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第7話 恋愛って何だ!?

「っていうか、人間はどうやって女の付き合うの?」


「それ、俺に聞く?」


「だって、さっき偉そうに答えてたじゃん。あれはダメ、これはダメって」


「いや暴力とか脅迫は普通に犯罪だから。恋愛と関係ないから」


「でも人間の世界でも“恋泥棒”とか言うじゃん。だから恋愛では犯罪していいんじゃないの?」


「どういう解釈それ? っていうか、なんでそんな言葉知ってんの?」


「余は賢いのじゃ」


「いや、意味わかってないからバカだよ」


「バカって言うなよ。童貞のくせに」


「童貞言うな!!」


「てか、武力行使なく女と付き合うなんて、無理ゲーじゃん」


「恋愛が無理ゲーなのは同感だよ。Sクラスの魔物と戦う方がよっぽど楽だよ」


「そう、その感覚。我々魔族は、そんな感じで恋愛してるからな」


「どこまでも魔族だな」


「当たり前だ! 余は魔族の王じゃからな!!」


「でも本当に十四人もいる奥さんを全部押し倒してものにしたと思うと、ある意味すごいよ」


「バカかお前! 奥さんにそんなことするわけないだろ?」


「えっ!? してないの??」


「もちろん。余は王だよ?」


「じゃあどうやって付き合ったの?」


「政略結婚」


「へっ?」


「ほとんどは生まれる前から決まってたな」


「ちょ、ちょっと待って!? じゃあ、あのお前が本に書いた内容は何なの? そ、そうか結婚する前とか浮気とかか!」


「何言ってんの? 余は五歳で最初の妻を娶ってるんだぞ? しかも超名門の令嬢だぞ。浮気なんかしたら即内乱で王国が滅びるわ!」


「浮気も婚前の彼女もなし……?」


「もちろん」


「しかも全員政略結婚」


「その通り」


「恋愛要素、ゼロじゃね?」


「確かに……見方によってはそうなるな」


「おい! そうならない見方ってどこにあるんだよ!?」


「……あれ? 余……まさか……恋愛経験ゼロで恋愛本書いてたの!?」


「衝撃だな。というかどうやって本の内容書いたんだよ?」


「熱い思いと強い気持ち……何より大切なのは王としての自信だな」


「お前の方が勇者だよ」


「褒めるなって」


「褒めてはいない。恋愛経験ゼロでよく偉そうに恋愛を語れるなぁ、ってことだよ」


「つまり王としての自信というやつだよ」


「いやただの恥知らずなだけだよ。なんも知らないくせにあれだけ堂々と言えるのは」


「何だと!?」


「フッ……でもお前のあまりのバカバカしさに少し元気になってきたよ」


「……」


「身体もだいぶ鈍ってしまったからな……もう何日かしたら立ち直れると思うよ。こんなことをこれから戦う相手に言うのもなんだけど、“ありがとう”」


「いや、待て! 『なんも知らないくせに』だと!?」


「いや、それは言い過ぎかもな。悪かった。結婚も恋愛みたいなものだろうからな……知らんけど」


「いや、余は確かに恋愛について何も知らない……」


「いやいや、もう分かったからさ。もう大丈夫だよ」


「いいや大丈夫ではない!! これでは国の笑いものではないか!? このままで良いわけがない! 余の辞書に“出来ない”などという文字はない!!」


「そ、そうなの……?」


「余は、一度国に戻る」


「どうして?」


「郷に入っては郷に従う……つまり“女のことは女に聞け”だ」


「つまり……?」


「余の妻たちから、恋愛について大いに学んできてやる。そして今度こそ本物の恋愛テクニックをお前に叩き込んでやる!」


「いや、もういいよ」


「だから良くない! お前が良くても余が納得できないのだ!!」


「でも俺とすぐに戦いたいんじゃないの?」


「今はそんなことはどうでもよい!」


「え!? で、でも部下たちも楽しみにしていたんじゃないの……?」


「気にするな。あの辺の話は大体嘘だ。ぶっちゃけあんな連中、今はどうでもいい! まずはお前に恋愛を講義しなければ余は腹の虫が収まらないのだ!!」


「い、いろいろ衝撃すぎてついていけないんだけど……」


「とにかく、一週間くれ!!」


「えっ!? どういうこと?? まあ、別にいいん……」


「そうか、そんなに待てないか! なら五日はどうだ!?」


「いや、どっちでもいいけど……」


「分かった! 四日だ!! この欲しがり屋さんめ!! だがこれ以上はさすがの余でも無理だ! いくら短気なお前でもこれくらいは待ってくれ! 頼むよ、これ以上は堪忍だよ!」

 自分で自分を追い詰めていくガングリュック。


「わ、分かったよ……四日ね」

 ガングリュックが土下座しそうになったので、ヘルツは慌てて止め、提案を受け入れた。


「四日かぁ……こりゃ人生最大のチャレンジになるやもしれん!!」


「そ、そうなんですね……」


「そうと分かれば、善は急げだ! じゃあ四日後、お前に恋愛の神髄を教えてやるからな! 楽しみにしててね!! バイバイ!!」

 ガングリュックは手を振りながら、そそくさと帰っていった。


「果たして、魔王にとっての“善”って何なんだろう……」

 ヘルツは小さくなっていくガングリュックの背を見送りながら、静かにそう呟いた。


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