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負けられない馬鹿共の戦い⑤


「あ、あいつらを止めろおおお!!」


Aチームの誰かが、桜花率いる暴力ゴリラ軍団に微かに怯みながらも仲間達に指示を飛ばす。しかし、


「んな事言われても無理だっての!俺はあんな風にはなりたくねえよ!!」


「そ、そうだ!あ、あんな姿には!!」


Aチームの面々は、既に亡き者とされた仲間達の無惨な姿を見て怯えた声を上げる。男女構わず吹き飛ばされてる為、この暴力ゴリラ集団は容赦も慈悲もない危険な群れだ。俺は雪音から逃げながらその光景を見て、心の中で『敵じゃなくて良かったぁ』と安堵の言葉を吐いた。


「なにを安堵してんのよ? クソむっつり野郎!!」


ゴスっと俺の真後ろの床に鈍器が叩きつけられた音がした。ギリギリ触れることは無かったが、どうやら掠ったみたいで痛い。うん、痛い。普通のかすり傷程度の痛みじゃない。なんかクソいt--


「ぎゃああああ!?んだコンりゃいだァァァ!?」


なんか初めて変な言葉を発した気がする。それくらいに痛い。シャレになってないほどに痛い。正直に言うと今すぐ保健室に行きたい。てか行かせてください!!


「あ…やりすぎちゃった。 てへっ☆」


そんな俺の姿を見て、雪音が可愛らしいテヘペロ顔を見せてきた。なんて言うか殴りたい。可愛いけど殴りたい。今殴れば正当防衛になる気がするから殴ってもいいだろうって思えるくらいには殴りたい。しかし、ここは冷静に。そう、クールにいこう。返り討ちに合うということを考えるんだ。そう、返り討ちは必ず痛い目にあう。これ以上の目に。だから、うん!このまま我慢して逃げよう!!


「うあああああああああああ!!」


「なっ!? ま、待ちなさい!!」


再度闘争を開始した俺の背を雪音が再び追いかける。再開された鬼ごっこ。相も変わらず狩られる側は俺で、狩る側は雪音。俺が狩られるのが先か、桜花率いる暴力ゴリラ集団が棒を倒すのが先かの勝負。ある意味欠けに近い。でもさっきから、Aチームの面々が吹き飛ばされてるのを見る限り、勝負は直ぐに決着が着くだろう。


「はっはは!!お前に捕まる前に勝負が終わりそうだな!雪音!!」


「うっさい!勝負が終わろうが終わらなかろうがどうでもいい!!どっちみちアンタは殴り飛ばす!!」


「暴君にも程があるだろうが!?」


「そろそろトドメよ!!」


雪音が急に立ち止まり、両手のひらを俺へと向けた。その構えに冷や汗をかく俺。あれはやばい。絶対に。 そして--それは予想通りやばかった。


「吹き荒れろ!暴風!! 私の(めい)に従いあの愚か者に天誅をくだせ!!」


そう雪音が叫ぶと、前に突き出していた両手のひらから翠色の風の奔流が俺目掛けて放たれた瞬間、


「そこまで!試合終了!!Bチームの勝利!!」


蒼葉先生の声が響き、あらゆる所で巻き起こっていた超能力や魔法といった不可思議な力の全てが跡形もなく消し飛んだ。


「・・・た、助かったァ。さ、さすがは人外対策の施された学校だ」


俺は学校のシステムに改めて感嘆する。この慈愛園の体育館には教員だけが使用を許される人外対策装置【キャンセラー】が常備されている。この装置は人外の能力全てを学習させており、それにより全能力を教員の判断で消すことのできるようにされている。


「はい!それじゃあ、負けたチームは片付けを。勝ったチームは先に戻ってよし! では、解散!!」


蒼葉先生のその言葉を最後に、AチームとBチームによる血で血を争う楽しい楽しい棒倒しは幕を閉じたのだった。

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