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第1部 第18章(最終章)旅の幕開け

 光が収束していくと同時に、視界が現実の色を取り戻す。目の前には、見慣れた教室の風景が広がっていた。

 昼休み。あちこちで笑い声や椅子を引く音が聞こえる。談笑するグループ、弁当を広げている子、机に突っ伏して寝ている子……。だが、悠真の心は静かにざわめいていた。


(また戻ってきたのか……)


 どこを見ても、いつも通りだった。けれど、どこかが妙だった。教室に差し込む光。空気の温度。遠くから聞こえてくる運動部の掛け声――。


(……何かが違う)


「ねえ、悠真」


 その声に、悠真はびくりと肩を揺らした。隣の席から、凛がいつものように顔を覗き込んでいる。あまりにも自然な笑顔。まるで何事もなかったかのような、あの日と同じ笑顔だった。


「ねえ、宿題やった? 数学の。全然わかんなくてさ。あとでちょっと教えてくれない?」


「……あぁ、いいよ。……ん?」


 そう言いながら、悠真の内側を、得体の知れない違和感が這い上がってくる。


(なんだ……この違和感は)


 この会話を覚えている。だが今日の会話じゃない。

 もう一度、教室を見渡す。何も変わっていないはずなのに、目に映る景色がうすく歪んで見えた。不安を押し殺すように、悠真は何気なく黒板に目をやる。そこに書かれていた日付は――


 10月11日


 悠真は、息を呑んだ。


(前日になってる……)


 事故があったのは、10月12日。つまり今は――その一日前。


(時間が……さらに一日遡った?)


 現実味のない感覚が、再び胸を締め付ける。


 この時はまだ知る由もない。

 これが、これから起こる不吉な旅の幕開けだということを。

第1部は一旦終了。第2部に続きます。仕事しながら書いているので、これから投稿頻度はどうなるかわかりません。

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