comedy to everyone…
ガシャンッ
「お前は一生ここから出られないと思え。」
「おい、待てよ!待てって!」
大きな音と共に閉められた重い扉。その中に一人の少年。
少年は理解ができなかった。何故、ここにいるのか。何故、閉じ込められているのか。そして、何故、看守が美人だったのかを。
1時間が経ったが、未だ理解しきれずにいた。遠くから笑い声が聞こえる。
「うひ、うひゃひゃひゃひゃ!」
「何を呑気に笑っているんだ…」
少年は落ち着こうと鉄格子の窓の外を見ている。しかし、どうも落ち着かない。
少年は雨が好きだった。雨音が自然と興奮した心を落ち着かせてくれるからだ。だが、残念なことに今降っているのは飴だった。飴を知らない人のために説明を加えよう。「飴」というのは、ほとんどの大阪のマダム達が常に持ち歩いている糖分の塊のことだ。何故持ち歩いているのかは言うまでもない。糖尿病だからだ。関西は薄味だと豪語しているマダム達も、薄口醤油の事実を知ってしまうと糖尿病の原因がわかって満足したように帰っていく。少年は大阪へ行ったときにマダム達に教えようと考えていた。
ゴツッゴツッ
飴は一向に止む気配がない。むしろ、クリスマスがだんだん近づいてきてワクワクしている少年の心と全く同じだった。何が言いたいのかと言うと、つまり…
後は自分で考えてほしい。私ばかり考えるのはしんどい。
話を戻すが、美人看守はそこまで美人ではない。ただ、少しモデルをやっていて、少し女優業にも進出できるぐらいの演技力があって、少し人に優しいだけだ。
少年は考えた。あれだけ美人で演技力があるのに、何故こんなところにいるのだろう。つい先月までは、舞台”お金を稼ぐ”に出ていた。主演女優賞にもノミネートされていた。彼女は一体何者なのか。そればかりが気になった。