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江夏千里
「…本日はこれで終了です、お疲れ様でした」
「…ありがとうございました」
江夏千里は家路につく。
麗らかだった天気とは裏腹に、江夏千里の気分は憂鬱だった。
代わり映えのしない毎日、でも確かに時間は過ぎゆき、自分は少しずつ、少しずつ死に近づいてゆくのだろう。
実際にそのような日々を彼女は過ごしていた。
昔は代わり映えのしない毎日こそ幸せだと信じて疑わなかった、いや、今でもある意味そう思ってるのかもしれない。
しかし、実際は今はその状況が彼女にどうしようもなく虚しさを覚えさせる。
このジレンマには何度陥ったことだろう。
彼女は思考が負の連鎖に入る前に、帰る前に軽く汗を流して忘れることにし、市の整備している小奇麗な公園に向かった。
辿り着いた公園にはワスレナグサが咲き誇り、春の盛りを告げていた。