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私はこうして田舎が嫌いになりました。  作者: ふじたごうらこ
私はこうして田舎が嫌いになりました。
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第三十六話・婦人会・前編


 

 モナカは波瀬からの電話を受けた。婦人会の総会があるので入会するかどうか、また出席するかどうかの確認だった。モナカは即答で入会と総会の出席を告げた。来週火曜日の夜、七時から中央公民館で開催するらしい。ダイフクは言った。

「会員数はわからないけど、若い人は皆入るのではないかな。でも六十歳までだよ。例の池田さんは会員でないからいないし、行っておいで」

紙耐に移住して四か月、顔見知りは増えたがアンキチ通じての子供会でのつきあいも、子どもの数が少ないがため限界がある。それもあって婦人会が楽しみだった。

 予定より早めの六時半に会場に行って正解だった。役員たちがそろって会場で会報や記念品を用意しているところだった。会長の藤期広木、副会長の波瀬、それから何でも屋がいた。他の役員たちにもあいさつできて、各座席に報告書を置く手伝いもできた。若い会員は残念ながら波瀬以外はいなかった。子供会で会った北本の名は婦人会の会員名簿に記載されていない。

広木は会長としてモナカに「移住して困ったことはないか」 と聞いてくれた。それでモナカは広木に池田のふるまいについて、困っていると相談した。すると広木は笑顔から明らかに渋い顔になる。

「いや、そういう意味で聞いたのではないよ」

「でも常会でも会いますし、叔母姪の御関係だと伺っていますのが」

「婦人会と関係がない話だし、私とも関係はない。これから他の会員も来るし、そういう話は困ります」

事実会員たちが会場に入って来る。波瀬はそれぞれに席に座るように指示する。総会といっても過疎なので十五人ほどのようだ。

広木はすぐにモナカに背中を向けて会員たちにあいさつをしてまわる。取り付くシマもない感じとはこのことだ。タイミングが悪く、時間がなかったのだろう。でもあの態度では時間に余裕のある時でも相談できない。

やがて席が埋まった。会員たちは皆普段着だ。スーツ姿の人はいない。ノーメーク、シャツにパンツ姿が多い。

何でも屋がモナカに声をかけてくれた。

「喪井さん、葬式以来ね。私の隣にどうぞ」

 その席は会員と向かい合う席になっていた。席の端には広木が誰かと話をしている。明らかに役員席でモナカは戸惑う。

「そんなことは気にしないでいい。喪井さんは新人として皆に紹介するので、そこでいいのよ」

 目立つ席だったが、座らせてもらい、顔見知りを探す。といっても誰もいなかった。だが高齢にあたるヨンやテルの姿はない。蚊掻の姿もない。

 



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