甘美な魂
悪魔に身を売った。その代わりに仲間にしてもらった。
肉体はないが、悪魔というものはそういうもので、何も問題はなかった。
悪魔になってしたいことは復讐。
生きていて辛いことだらけだった。生きていけないから、自らの意思で人間をやめた。
復讐はどうしても成し遂げたいことではないが、妬ましかったからする。カスな理由だが、悪魔になったのだからいいだろう。
「ごめんね……気付いてあげられなくて」
復讐として殺すことはできたが、最期の言葉が私を蝕む。
どうしたって私のことばかりなのだ。少しは自分のことを愛して痛んでくれれば、私は報われたのに。
「早くに我への捧げ物は準備できたようだな。この調子で励め」
私を悪魔にさせた悪魔が、天に還ろうとする魂を掴もうとするのをとめる。
「馬鹿なことだ」
馬鹿だよ、私は。だから悪魔になったのに死ぬんだ。
一度の反抗は直ちに処分だった。悪魔への仕返しとして、道連れで魂を食べる。
甘すぎて吐き出してしまうほどで―――その前に私は死んだ。