表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/61

9:魔王と吸血鬼は馬鹿である

今回から中間試験編です! 恐らく5~6話ほどで終わると思います。


ストーカー女である結城琴乃葉から逃走に成功した俺は、自分のクラスにいた。5時間目と6時間目が終わり、3Tの時間。小学校とかで言うと『帰りの会』だ。教卓には、台に乗って話をしている華薇先生が立っている。


「今週からテスト週間に入る。しっかり勉強して、一位を目指せ。万が一、このクラスで200以下の順位をとったやつがいたら、連帯責任で『華薇の拷問スペシャル』食らわせっからな。 それが嫌なら、死ぬ気でテス勉しろ。 わかったか、お(めぇ)ら?」


ドスの効いたマジなヤンキーボイスに誰一人、『無理』と言える勇気があるわけではなく、ただただ首を縦に振った。


「因みに、リィンとレヴィの二人は100位番台に入れ。っつうわけで、兄太」


「あ、はい? なんですか、華薇先生?」


名前を呼ばれたので返事を返すと、


「お前はバカ2人に勉強を教えてやれ。 そして今回のテストで100位番台まで行かせられなかったら、『華薇のスペシャル拷問セット』だかんな」


「そ、そんな理不尽な! レヴィは知らないけど、リィンの方は根っからのバカですよ!? 前回も教えましたけど、下から数えて3番目ですよ!? 無理にも程がありますって、華薇先生!!」


「--誰が馬鹿だ!!」


ガタンと棺桶が揺れて、リィンが叫んだ。


「うるせぇ!アホ!」


俺はリィンに向かって叫び返す。


2年生の人数は275人。 その人数中272位に位置するのがこのバカことリィンだ。去年の中間試験の時は274位だった為、俺が教えてやったわけなのだが、こいつは272位という結果をたたきだした。マジで蹴り倒したろうかと思った。俺が2週間もみっちり教えてやったというのに意味が無かった。あいつの頭ん中は空っぽなのか?脳みそが入っていないのか?それとも脳はあるけど思考回路はないのか? 未だにこいつの頭の構造は理解できない。


「お前ら2人ともうるせぇ!! 私がまだ喋ってんだろうがっ! 誰が発言権を与えた?あァ?」


教卓を思い切り叩いた華薇先生がマジもんの殺気を纏わせながら、俺とリィンを睨む。それだけで身が竦んで動けなくなる。まるでヘビに睨まれたカエルのように。


「リィン!お前は馬鹿なことを理解しろ!そして兄太はつべこべ文句言わずに私の命令通りに動け!分かったか、バカとサンドバック!!」


「誰が馬鹿ですか!?」


「誰がサンドバックだ!?」


俺とリィンの声がハモる。流石にそのあだ名は許せない。サンドバックってもう人扱いされてないじゃん。まだバカの方が人扱いされてるよね。 酷すぎでしょ、華薇先生。


「--ちっ。 あんまうるせえと、留年させんぞ」


「「・・・すみませんでした」」


俺とリィンは大人しく席に座る。これは仕方ない。学生にとって、留年というものがどれだけ恐ろしいものか。その恐ろしさは、親のお説教や教師からのお説教の10倍だ。いやそれ以上かもしれない。それに、留年するということは、知らない後輩と勉強するって事だ。そんな恥ずかしいことが出来るわけがない。結局、華薇先生の命令は絶対って事だ。


「まだ怒りが治まんねえが時間が足んねえから許してやる。えー、話は戻るが、テスト週間中に遊んでる奴を1人でも見つけたら『華薇の拷問スペシャル』を2回に増やすからな。 いいか、遊ぶ暇があんなら、家で勉強しろ、馬鹿ども」


華薇先生は最後にそう念をおした後、テスト範囲がまとめられた紙を配った。 俺はその紙を受け取り、目を通す。


俺たちが通う慈愛院学園のテストは1年間に中間と期末、そして学年末の三回ある。今回の中間試験は、7教科のみ。


現国、古典、数学、英語、歴史、化学、生物。


赤点は40点以下。要するに41点からは合格だ。


そして今回の教科ごとの範囲は俺にとっては難しくない。リィン辺りにはキツそうだが。


テストは2週間後の月曜日から。それまでに色々とテストに望む準備をする。


ある生徒は先生にバレないカンニング方法を模索したり、またある生徒は先生等に勉強を教えてもらったり、一人で頑張ったり、友達と集まって勉強会を開いたりだ。


ちなみに俺の場合は、リィンとレヴィに勉強を教えなくてはならないので毎年恒例のお勉強会だ。


「最初のテストは国語か」


俺はテスト範囲表が記された裏面に目を通しながら呟く。



月曜日:現国、数学、古典


火曜日:英語、歴史


水曜日:化学、生物



これがテストの日程だ。


今回の古典範囲は漢文二つと古文が三つ。漢文は少し苦手だが、古文の方は苦手じゃない。ただ中間の古典テストは引っ掛けが多い。というのもこの古典テストを作成する担当教師はしっかりと勉強してこないと解けないような問題を纏めてくるのだ。


逆に、数学は簡単だ。 数学テストの担当教師は、引っ掛け問題よりも単なる計算問題が大半と二~三問ほどの文章問題で形成されている。文章問題の方はしっかりと読めば解けるし、計算問題の方は計算ミスがなければ余裕だ。


現国は厄介だ。担当教師が華薇先生だからだ。 問題がとりあえず難しい。漢字の範囲は漢字辞典や教科書のあらゆるページから出題される。ヤマをはることは出来ない。また文章問題の方もどこから出るかは不明。一応、範囲表の方には、三つのお話の中からとは書かれているがどれなのかは当日にならないと分からない。結果、全て暗記するしかないのだ。



火曜日の教科はあまり勉強しなくてもいい。



英語は悩む暇など必要ない。英単語数問と穴埋めや日本語訳、英語訳、後は英文。担当教師も優しい人なので問題も優しい。


歴史はとにかくムズい。 とにかく覚えるのが大変だ。年号に法律やら人の名前を覚えたり、あとは歴史順に並べ替えたりする。担当教師は厳しい。なので、勉強しなければ赤点確実だ。リィンは俺が教えたおかげで赤点は免れたのだが、教えていなかったら余裕で赤点だった。


最終日は、どの教科よりも難しい。今までは化学と生徒は曜日がずれていたのだが今回は同じ。 なので、暗記しなければならない。遊ぶ暇はない。二週間あるなら約2~3日辺り使えば普通の人は覚えれるだろう。俺の場合は1日あれば暗記は楽勝だ。まぁ、新の場合は勉強しなくても満点だが。


「っつー事で、今日からまっすぐ家に帰って、勉強しろよ。 んじゃー、かいさ〜ん」


華薇先生はそう帰りの挨拶をして、教室を出ていった。


「んじゃ、俺達も帰るとするか」


机の横に掛けられた鞄を手に京治達に声をかける。だが、我が親友である京治は試験範囲表の紙をどこか難しそうな顔で睨めつけていた。なにかムカつくことでもあったのだろうか?


「おーい、バカ京治〜。 妹華の水着写真今ならタダでプレゼントするぞー」


そう声をかけると、グワッと人間では出せないような速さで右手が伸びてきた。俺はその動きの速さに慣れているため、難なく躱す。しかし、追撃。幾度となく、京治の右手が襲いかかる。 俺はそれを全ていなし、距離をとった。


「いきなり何すんだよ!? 器用すぎて怖いわ!!」


試験範囲表から目を離さずに、的確に俺の方に右手を伸ばしてくる人間離れした動きに俺は叫ぶ。と、やっと試験範囲表から目を離した京治は、


「いや、お前がくれるって言うからさ」


「そう言ったけどさ!無言で手を伸ばしてくるのやめろよ! 一応、お前は獣人(ビースト)の血を受け継いでんだから、あのまま俺の手を握ってたら、潰れてたからな!?」


「と言いつ、すべて躱したのはすごいと思うぞ。 普通に」


「仕方ねえだろ、慣れちまったんだから、目がよ」


俺は妹華の水着写真を財布にしまって告げる。その際に少しというかなり物欲しそうに京治が見ていたが無視。別に最初からあげるつもりはない。反応しない京治を反応させるために使った餌だ。


「あはは。 流石はケータ君」


「あんた本当に人間なの? 前も私の投げた消しゴム避けたわよね?」


と、新と桜花がそう告げて寄ってきた。


「人間に決まってんだろ。逆に聞くが俺のどこをどう見て人間じゃないって思うんだよ?」


「俺達の動きに反応できる動体視力と反射神経」


「僕達の能力に対処できる勘の鋭さ」


「私達に殴られても死なない打たれ強さ」


「それって、華薇先生と一緒じゃねえか!!」


なんでそうなるんだよ。死んでもやだよ、あの人と同じなんてさ。あれは俺をも超えた化け物たからね。絶対、あれ人間じゃねえよ。親も人間じゃないよ、絶対。


「おい! 我が未来の伴侶よ!」


俺達が話をしていると、レヴィが声をかけてきた。。そちらに振り返ると、


「勉強会?というものをするのだろう? 我は誰かと勉強をするというのは初めてな故、ドキドキして我慢出来ん!早く行こうではないか!」


「ちょ、魔王だか厨二病だか知らないけど、棺桶を引きづらないでよ! 中がガタガタしてドカンドカンで頭が痛いのよ!?」


なんかすごいテンションの高いレヴィが、棺桶(リィン入り)を引きずりながらワクワクドキドキしていた。なんか具体的な説明ではないが、仕方ない。 本当にワクワクドキドキしてるとしか例えようがないんだもん。


「はぁ。別に勉強会は構わないけど、まずはそれぞれ自分の苦手な所を知る事からだな。まぁ、リィンは全科目苦手なこと知ってるから、レヴィだけなんだが、苦手科目なに?」


「クククッ・・・。 決まっておろう!我の苦手科目は分からん!分からんから何処が苦手かも知らん!ゆえに(われ)が分からん科目がなにか教えてくれ!我が未来の伴侶よ!」


「オーケー。お前が馬鹿だってことが重々理解出来た」


俺は額に手を当てて、ため息をつく。まさか自分の苦手科目が分からないとは、リィンよりも重症だ。ほんと頭が痛くなる。


「んじゃ、俺達は先に帰るからまたなー」


「頑張ってね、ケータ君」


「頑張んなさいよー、ケータ」


と逃げるように教室を去っていく我が親友達。友達思いのない奴らめ。俺は再度大きくため息を吐いて、


「俺の家行くぞ、二人共」


鞄を片手に教室を出ていく。その背を追いかけるように、


「未来の伴侶の家にか!それは楽しみだな!」


「あ、いたっ!? ねぇ! 厨二病クソ女!!引きずるのやめてくれる!!ほんとに頭がドカンドカンして痛いから! そんなに広くないのよ棺桶の中って!」


ワクワクテンションのレヴィが、ある意味テンション高めのリィンを引きずりながら教室を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ