変態ギルマス伊原さんの日常
「ねーえー、ひーまー」
「いい年して子供みたいな事言わないでください」
そうやってサラは俺のことをミジンコを見るような目で見つめた。んー、今日もかわぅぃーね!
あ、自己紹介遅れました。私、伊原新と申します。
そこそこ大きい街でギルドマスターしてる、ちょっぴりエッチな男の子(21才)でぇーす!
「なんで、ギルドマスターって言うのは書類審査ばっか選別しなきゃいけないの?ねぇ、なんでよ。書類がドSとか誰得だよ、もー!」
「さっきから、うるさいですよ。このダメマスター」
さっきから俺のことを罵ってくれてる美少女はサラ・バレンタイン。青髪ポニーテールの可愛い僕の秘書(18歳)ちゃんだお!
「キモチワルイ顔がいっそうキモチワルくなってますよ。死んでください」
「あー、いいわぁー。ハァハァ」
「きも」
そして、いつものようにつまらないけど充実した日常を過ごしています。サラちゃんprpr!
「書類の手が止まってますよ。早く仕事を済ましてください」
「えー、きついよー。手伝ってよー」
「私、甘やかさない人間なので」
「うっわー、さぼr………………あ、何でもないです。いつも残った仕事を片付けてくれているサラさんにはいつも感謝してます よ」
「分かっているならいいです」
あぶねー。途中本気の殺気だったよ…………。危うく殺されかけるところだった。まぁ、そんなサラちゃんもす、て、き!!
「死にたいですか?」
首元に剣突き出しながら聞いてくるサラ。いいねー、ハァハァ。
ーーサクッ
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!」
ありがとうございますうううううううううう!!
◆◆◆◆
「はっ!!何時間寝てた!?」
「ざっと6時間ほど」
「やばい、書類!!」
「やっておきました」
………………神や。ここに神がおるでぇ…………。
「ほんといつもありがとうございます!」
「……」
つーんとそっぽを向いてしまう。あー、我慢できん!!
俺は力いっぱいサラを抱きしめた。ふははは!今なら死んでもいい!!
「……うぅ、……………………(ギュッ)」
なんか、抱きしめ返してきたんですけどおおおおおおお!可愛すぎるやろおおおおおおお!
ふふふ、この数カ月でサラちゃんが押しに弱いことも熟知している。だから、毎回夜に抱きしめちゃう(変な意味ではない)のだ!!もはや習慣化していて自分でもビックリしている。
「よっしゃ!!サラちゃんエネルギーもらったし魔導師ギルドにちょっかい出してくるか!」
そうやってサラちゃんを離すと「あっ……」と声を出し物欲しそうに上目遣い(←ここ重要)でこちらを見つめてきた。
あっ、ごめん。ちょっかい出すのはやめ。もうちょっとサラちゃん成分を補給したいと思いまーす。
ギューーーーー!!
◆◆◆◆
よっし、エネルギーを充分補給した事だし出しにいきますか!!
え、俺のブツだって?嫌だなぁこんなオッサンのブツ見たって吐き気を催すだけだよ!!
出しに行くのはちょっかいです。
「ということで来たよー、カナちゃーん!!いるー??」
「あー、うっせぇなぁ……。こっちは書類の山が残ってんだよ。遊びなら外でやれ」
奥から出てきたのはカナ・ブラック。名前の通り黒髪ロングのサラサラヘアーの美人さん。うん、hshsしたいお。
「えー、釣れないなぁ……。もっと盛り上がろうよ」
「嫌だよ暑苦しい。てか、早いところその子供みたいなところ治せよな。………………可愛いだろうが」
うーん、最後の方が聞き取れなかったけど。そんなカナちゃんも可愛いよ!!
「声出てるっての」
ありゃりゃ声が出てたか〜。まぁいいや。可愛いのは事実だし。
「全くもう…………」
とかいう割には顔赤いですぜ。照れてるの?ねぇ、照れてるの!?
「う、うるさい!もう出ていけぇぇッ!」
「うっひょおおおおおお!」
下級魔法〈ファイヤーボール〉が俺の腹に炸裂ぅッ!
ありがとうございましたァァァァァッ!
◆◆◆◆
「ただいま〜、サラちゃ〜ん慰めT「ギルドマスター、魔獣暴走です」…………えぇ〜、サラちゃんに慰めてもらおうと思ったのにぃ……」
全く間の悪いヤツらめッ!ぷんぷん
「気持ち悪い顔してないで加勢に行きますよ。その耳くそ詰まった気持ち悪いナニかをよくかっぽじって聞けよ豚。現在スタンピードは西グレル草原でB〜Sランク冒険者が足止めをしている。数は2万。とっとと行ってこい豚」
「ちょ、シンプルに口悪スギィ!」
まぁ、そんなサラちゃんもいいよぉ、ゲフンゲフン。
◆◆◆◆
「援軍はまだ来ないのか!?」
「カグラさん!けが人が増えてます一度撤退を…………」
Sランク冒険者のカグラは焦る脳を必死に落ち着かせ状況を分析する。
魔物の数は2万。対して冒険者の数はたったの2000である。今この場で耐えているのが奇跡である。スタンピードの中にはAランク魔獣がうじゃうじゃいる。ぱっと見Sランクも混ざっていた気がする。状況は悪くなる一方。なのに国からの援軍は全く…………いや、皆無だった。このままでは押し切られてしまう。
「自分の管轄内に入ってきてからでしか動かない国の犬共め!忌々しい、せめてこの命尽きるまでお前らを一人でも多くぶっ殺してやる!」
そう、叫んで振り返る。そこに魔獣の群れは居なかった。
ただ、永遠と広がる業火の炎と片手に膨大な魔術式の書かれた魔法陣をいとも簡単に片手で展開させている一人の青年がいた。
「え」
皆が呆然とする中その青年が
「おっほ、あの女武闘家の子可愛ええwwwめっちゃタイプだわwww今夜のオカズ決定www」
とカグラの方を向いて鼻を伸ばしていた。
◆◆◆◆
「くっそ、カグラちゃん子持ちじゃねぇか!あー、ふざけんな、抜いちまったじゃねぇか!罪悪感パネェじゃねぇかよぉおおおおお!」
子持ちの人妻で抜くとか人としてどうなんだよ。マジで死にたい……。
「朝から気持ち悪いこと叫ばないでください。気持ち悪い」
「あー、今気持ち悪いって2回言ったよね!?」
「事実です」
「あぁん♡」
罵倒って…………ほんと、気持ちいい…………。
「なにが、あぁん♡ですか。馬鹿なことしてないで仕事してください」
「えー、昨日この国救ったばかりだよ!?つーかーれーたー」
「はぁ…………」
チャカ…………。
ちょ、その剣持ってどうするの。え、ちょ、待って。タンマタンマ!ダメだよ、死んじゃうぼく死んじゃうからぁ!ら、らめぇぇぇぇぇえええええええ!
ーーサクッ
「あぁん♡」
そんなこんなで俺の楽しい楽しい日常は過ぎていく。