第2部 第3章 Against the Fate
昇降口を抜け、校門を出た二人は、並んで歩き出す。穏やかな午後の日差しが街を包み込み、通りには学校帰りの学生たちがちらほらと歩いていた。何気ない帰り道──けれど、悠真の心は静かに波打っていた。
遠ざかるバイクの音、交差点で一瞬だけ視界を横切る車。何気ないその一つひとつが、過去の記憶と重なって胸をざわつかせる。
「じゃあ、また明日ね」
家の近くの交差点で、凛が手を振って別れを告げる。悠真も小さく手を上げた。
「うん。また明日」
凛は軽やかに背を向け、住宅街の小道へと入っていく。その後ろ姿が角を曲がって見えなくなるまで、悠真はじっとその場に立ち尽くしていた。
目を閉じると、鮮明に蘇る。血の匂い、割れたガラス、崩れる声。そして、凛の命が唐突に断たれた、あの瞬間。
(今度こそ、絶対に──)
手のひらを強く握る。ただ見守るだけでは、また何も変えられない。
運命に抗う覚悟を、今度こそ胸に刻まなくてはならない。
(必ず守ってみせる)
ゆっくりと歩き出したその背中には、もはや迷いはなかった。たとえこの世界が何度裏切ろうとも──悠真は凛の未来を掴みにいく。
その決意と共に、夕暮れの街が静かに色を変えていった。




