表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/21

第1部 第11章 憂慮

 夕暮れの街は、どこまでも穏やかで、優しげに彩られていた。

 通りを並んで歩く二人。その足取りに言葉はなく、沈黙だけが続いていた。時折吹く風が、凛の髪をふわりと揺らす。その横顔を見つめながら、悠真は考えを巡らせていた。


(ここまで、同じだ……)


 目の前に広がる光景も、すれ違う人の流れも、パフェの話で盛り上がった凛の様子も、記憶と寸分違わない。


――同じ運命をたどらせてはいけない。


 そんな想いが、胸の奥から静かにこみ上げてくる。


「……どうしたの? 怖い顔してるよ」


 凛が足を止め、覗き込むように聞いてきた。悠真は一瞬だけ戸惑い、すぐにいつもの笑みを浮かべた。


「……いや、大丈夫。ちょっと考えごと」


「ふーん?何も喋らないから、どうしたのかなって思った。」


 凛は少し首をかしげたが、それ以上は何も言わずに歩き出した。

 やがて、目的のパフェ専門店が視界に入る。ガラス越しに見えるショーケースには、色とりどりのパフェが並んでいた。

 パフェを注文し、あの日と同じ会話をして、パフェが来るのを待った。 店員がやってきて目の前にいちごパフェを置いた。凛は小さく感嘆の声を漏らしたが、悠真はその様子を静かに見つめていた。


(ここも同じだ。)


 そう心の中で呟きながら、スプーンを手に取る。

 パフェを食べ終えた頃には、空は茜色からゆっくりと藍に染まり始めていた。

 凛が「美味しかったね」と微笑み、悠真もうなずく。


 店を出た瞬間、冷たい風が二人の間をすり抜けた。その一瞬、悠真は空を見上げる。まだ、何も起きていない。


(この後は……このまま帰ろう。)


 心の中で、今までにない不安が渦巻いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ