表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
熱くて寒い奇跡  作者:
1/29

第1話「静かな冬」

第二次世界大戦期のレニングラードを舞台にした歴史小説です。

史実を参考にしていますが、人物や一部の出来事はフィクションです。

雪が降っていた。


白い森の中で、アレクセイは息を殺して立っていた。

吐いた息が、ゆっくりと空に溶けていく。


父が小さく言った。


「焦るな。森は急ぐ者を嫌う」


アレクセイはうなずいた。

手には古い猟銃。冷たい金属が手袋越しに伝わる。


遠くで、雪を踏む音がした。


鹿だ。


父が指で示す。


撃て。


そう言っている。


アレクセイは銃を構えた。

照準の向こうに、鹿の影が見える。


心臓の音がうるさい。


引き金に指をかける。


一瞬、森が静まった。


——パン。


銃声が響いた。


鹿は数歩よろめき、雪の上に倒れた。


しばらくして父が歩み寄る。


「いい狩りだ」


アレクセイの肩を叩いた。


「お前は良い猟師になる」


アレクセイは少しだけ笑った。


その日の夕方、家ではスープが煮えていた。


鍋の前に立っていたのは、アーニャだった。


「おかえり」


木のスプーンで鍋をかき混ぜながら、彼女は言った。


「今日は鹿の肉だよ」


湯気が立ち上る。

ビーツの赤い色がスープに広がっている。


ボルシチだ。


アレクセイは椅子に座った。


「いい匂いだ」


アーニャは笑う。


「当たり前でしょ。私が作ったんだから」


父がパンをちぎりながら言った。


「猟師が撃ち、料理人が煮る。いい家だ」


外では雪が降り続いていた。


暖かいスープ。

暖かい部屋。

笑い声。


この時間が、永遠に続くと誰もが思っていた。


だが、その年の夏。


遠い西の空で、大きな戦争が始まる。


やがてそれは、この街にも届く。


静かなレニングラードに、

銃声が響く日が来るのだった。


読んでいただきありがとうございます。

小説を作るのは初めてなのでこれから

成長していきま。

感想などいただけると励みになります。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ