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騒動


 青い顔の女主人が、集まった《男衆》に、店の隅々まで『蛇』を探させたあと、客に詫びを言ってまわり、ひと段落したところで、騒ぎを起こした《男衆》とトクジをよびつけ、事の次第を質そうというときに、他の男たちがつめかけて、膝をそろえて頭を垂れた。



 この店の《男衆》で、いちばん歳上のものが言うには、みなで相談し、『怠け者』のトクジを、こらしめるために、いつも側に置く、汚いさらしで巻かれた刀を盗むことを企てたのだという。


 選ばれた二人の男で、トクジに《だけ》与えられた部屋へと忍び込み、暗闇の中でその刀をつかんだとたん、晒の中からとびだした『大蛇』に巻きつかれたのだと、トクジをにらみながら説明した。



 おもしろがるような、困ったような顔で聞いていたトクジは、汚れた晒にまかれた刀をつかんでひきよせると、あっけらかんと笑ってみせた。



「これは、おれがむかし押し付けられた、呪いのかかった刀だ。 刀のくせに、勝手に触られるのが嫌いでな。だから、幻もみせる。  盗んだとしても、いいことなんかねえよ。 それにな、おれに言いたいことがあるんなら、直接言ってくりゃあいい」


 えぐれた左頬の傷をかきながら、一人部屋なんで、だあれも訪ねてきやしねえ、と照れくさそうに言う男が、これがきっかけとなり、他となじむのはすぐだった。




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