俺なりの短編1
今中花子は自宅敷地内の母屋で暮らしている。母屋と言っても、ちゃんとした家ではなく古いとはいえかなり大型の収納庫の荷物(使えなくなった家電など)をいくつか外へ放り出し、元々いた部屋にあったを自分の物を持ち込んだだけの場所である。
生まれつき大人しかった。小、中、高といたことすら忘れ去られてしまうぐらい全く目立たない。友達も、小学校を卒業して以来一人もできたことがない。勉強も運動もそこそこ。クラス平均のいつも中間ぐらい。出来なければ出来ないで、目をつけられいじめられそうだがそんな兆しもなく、ただ空気のようにぼんやりと存在していただけだった。
大学受験に2度失敗しフリーターへ。半年ほど近所のコンビニでバイトをしていたが、訳もなくやめて部屋に引きこもるようになった。両親は一応心配はしたもの、接し方が分からなかったのか、何も言えずじまいのまま、時間だけが過ぎていった。。1週間ほどたつと、部屋から出てきた様子のない娘を心配した母親が用意した食事を部屋の前に置くようになった。
それから1か月後。深夜両親が眠っているところを見計らって、収納庫に行くと花子は中の物をひたすら外へ出し続けた。ある程度場所が開くと、服や、下着や、布団や、本等持てるだけもって収納庫の中に入った。朝方、両親は収納庫に花子が移ったことに気が付いたが、それでも何も言わなかった。食事の用意だけは欠かされたことはなかったが。
さらに1か月後。収納庫にいる花子に初めて友達ができた。尚子だ。花子の中に自然と、友達が出来上がったのだ。
二人はとても仲が良くて、何でも話し合うことができた。話しているのはたいてい花子で、尚子は聞き役に徹することが多かったが。
ある日の深夜、何か思いついたのか尚子が口を開いた。私も、そっちへ行きたい。あんたの顔を見て話したい。いいこと思いついたから、聞いてくれる?
花子は尚子の話を震えながら聞いた。あんたの半分を私にくれる?無理だって。大丈夫、あんたならできるって。どうかしてるよ?そんなことない、大丈夫。信じて、ね?
花子も尚子の言葉を聞いて、少し躊躇したのち頷いた。わかった、そこまで言うならやってみる。
花子は収納庫の隅に置いてあった、さびた工具箱を開けた。小刀や幾つものドライバー、定規、ハンマーなどが入っていた。そのうち、小刀を取り出した花子。。をきっと閉じて、小刀を持つと左肩甲骨のあたりへ先端を触れさせた。そして、息を吐くとそのまま突き刺した。痛みにえづく花子。手が震えだす。渾身の力を込めて、縦に入れた小刀を横にして、そのまま肉を切り出そうとしたが想像を絶する痛みでそのまま意識を失ってしまった。
花子の目に映る尚子は、思ったよりも華奢で手足の長い少女だった。二人の少女の会話は、いつまでも終わることがなかった。




