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どこから出てる
ちょっとまて、とトクジはこめかみがひきつるのをおさえて聞く。
「その女とシュンカの『力』をもらした話がどうつながる?」
コウドがちらりと虫の鳴く庭に眼をはしらせ、声をひそめた。
「 おれも驚いたんだが、病もちの女たちの世話をしている下働きの女に、このまえな、 いきなり聞かれたんだ・・・」
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ねえ、旦那さん、トクジさんがシュンちゃんといるのは、自分の顔の傷を治してほしいからって、そんなことありませんよね?
・・・そんな話し、どこから出てるんだ?
あたしが世話番の病もちの姐さんなんですけどね。もちろんあたしは信じちゃいませんよ。 でも、トクジさんの顔の傷も、このところウソみたいに消えてきてるのはほんとだから、面白半分でその話にのるようなのもいて。 ―― とにかく、あたしははっきり、そんなの『嘘』だって、ことをききたいんですよ




