しごかれた様子だ。これならコイツが200位以下を取ることはないだろう。


「後は…あの二人か」


まだ教室に来ていないリィンとレヴィの事がやはり心配だ。あの二人はちゃんと100位番台までいけるだろうか。とても心配で心臓が爆発しそうだ。俺がハラハラドキドキしていると、教室の扉がまた開き、


「皆の者!おはようだ!! 今日の試験、我と皆で乗り越えるぞ!!」


レヴィの声が響いた。どうやら徹夜なぞせずにしっかりと寝たらしい。正直、徹夜漬けなんてした所で身につくことではないし、集中力が低下するだけだ。まぁ、個人差はあるみたいだが。


「よっ、レヴィ」


「うむ、おはようだ!我が未来の伴侶よっ!!」


相変わらずバカみたいに元気だ。


「今回の試験は大丈夫そうか?というか、みっちり教えたんだ、大丈夫じゃなかったら俺が困る」


「うむ、それに関しては問題ない!我が未来の伴侶に教えてもらった通りにこなしてきたからな!それに今回は転移魔法を使わず、父上の車に乗りながら勉強してきたからな!我すっごーく偉い!!」


胸を張ってレヴィが自信満々に答える。まぁ、ちょっと心配だが、これまで勉強を見てきたが、レヴィはなかなか覚えがいいから大丈夫だろう。そんなことより一番の問題はリィンだ。アイツは覚えがいい時と悪い時の差が激しすぎて困る。


「あのバカ吸血鬼逃げたんじゃないだろうな」


HRの時間まで後5分くらいしかない。たしかリィンの家はまぁまぁ遠かった筈だ。そして残り2分という所で扉が勢いよく開けられて、リィンが入ってきた。しかも珍しく棺桶に入っておらず、片手に小さな棺桶を握り締めていた。


「お前、遅かったじゃねえか。逃げ出したんじゃないかって心配してたんだぞ」


走ってきたのか、汗をかいているリィンにまだ1度も封を開けていない水のペットボトルを渡して告げる。


「はァ?んなわけないでしょ。後、ありがと」


リィンは俺からペットボトルを受け取り、喉を潤わせる。はぅ、と息を吐いて、片手に握りしめていた収縮型移動棺桶の蓋を開け、タオルを取り出し、それで汗を拭う。


「いやぁ、相変わらず便利だな、その棺桶」


「当たり前でしょ。私の特製棺桶なんだから」


ちょっと自慢げにリィンが答える。褒められて嬉しかった様だ。


「と、そんな事よりお前がこんな遅い時間に登校なんて珍しいな。しかも棺桶なしで」


「あぁ、そのこと。単純に学校行く前に今日の試験内容の再確認してたら遅刻しそうになって、オマケに棺桶に入る時間もないから魔法で陽に当たらないように遮蔽物を作りながら走ってきたのよ」


「…なんて言うかすげえな」


素直な感想をこぼしてしまう。これ以上なんも言えねえもん。とりあえず試験勉強してたと言うし、意外と高得点を取れるのではと希望を持ち始めました。


「んじゃま。今回の試験は期待してるからな、二人とも」


「あんたの為じゃないけど任せなさい」


「うむ!期待して待ってるといい!!」


2人ともいい返事だし俺も沢山教えたしこれでダメなら、俺の教えが悪かったか、単に二人の要領のなさが問題かのどちらかになる訳だ。


「おーし、始業を始めんぞ。てめえら座れ」


ガラガラと扉が開き、出席簿を手にした華薇先生が教卓に立って告げた。その後は連絡事項やらなんやらをダラダラと伝えた後、


「え~、まぁ、試験な訳だが。その前にこのクラス内に1人、外で遊んでたっつうアホがいた訳だが・・・。なぁ? 佐々倉京治」


声がブチ切れで顔は笑顔という恐ろしき華薇先生に名前を呼ばれた京治(アホ)。俺は隣を見ると、


「・・・カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ」


本来、口からではなく動作から聞こえてくるはずの震え音を口から発しながら、オマケに冷や汗ダラダラだった。どうやら本当に試験期間中に遊んでいたらしい。


「…お前」


京治の愚かさっぷりに呆れると、めちゃくちゃ助けてほしそうに俺を見てきた。しかし、わるいな…親友。


「生きて帰ってこいよ」


俺は笑顔でそう告げた。


「そういう訳だ。後でたっぷりしごいてやるからな、京治」


華薇先生はめちゃくちゃ楽しそうというか恍惚な表情を浮かべて処刑の宣告をした。


「じゃあ、最後にお前らに一言。『華薇の拷問スペシャル』2回追加は確定となった為、これ以上痛い目にあいたくなきゃ死ぬ気で上位を狙え!!手ぇ抜いたら絞め殺すからな!分かったか、てめえら!!」


「「…はいぃぃ!!」」


最後の脅迫(おうえん)に背中を押された俺達2年4組面々は顔をひきつらせながらも大きな声で返事をしたのだった。



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