断章
とりあえず改稿間に合わなかったんでこっち投げときます
薄暗い祭壇に剣と魔法の光が煌めく。
剣を魔法障壁で受け止めながら彼は思った。
なぜだろう。
何故、こうなってしまったのか。
俺達は、私達は、絶対的な敵同士だから?
交える友の剣には迷いがあった。隙だらけだ。
殺せという衝動、そして友を守りたいという相反する感情が胸の中で渦巻く。
このまま衝動に身をまかせ意識を手放してしまえば楽になれる。自分の意思に関係なく操られ動く体をとめようとしなければ楽になれる。けれども、それは許せなかった。
彼らと出会う前の自分と出会った後の自分の戦いでもあるのだ。
それに決着がつかなければ、例えどちらかがとどめをさしたとしてもこの戦いは終わらないだろう。
互いの力に耐え切れなくなり大きく後ろへ跳び距離をとる。手が震えていた。
―――殺せ
「……っ」
あまりの衝動に目の前が暗くなりかける。
ゆっくりと剣を構え直すと友も構える。
地を蹴ったその身体が宙で交差した。
その戦いを祭壇上より眺める人影があった。
フードを目深にかぶった奥で微かに弧を描いている唇から彼にしか聞こえていないであろう声が紡がれていた。
殺せ、と。