第1部 第12章 追随する未来
パフェを食べ終えたあと、二人は駅前まで歩いた。
「今日はありがとうね、悠真。一緒に行けてよかった」
凛がそう言って、笑顔を向ける。悠真はその笑顔をしっかりと目に焼き付けるように見つめた。
「うん。こっちこそ、楽しかったよ」
足を止め、ほんの一瞬、何か言いかけてやめる。
(――もう少し一緒にいよう)
その一言を呑み込み、代わりに「また明日」とだけ告げて、凛に背を向ける。
そのまま帰れば、何も起こらない。
あのときと違って、公園にも行っていない。時間も違う。だから、事故も起きない――
……そう思いたかった。
(本当に……これでいいのか?)
不安が、喉の奥で脈打つように広がっていく。振り返ると、凛はスマホを取り出しながら信号の前で立ち止まっていた。いつものように、何の疑いもなく日常の一瞬を過ごしている。
だが、その何気ない仕草さえ、悠真の目には危うく映った。
(……ダメだ。やっぱり、見届けなきゃ)
悠真は足を止め、少し距離を保ちながら凛のあとを追うように歩き出す。自分でもわからないまま、体が勝手に動いていた。
通りの先から、車が近づいてくる。それだけで胸が締めつけられる。
凛は、何も気にする様子もなく、道路脇の歩道を進んでいく。
――大丈夫。今のところ、何も起きていない。
けれど、遠くで車のクラクションが鳴ったとき、悠真の背中に冷たい汗が流れた。音のする方向へ、視線が吸い寄せられる。
(頼むから……何も起きるな)
悠真の足取りは徐々に早まり、凛との距離を詰めていく。
ただ黙って、彼女の背中を見つめながら――。




