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『接待』
しかたなさそうに立ち上がったスザクに、そのままドウアンが続こうとするのを、ヨクサが呼び止めた。
「 待て。 ―― われの『接待』は、誰がするのだ?」
機嫌をそこねたように白いむきだしの足をテーブルの上にのせると腕を組む。
「 おお、申し訳ござりません。 この通り、拙僧は、やけどをしてしまいまして、いつものように、うまくお相手は、できかねますので・・・」
にっかりと笑ったコウアンが、ドウアンの背中を勢いよく押して戻す。
「 ・・・ドウアン、お前いま、嫌そうな顔をしたな」
ヨクサがただす。
「 ―― しておりません・・・」
テーブルをはさんで、むかいあった《テング》と《坊主》は、しばらく見つめ合い、深い息をついたドウアンが、お願いいたします、と頭をさげて、折れるかたちとなった。
「そうか? ならば、楽しませろ」
にんまりとするヨクサの前に膝をつくドウアンは、ここから三日間ほど、どこかへ姿を消すこととなった。




