カッコつけるとパスタになるよね。
「世の中に、はびこりすぎている気がする」
「ブラック企業か、それともセクハラ親父?」
「そんな些細なものじゃねぇよ」
「なんか、はびこっていたっけ?」
「ヤツらは気がつかぬうちに、天下をとり、さも自分たちが正義だとばかりに活動していき、俺たちから大事なものを奪おうとしているのだ」
「そんな仰々しくいうほどのものなのか」
「当たり前だ、このままだとヤツらに駆逐されてもおかしくないぞ」
「なにが駆逐されるんだよ」
「スパゲッティさ、スパゲッティがピンチなんだよ、あいつらパスタによってスパゲッティが絶滅したとしてもおかしくないんだよ」
「パスタとして生き延びるよ」
「違うんだよ、スパゲッティとパスタじゃ全然違うんだよ」
「なにが違うかサッパリわからん」
「俺たちみたいな田舎ものを、馬鹿にするために生まれたとしか思えないほどにカッコつけてるね」
「バカにしているかはわからないけど、そこまで毛嫌いするなよ」
「スパゲッティをパスタというのを認めたら、牛丼をビーフライスとか言い始めるぞ、カッコつけるために」
「いやいやビーフライスってさほどカッコ良くないし、そもそも牛丼をカッコ良く言う必要はないだろう」
「スパゲッティだって言う必要はないだろう」
「いやまぁそうだけど」
「パスタとかいえばデートのときも気にならないとか思ってカッコつけてるね」
「でもまぁカッコつけてるだけで、被害はないだろうよ、スパゲッティだろうが、パスタって言ってようが同じものなんだからさ」
「甘いな、カッコつけたらその代償があるんだよ」
「どんな代償だよ」
「パスタなら量が少なくても、値段が高くても許されると思ってるんだよ、カッコつけているから金額が高いんだよ、イメージ戦略なんだよ」
「あぁまぁ高いイメージはあるな」
「安くて美味しい、庶民のスパゲッティをパスタなんて言うのはやめろよ、スパゲッティは、スパゲッティなんだから」
「いやまぁ安心しろよ、パスタなんて言うのは彼女がいる奴だけだから、お前は一生スパゲッティのままだから」